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2016 Trade Deadline~大物に手をつけなかったオリオールズとブルージェイズの戦略~

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様々な思惑が飛び交った今年のトレードデッドライン。前回はデッドライン前から積極的に動いたBOSについてまとめたが、今回はBOS以外のアメリカン・リーグ東地区のチームについておさらいしていこう。

まずは、比較的動きが少なかったBALからだ。

7/31 BAL⇔SEA
SEA→BAL ウェイド・マイリー
BAL→SEA アリエル・ミランダ

メジャートップのチーム本塁打数を誇るBALだが、一方で先発ローテーションは貧弱だった。クリス・ティルマン、ケビン・ゴーズマンは試合を作ってくれるのだが、ヨバニ・ガヤード、タイラー・ウィルソン、ウバルド・ヒメネス、マイク・ライトらはいずれも防御率が5点台中盤か6点台と話にならない成績。リリーフとして投げさせていたトッププロスペクトのディラン・バンディを先発に回し、うだつの上がらないヒメネスをリリーフに回すなど配置転換を行っていた。

シーズン中の先発投手補強が必要なことは火を見るよりも明らかだった。そこでBALが目を付けたのがマイリーだった。マイリーはBALのローテーションには1人もいないLHP。獲得前の時点で防御率は4.98だったがBALの他の先発陣と比べればまだマシな方だった。3年連続で190イニング以上投げている耐久性もBALにとっては魅力だったのかもしれない。

一方でBALはマイリーの今シーズンの残りのサラリーとオプションを行使した場合は$12Mのサラリーを、行使しない場合はバイアウトとして$500Kを負担しなければならなくなった。だが、BALにとってはこれは好都合だろう。今オフのFA市場に流れてくる先発投手はいずれも4/5番手クラスか旬を過ぎた投手だ。再びトレードを仕掛けようにも現在のBALのマイナーシステムでは獲得できる選手はたかがしれている。売り手に回る球団がいる時期に来シーズンも保有できるマイリーを獲得したことはおかしなことではない。

では、放出した選手はどうだろうか。ミランダはBALが昨年5月に契約したLHP。契約当時が26歳ということもあって2年間でAAAへとスピード昇格を果たした。BALでは今シーズン1試合に登板したが、その際2回で3失点と結果を残せていなかった。しかし、AAAでは19試合に先発して防御率3.93、K/9=7.8、BB/9=2.8とソリッドな成績を残しており、現状のBALのローテーションを考えると先発として投げさせてもよかったように思える。

それでもBALがミランダを放出してマイリーを獲得したのはマイリーの実績を買ったということなのだろう。地区優勝を狙える立場にいる以上実績も高い評価もないマイナーリーガーでリスクを冒したくはなかったのだ。

一方でSEAはトレード時点で貯金1、ワイルドカード圏内まで5ゲーム差と微妙な立ち位置。そこでサラリーの高いマイリーを放出し、マイナーではしっかりと成績を残しているミランダを獲得することで少額ながらもサラリーダンプに成功。また、タイワン・ウォーカーやジェームズ・パクストンなど故障の多い先発投手を抱えるSEAにとってはいつでも替えの利くミランダはニーズに合っていたと言える。

少々高額なサラリーを払ってでも実績のある先発投手を獲得したいBALと微妙な立ち位置のためはっきりと売りにも買いにも出られないSEAの思惑が一致したトレードだった。

 

8/1 BAL⇔TB
TB→BAL スティーブ・ピアース
BAL→TB ヨナ・ハイム

昨オフ1年$4.75MでBALからTBへと移籍したピアースが再びBLAへと戻ることになった。BALがピアースを呼び戻した理由はペドロ・アルバレスやキム・ヒョンスとプラトーンを組ませたいからだろう。アルバレスは左打者で、対左投手のOPSは4割台、本塁打も1本のみとからっきし。キム・ヒョンスも左打者であり、左投手との対戦はほとんどなくヒットは1本も打ってないという有様だった。

それに比べて右打者のピアースは獲得時点で左投手との対戦が63打席のみにも関わらず二塁打6本、本塁打5本。さらに今シーズンは対左投手に限らずシーズンを通して.309/.388/.520と絶好調。同じ右打者でBALにシーズン当初から在籍しているノーラン・ライモルドや故障で離脱しているジョーイ・リカードらがOPS7割台前半だったことを考えると大幅なアップグレードになる。

また、ピアースは上手くはないもののOF/1B/2Bをこなすことができるので、使い勝手のよさも獲得理由の1つとなっただろう。今オフでFAとなるため見返りが少なくて済むこともマイナーシステムの層が薄いBALにとっては好都合である。

BALが放出したのはハイム1人だけ。ハイムはFEDランキングにもランクインしているCだが、素材先行型で打撃ではまだしっかりと成績を残しせていない。守備の評価は高いが、BALにはチャンス・シスコという昇格間近で有望なCがいるためハイム1人の放出でピアースが獲得できるのなら安いものだろう。

TBにとってこのトレードはどうだっただろうか?どのチームにとってもCプロスペクトは貴重な存在だが、レンタルとはいえ今シーズン絶好調だったピアースの見返りとしてハイム1人だけでは心もとない。守備は上手いが打撃は弱いという特徴は、現在ハイムと同じA+でプレーするニック・シウフォと被るところもある。若干安売りしてしまったと言えるだろう。

BALが今シーズンのデッドラインで成立させたトレードはこの2つのみ。デッドラインで積極的に動いた2013年以降は大人しめになっている。今シーズンは投手で大物が動きそうになかったことと、マイナーシステムの貧弱さがBALの控えめな姿勢に影響したと思われる。同地区のBOSとTORが積極的に動いている姿とは対照的だった。

 

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