動く投手コーチ~選手以上に盛んな投手コーチの移籍市場とその背景~

8670274938_2a1dec72d0_z

 

 

 

 

 

 

 

 

あなたは投手コーチと聞いて何を想像するだろうか?ブルペンに電話をかける姿を想像する人もいるだろう。あるいは投手の投球フォームを指導したり、新たな変化球を教えたりする人物だとの印象を持つ人もいるだろう。投手コーチに関するイメージはたくさんあるだろうが、その中でも監督と共にその職場を転々としている印象を持つ人は多いのではないだろうか?実際に従来の投手コーチにそのようなタイプが多かったのは事実だ。最も有名なのはカージナルスでコンビを組んだトニー・ラルーサ監督とデーブ・ダンカン投手コーチだろう。ラルーサとダンカンは現役時代のチームメイトであり、ラルーサがホワイトソックスの監督を務めた1983年からカージナルスで勇退する2011年まで実に30年近くタッグを組んだ。名監督のそばに名投手コーチありといった感じで、監督がチームを変えると投手コーチも移籍するというケースは多かった。

しかし今年の投手コーチの移籍を見ているとどうも様子がおかしい。レイズでマッドンの同僚だったヒッキーは確かに監督に関係した移籍と言えるかもしれない。しかしこのオフに就任した11人の投手コーチで前所属チームの監督と同じチームに移籍した人物は1人もいない。この一連の動きを見ていると、投手コーチの専門性が上がり評価基準が明確になったことで監督と投手コーチを分けて評価することが当たり前になってきているのだろう。

ところで今シーズンのMLBではフライボール・レボリューションという言葉が流行した。低めの速球を角度をつけて打ち上げるという打撃方法で、元々はブルージェイズのジョシュ・ドナルドソンが取り入れたことで話題になった。ドナルドソン以外でこの打撃方法で開花した選手の代表格はドジャースのジャスティン・ターナーとクリス・テイラーだ。2人とも以前に所属していたメッツとマリナーズでは正直ぱっとしない選手だった。しかしこのフライ・レボリューションをうまく生かして長打力が大きく向上した。2人の活躍もあって、ドジャースはワールドシリーズに進出した。しかしこの打撃方法にも弱点はある。現代のデータ分析は凄まじく、低めの速球を狙っていることは投手側にもすぐにバレてしまう。打者が低めの速球を狙っているとわかれば、投手は裏をかくために低めの速球を投げなければいい。実際にドナルドソンは今季高めの速球を多投されて夏場まで苦しんだ。このように低めの速球を打ち上げるアプローチを好む選手に対して高めの速球で打ち取ろうとする投手も増えてきている。

前述のターナーやテイラーを擁するドジャースの打者は高めの速球への成績が悪かった。ドジャース打撃陣の高めの速球への打率は.204でこれは全30球団中最下位だった。ワールドシリーズで対戦したアストロズはこの弱点を見事についた。チーム全体で高めに回転数の多い速球を投げ込むことを徹底した。それはワールドシリーズでアストロズ投手陣がスライダーの投球割合をレギュラーシーズンに比べて7%も減らしたことからもよくわかる。このデータの活用がワールドシリーズ制覇に大きく貢献したのは間違いない。

  

1 2 3

コメントを残す