THE PORTRAIT:ショーン・ドゥーリトル

Sean Doolittle

 

 

 

 

 

 

 

以前“THE PORTRAIT”シリーズで今年のオークランド・アスレチックスの原動力のピースとしてジョシュ・ドナルドソンを取り上げたが今回もそのアスレチックスに所属するとある新人ピッチャーに注目したい。実はその選手、ほんの1年前まではファーストとして登録されていた選手だ。彼の名前はショーン・ドゥーリトル。ルーキーながらも彼が奇跡的な躍進を遂げたアスレチックスのブルペンを大きく支えた1人であるのは間違いないだろう。

ニュージャージー州タベナクルという人口7000人弱の小さな町で育ったドゥーリトル。中学時代はピッチャーとして活躍したドゥーリトルは高校時代も投打において大車輪の活躍を見せ、チームをニュージャージー州優勝決定戦まで導いた。高校卒業時にはアトランタ・ブレーブスから39順目指名を受けるもこれを蹴ってバージニア大学へ進学。現ワシントン・ナショナルズの主力選手であるライアン・ジマーマンとチームメイトでもあったドゥーリトルはファースト兼ピッチャーとしてバージニア大学記録となる通算22勝(後に2011年全体2位指名ダニー・ハルツェンが破る)を挙げ2005年、2006年には2年連続でナショナルチームにも選出。大学でも大活躍だったドゥーリトルは2007年ドラフトでアスレチックスからドナルドソンより7人先の全体41位指名を受け入団。投手としての評価も決して低くはなかったがアスレチックスは彼の野手としての可能性を見込んでファーストとして指名。ここまでは順風満帆な野球人生を送っているようにも見えた。

チーム内プロスペクトランキングでも上位につけていたドゥーリトルだが2009年に怪我でシーズンをほとんど棒に振ると2010年も2つの膝の手術の影響で1試合もプレーできず。2年間を棒に振ったドゥーリトルは2011年に一大決心をし、ピッチャーへの再コンバートを決断。狂いかけていた彼の野球人生の軌道修正を図った。膝の手術の影響もあり、2011年は1試合にしか登板できなかったもののアスレチックス側はドゥーリトルの可能性を信じルール5ドラフト対策で彼を40人ロースターに追加。また投手への再転向という新しいスタートが功を奏したのか今年はマイナー3クラスでわずか25回しか投げていないものの防御率0.72、奪三振率17.3と支配的な投球を披露し、6月4日についにメジャー初昇格。6月16日に初勝利、7月21日のニューヨーク・ヤンキース戦で初セーブを挙げると次第に勝ち試合でも使われるようになり、プレーオフ争いを続けるチームを支えた。プレーオフでは若干打たれたもののシーズン通算では44試合47回1/3を投げ18ホールド、防御率3.04、60奪三振に対しわずか11四球ととても前年に投手に再転向したばかりには思えない成績を残した。

6フィート3インチの左腕が繰り出す最速90マイル後半の速球はマイナーの打者同様、メジャーリーグの打者もなかなか苦戦しているようだ。時にカーブやチェンジアップも混ぜるが配球の9割近くが速球。それだけ速球に自信を持っているとも言える。しかしながら速球だけで決して打者を圧倒しているわけではないし圧倒できるわけではない。素晴らしいコマンドが彼の投球を光らせているのは間違いない。打者の空振りを誘ったり、バランスを崩すような変化球をドゥーリトルはまだ持っていないがキャッチャーが構えたところにきっちり90マイル後半の速球を投げ込み1つずつきっちりアウトを取っていく姿が印象的だ。もちろん要所では三振を奪うこともできる。
起用法としては左投手ながら左打者を苦手としている傾向がある一方で右打者は完璧に抑え込んでいるため左のワンポイントとして起用するよりも今後もセットアッパーのほうが向いているかもしれない。武器となる変化球がないため現状クローザーを任せるのは荷が重いがまだ26歳と若く、今後の成長次第ではどう転んでもおかしくはない。

さてプロ入り後投手としては実質2年目の来季を迎えるドゥーリトル。当然他球団も研究してくるため今のような速球一辺倒では打ちこまれるケースが増えるかもしれない。この大きな壁をどう乗り越えるかが彼の今後のキャリアを左右すると言っても良いかもしれない。1年目はオークランドのファンを大いに沸かせたドゥーリトル、来年どんな成長を遂げるのか注目したい。

 

Text by Hayato UWAI
写真:http://en.wikipedia.org/wiki/File:Sean_doolittle_2012.JPG


One Response to THE PORTRAIT:ショーン・ドゥーリトル

  1. 早朝にアップしてました。今回はアスレチックスの若き左のセットアッパー、ショーン・ドゥーリトルをピックアップ。
    http://t.co/RxbYKqhU

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