なぜ彼らは負けるのか―MLBの戦力格差拡大を考察する―

New York Yankees at Baltimore Orioles April 24,  2011

 

 

 

 

 

 

Part3

 現在のMLBにおいてチームを解体して再建を進める事には大きなメリットがある。それはドラフトで指名順位が向上する事だ。ナショナルズがスティーブン・ストラスバーグ(2009年全体1位)とブライス・ハーパー(2010年全体1位)の到来で黄金期を築いたのは言うまでもなく、ドラフトで有望株を集める事は大事だ。MLBは日本のプロ野球と異なり、1巡目指名から完全ウェーバー制を採用している。

 これは言い換えると、負ければ負けるほどチームの再建には役立つという事だ。そう考えれば、チームを解体する事には高いドラフト順位を得られるメリットもある。30チームの戦力均衡の為に制定されたルールが逆に戦力の格差拡大を招いているのは皮肉な話だ。

 

 ヨーロッパのサッカーのリーグの中には、同じチームが6連覇しているリーグがある(ドイツのブンデスリーガのバイエルンミュンヘン)。だがブンデスリーガの観客動員数は世界のリーグで最高レベルだ。何故優勝するチームが決まっているのに、観客動員数が多いのだろうか?そのヒントは昇降格制にある。リーグ下位2チームは自動降格で、残り1チームもプレーオフで降格の可能性がある。これは言い換えると、負ければ負けるほどチームにとっては悪いことが多くなるのだ。だから降格がかかっているチームのファンは最終節でも応援する。つまりリーグに所属しているチームは優勝以外にも目標があるという事だ。地区優勝及びプレーオフ進出のみしか目標が無くて、負ければ負けるほどチームのドラフト順位が向上するMLBとは制度が異なるのだ。

 

 もちろん私はMLBにも昇降格制を導入すべきなんて極論は言わない。だけど負ければ負けるほどチームのドラフト順位が上がる現在のドラフト制度の変更を議論する事は必要だと思う。私が提案したいのは、「勝率下位5チームとドラフトの指名順位を逆にする。」だ。

例えば、今年のドラフトの指名順位は

1位 タイガース,2位 ジャイアンツ,3位 フィリーズ,4位 ホワイトソックス,5位 レッズ

だ。

これを

1位 レッズ,2位 ホワイトソックス,3位 フィリーズ,4位 ジャイアンツ,5位 タイガース

のように変更してみるというものだ。

 このシステムならば、下位に沈むチームもシーズン最後まで戦う目的が生まれる。徹底的にチームを解体してもドラフトで全体1位指名権を得ることはできなくなるからだ。もちろんこれ以外にも改善策はいくらでもある。あくまで私の提案は問題提起の側面が強い。だから今回のコラムを読んでくれた読者の皆さんが少しでもこの問題について考えるきっかけになれれば幸いだ。

 

Text by Yuichi Ando

Photo https://flic.kr/p/9Bs5dE

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