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Weekly Report : Week-11

Toronto Blue Jays, Baltimore Orioles

 

 

 

 

 

 

 

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昨年のエドウィン・エンカーナシオンが絡んだ三角トレード及び今回のトレードについて

Written by Tsubasa Komiyama

 現地時間6月15日、現在AL本塁打王であるエドウィン・エンカーナシオン(DH)が、シアトル・マリナーズからニューヨーク・ヤンキースにトレードで移籍を果たした。昨年オフ、三角トレードで移籍をした36歳のベテランスラッガーのトレードに関わった球団の選手起用を振り返りつつ、今回のトレードに触れたい。

 

クリーブランド・インディアンス

 2018年、インディアンスでDHとして最多出場をマークしたのはエンカーナシオン(115試合)だ。昨年オフ、彼をトレードで放出するにあたり、タンパベイ・レイズからジェイク・バウアーズ(LF)、マリナーズからカルロス・サンタナ(1B)をそれぞれ獲得した。スタメンのヨンダー・アロンソ(1B)がFA移籍したため、現在両名は一塁とDHで起用されている。インディアンスは現在AL中地区2位とミネソタ・ツインズの背中を追う状態が続いているものの、エンカーナシオンがいた所で大きく状況は変わらなかっただろう。

 

タンパベイ・レイズ

 先述したトレードにおいて、インディアンスからヤンディー・ディアス(3B)を獲得。AAAでは卓越したアプローチを示し、2017-18年と2年連続100打席以上の機会を与えられるもオフにトレード。レイズ加入後は現地時間6月15日現在10本塁打をマークし、レギュラー三塁手に定着している。一塁はジーマン・チョイ(1B/DH)とブランドン・ラウ(2B/1B)が起用されており、外野はピッツバーグ・パイレーツからトレードで獲得したオースティン・メドウズ(RF)が活躍。三角トレードにおいてマリナーズに金銭を送っているものの、若い三塁手の獲得に成功しつつバウアーズが腐る前に放出する等、上手い立ち回りだ。

 

シアトル・マリナーズ

 昨年オフにサンタナを獲得したことで注目を集めたものの、実際に2019年を任せた一塁手はエンカーナシオンだった。2018年はライオン・ヒーリー(1B)が一塁を守ったが、今季は先の通りエンカーナシオンに起用変更。DHにはダニエル・ボーゲルバック(1B)がおり、現地時間6月15日現在17本塁打と期待に応える活躍を見せている。そのため、ヒーリーは主に三塁で起用されていたがカイル・シーガー(3B)が復帰。端的に言えば編成がまごついていたように思える。ヒーリーは10日間IL入りしており、復帰してもOPS.744と打撃でアピールするには物足りないが、編成の自由度は向上したのではないだろうか。

 マリナーズは今回のトレードにあたって1対1のトレードをしている。エンカーナシオンの長打力は誰もが疑うことのない事実だが、36歳という年齢、起用に制限をもたせる一塁手であること等を考慮すれば妥当なトレードではないだろうか。また、保有年数の1年長いサンタナとエンカーナシオンをトレードしたことは、今回のこのトレードが既定路線であったことを示している。

 トレードデッドラインに迫れば迫るほど選手の価値は高まる一方で、待てば待つほど故障や不調(移籍後快調することはままあるが)等選手の価値を下げるリスクは多い。マリナーズはプロスペクトの宝庫というわけではないものの、近年のドラフト上位指名選手や、昨年オフにトレードで獲得したプロスペクト達は軒並み魅力的であり、リスクを背負ってでも彼のバリューが上がるのを待ったほうが良い状況ではないと判断したと考える。更に加えて言えば、エンカーナシオンの見返りにプロスペクト1人を獲得したトレードではなく、年俸を折半しベテランスラッガーを引き取ってもらったトレードという見方も出来る。現時点のチーム状況を鑑み、放出出来る内に既定路線のトレードを実施したに過ぎない。

