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The Truth -日本人メジャーリーガーを辿る-:岩隈久志

Iwakuma

 

 

 

 

 

 

 

日本人メジャーリーガーの実像を追うシリーズ型のこのコラム。第6回はアップダウンの末にシアトル・マリナーズから2年$14Mの契約を得た岩隈久志のキャリアを辿る。

 

  • 躓いたスタート 

「安っぽいボールばかり投げる」。

2009年WBCでキューバや韓国を翻弄する活躍を披露していた岩隈久志に対し、あるメジャーリーグのスカウトはこう吐き捨てた。高いレベルで自らのイニングを完結させる側面は高い評価を得た。しかし90マイル前半のストレートとスプリッターを織り交ぜる内容は鮮烈なダルビッシュ有(レンジャーズ)のポテンシャルの前では惨めなモノであり、ローテーションの下位程度と見る向きも相応に存在した。

2011年オフに岩隈はFA権により1年$1.5Mでシアトル・マリナーズと契約を結んだ。結果的に彼は2つの障害を経て、先発として95イニングで防御率2.65のマリナーズ新人記録を打ち立てる活躍を持って上の評価を覆した。異国たる要素以上にタフであった環境と、上回った記録がエースのフェリックス・ヘルナンデスのモノであったこと。これらは岩隈の価値をより高めてくれている。

2つの障害。1つはヘスス・モンテロの存在である。ベネズエラ出身の23歳。捕手離れしたスケールを誇る打撃はエドガー・マルチネスと比較される程の素材であるが、その代償として捕手としてはキャッチングからスローイングまで、あらゆる側面で物足りない。スプリッターを主とする岩隈は、腰高な構えをする23歳に対し絶妙なコースへとボールを落とすことが出来なかった。盗塁阻止も粗削りなモーションゆえに苦労を強いられる。それは岩隈に限った話では無く、左右の揺さぶりが持ち味であるブレイク・ベバンを除いては誰しもがこれらの面で影響を受けた。結果的にモンテロが135試合のうち80試合でDHを任され、ミゲル・オリボが主にマスクを被る措置によりこのマイナス面は回避されることとなる。モンテロもOPSこそ.685と低調ながら15本塁打と相応なパンチ力は発揮。彼に関してはまだ23歳であり、一応は向上のプロセスを辿っている素材であることも忘れてはならないだろう。

しかし岩隈にとって最大の障害は監督であるエリック・ウェッジであった。

スプリング・トレーニングを経て彼が構築したローテーションの5人に、岩隈やその間鮮烈な活躍を披露したニカラグア出身のルーキーであるエラスモ・ラミレスの名は無かった。スプリング・トレーニング間で88マイル程度を計時するに止まった岩隈を、まさしくウェッジは「安っぽい」存在であると評価を下した。彼はキャリアで経験の無いリリーフとして開幕した上に、メジャーで初めての登板機会を得たのはシーズン15試合目となる4月20日のシカゴ・ホワイトソックス戦とマリナーズ側も彼の起用には明らかに消極的であった。ウェッジは彼やラミレスの代わりに、相応なコントロールとあらゆる側面で平均点しか叩き出せないヘクター・ノエシをマウンドに送り続けた。ノエシは6月29日時点で早くも10敗を喫した。にも関わらず、岩隈はブルペンで飼い殺され、ラミレスに至っては傘下マイナーへ降格された。

リリーフとして肩が出来上がるまでの時間は重要な要素であり、また短いイニングをパワーで捻じ伏せることが出来る側面も必要なポテンシャルである。しかし岩隈はそのいずれも持ち合わせてはおらず、リリーフとしてギアを上げて投げ込むボールも93マイル前後に止まった。モンテロの技術面も含め、リリーフとしての岩隈はもはや持ち味を失っていた。

リリーフとして30イニングを経験し23奪三振/13四球。本人は常に、この新しい経験を楽しんでいると語っていた。しかし値は正直である。明らかにリリーフとしての岩隈は惨めであった。速くも無いストレートと、何とも言い難いゾーンへのスプリッター。慣れないポジションであることは考慮すべきであるが、誰からも良さを感じられる雰囲気は無かった。

そんな彼に転機が訪れたのは7月に入った頃のことであった。

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One Response to The Truth -日本人メジャーリーガーを辿る-:岩隈久志

  1. 隔月「日本人メジャーリーガー」コラムです。今回はマリナーズの岩隈久志をピックアップしました。 #mlbjp
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