動く投手コーチ~選手以上に盛んな投手コーチの移籍市場とその背景~

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この例でもよくわかるが、現在のMLBではデータが溢れている。その中には投手のパフォーマンスを向上させることや投手継投に本当に役に立つものもあれば、そうでないものもある。つまり投手コーチは適切なデータを使って投手の継投の運用を行う必要がある。実際にレッドソックスの編成最高責任者のデーブ・ドンブロウスキは、野球の分析が進み多くのデータが提供されるようになった結果投手コーチの責任は増していると語っている。現代の投手コーチに求められる要素はもう1つある。それはコミュニケーション能力だ。

今シーズンの途中にスポーツ・イラストレイテッド誌のトム・バードゥッチがヤンキースやアストロズなど数チームがチーム全体の速球の投球割合を50%以下に抑えている記事を発表して話題になった。子供の時に速球は投球の基本だと指導された人は多いだろう。しかしその常識が変わりつつあるのだ。もうMLBの数チームではチーム全体で速球より変化球を投げる割合が多いチームが出てきているのだ。速球より変化球を多く投げるようにと言われてすぐに納得できる選手は多くないだろう。 

そこで求められるのが、投手コーチだ。データが導き出した客観的データを選手に丁寧に説明して、投手にデータを活用させて成績向上を支えるのはまさに投手コーチの仕事である。もしも投手コーチが選手と良好な関係を築けていなくて選手から信頼を得られていなかったら、投手はコーチの話に聞く耳を持たなくなるだろう。だからこそ現代の投手コーチには、投手と良好な人間関係を築くために高いコミュニケーション能力も求められているのだ。ヤンキースのブライアン・キャッシュマンGMも現代の投手コーチには選手の分析だけでなく、心理学者のように選手と良好な関係を築く必要があると認めている。

以上のように野球を客観的な数字で分析することが当たり前になった現代で、新たに投手コーチに求められる役割は2つある。1つ目はそのデータを理解し実際に運用する力。もう1つはそのデータを選手に伝えるコミュニケーション能力だ。今までは投手コーチにあまり興味がなかった人も来シーズンは投手コーチにも注目しながら試合を楽しむのも面白いのではないだろうか?

 

Text by Yuichi Ando

写真:https://flic.kr/p/edaqEW

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