 マリナーズが獲得したのはフアン・ゼン(RHP)という19歳の投手。以前両球団のトレードでマリナーズからヤンキースに移籍しており、再入団ということになる。6-1/155と細身ながらリズミカルなメカニクスから速球、カーブ、チェンジアップを投げ分ける。セカンドピッチとして秀でるのはチェンジアップであり、速球は現在90マイル台前半だが今後球速向上に期待したい。まだRが主戦場とはいえ、与四球で自滅せず、コンスタントに打ち取りながら三振を奪える堅実なスターター。A+あたりまではコマンド良く好成績を収められるのではないだろうか。昨今、サンディエゴ・パドレスのクリス・パダック(RHP)のように、チェンジアップの秀でたスターターの活躍が目覚ましい。もっとも、パタックとゼンでは球速やマネーピッチの質が異なるため、一概に比較は出来ない。

 

ニューヨーク・ヤンキース(加筆)

 ヤンキースの 他に数球団がエンカーナシオンに関心を示したと言われている。ここでは、エンカーナシオンをどこが何のために獲得したのかではなく、マリナーズがいかに年俸負担せず放出しようとしたか、昨年オフからエンカーナシオンのバリューが大きく低下していることの2点に重きを置いているため、争奪戦については具体的な言及をしない。

 ヤンキースは開幕から故障者が続出している。ブレット・ガードナー(LF)、アーロン・ヒックス(CF)、アーロン・ジャッジ(RF)、ジャンカルロ・スタントン(DH)が揃うことが理想であるものの、中々揃わないためにクリント・フレイジャー(OF)やキャメロン・メイビン(OF)が代役を担った。しかし、ケンドリス・モラレス(DH)や今回のエンカーナシオンの獲得から、外野手の穴埋めから強打者の穴埋めに移行していると考えられる。入団後、復調の兆しを見せることなくモラレスがIL入りしたため、次の強打者としてピックアップしたのがエンカーナシオンだ。年俸負担額を考えれば、故障者が復帰するまでの最低限の戦力としてではなく、地区首位をキープするために必要な戦力と捉えられていると考えられる。

 内野手はディディ・グレゴリウス(SS)が復帰。グレイバー・トーレス(2B)が好調と層は厚く、HRDでどのような活躍をするか期待されるルーク・ボイト(1B)がどこで起用されるにせよ、DJ ルメイヒュー(IF)がレギュラーからはじき出されるのは明白だ。だが、金銭的な都合はさておき、編成を考慮した時それはデメリットにはならない。ルメイヒューは様々なポジションで起用出来るため、スタメンの休養日を設けることが出来る。ボイトをDHにして一塁スタメン。トーレスを遊撃かベンチにして二塁スタメンといった具合である。それから、ジオ・ウルシェラ(3B)は現在好成績をキープしており、グレゴリウスやボイトのようにヤンキースに加入して一皮剥けた選手と言えなくもないが、成績が下降する可能性は低いとは言えない。つまり、選手の疲労や好不調に合わせた柔軟な起用が可能である。これは、ミゲル・アンドゥーハー(3B)やグレッグ・バード(1B)が故障する前のヤンキースがやろうとしていたことだ。エンカーナシオンの加入はそれを後押しすることが出来る。

 このトレードがヤンキースにどのような恩恵をもたらすのかはまだ分からない。故障者が順調過ぎる程に復帰するのであれば飽和は免れないし、常に誰かしらレギュラークラスを欠くというのであれば、打線に厚みを増すことが出来るエンカーナシオンの獲得は正しい判断である。今季、誰にどれくらい出場機会を与えられるかの見積もりが難しい中で戦力の向上を狙うのであれば、見返りは少ない方が良い。多くの見返りより金銭負担を重視したマリナーズ。(選手の)見返りを少なくリスクヘッジがしたいために必然的にベテランをターゲットにしたヤンキース。両者の思惑が一致したのが今回のトレードだろう。

 

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