The Truth -日本人メジャーリーガーを辿る-:田澤純一

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日本人メジャーリーガーの実像を追うシリーズ型のこのコラム。第3回はボストン・レッドソックスで4年目のシーズンを迎える田澤純一を辿る。

 

 

◯スティーブン・ストラスバーグ

2008年12月4日にボストン・レッドソックスが契約を交わしたのは、島国のアマチュア野球でプレーする22歳の若い右腕であった。3年330万ドルという値以上に彼に対して高い評価であることを忘れてはならない。日本にはプロ野球を経ないキャリアを辿ることを異端と捉える向きが伝統的だ。レッドソックスが日本のアマチュア選手を獲得することは、彼らがメジャーリーグとプロ野球間で暗黙の了解として知られる紳士協定、すなわち互いの選手市場に対しては干渉しない取り決めに違反するものであり、今後の信頼関係を損なうリスクを孕んだ決断であった。レッドソックスは田澤に対しメジャー契約を提示した。彼の実力と、彼を取り巻く環境。その全てを考慮し最大限の誠意を示した結果であると言えるだろう。

それから4年が過ぎた。レッドソックスが多大なリスクを承知し獲得した宝物は、メジャー経験56.1イニングに止まっている。2010年にトミー・ジョン手術を受けた田澤に対し、チームは酷く臆病になっている。調整を兼ねたA+と2Aでの登板後、彼は3Aとメジャーいずれのクラスでもリリーフとして起用されている。紛れも無くエース候補として迎え入れたはずの存在は、もはや色褪せてしまった。

しかし私は言おう。彼はスティーブン・ストラスバーグ(ナショナルズ)と同じステージとして括られるべき存在だ。私は正気であるし、至って健康である。だからもう一度言おう。私は田澤を評価している。ストラスバーグと比較出来る程であると信じている。97マイルを放ち、素晴らしいカーブとスプリッターを卓越したコマンドで操る。簡潔に言えば、田澤は2008年、22歳の時点で既にトータルパッケージであった。プロスペクトとして、粗削りな側面が見当たらない。バネ仕掛けの人形のようなぎこちないフォームが目立つ程度である。

トータルパッケージの素材がこれ程までに見過ごされることは珍しいが、田澤に関しては当然であろう。所詮は56.1イニングの経験だ。存在が認知されているはずも無い。

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