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Category Archives: コラム

Look Back 2011 BA Prospect Ranking 41~50

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MLBを語るに際して決して忘れることのできないプロスペクト。見事に期待に応えてスタープレーヤーへと成長を遂げる選手もいれば、メジャーの舞台に辿り着くことすらなく消えていく選手も少なくない。一昨年、昨年と好評をいただいた当コラムだが、今年は趣向を変え、2011年版のBaseball America発表のプロスペクトランキングTOP100から上位50名を取り上げてその軌跡を振り返るとともに、2016年の成績をもとにした5年後のランキングも掲載したので合わせてお楽しみいただきたい。なお、今回は2011年版ランキングから41~50位を取り上げる。

 

2011 BAランキングと独自に作成した2016 FEDランキングの比較

順位  2011 Baseball America  2016 Far East Division 変動
1 ブライス・ハーパー WSH マイク・トラウト LAA ↗1
2 マイク・トラウト LAA クリス・セール BOS ↗↗18
3 ヘスス・モンテロ NYY ザック・ブリットン BAL ↗↗25
4 ドモニク・ブラウン PHI マニー・マチャド BAL ↗↗10
5 フリオ・テヘラン ATL アロルディス・チャップマン NYY ↗2
6 ジェレミー・ヘリクソン TB フレディ・フリーマン ATL ↗↗11
7 アロルディス・チャップマン CIN フリオ・テヘラン ATL ↘2
8 エリック・ホズマー KC ブランドン・ベルト SF ↗↗15
9 マイク・ムスタカス KC ブライス・ハーパー WSH ↘8
10 ウィル・マイヤーズ KC ゲイリー・サンチェス NYY ↗↗20
11 ジェームソン・タヤン PIT ウィル・マイヤーズ SD ↘1
12 ダスティン・アクリー SEA ビリー・ハミルトン CIN ↗↗38
13 シェルビー・ミラー STL ジェレミー・ヘリクソン PHI ↘7
14 マニー・マチャド BAL クリス・アーチャー TB ↗↗13
15 マット・ムーア TB デリン・ベタンセス NYY ↗↗28
16 マイケル・ピネダ SEA エリック・ホズマー KC ↘8
17 フレディ・フリーマン ATL ジェームソン・タヤン PIT ↘6
18 ジョン・ラム KC マット・ムーア SF ↘3
19 マイク・モンゴメリー KC マイク・モンゴメリー CHC →0
20 クリス・セール CWS ディー・ゴードン MIA ↗6
21 ジェイコブ・ターナー DET マーティン・ペレス TEX ↗3
22 デズモンド・ジェニングス TB マイク・ムスタカス KC ↘↘13
23 ブランドン・ベルト SF ブレット・ロウリー CWS ↗↗17
24 マーティン・ペレス TEX マイケル・ピネダ NYY ↘8
25 ロニー・チゼンホール CLE ランドール・デルガド ARI ↗↗11
26 ディー・ゴードン LAD ロニー・チゼンホール CLE ↘1
27 クリス・アーチャー TB トラビス・ダーノウ NYM ↗9
28 ザック・ブリットン BAL カイル・ギブソン MIN ↗6
29 カイル・ドレイベック TOR アーロン・ヒックス NYY ↗↗16
30 ゲイリー・サンチェス NYY デズモンド・ジェニングス TB ↘8
31 ケイシー・ケリー SD シェルビー・ミラー ARI ↘↘18
32 タイラー・マツェック COL ジョーダン・ライルズ COL ↗↗10
33 ジャロッド・パーカー ARI ジョン・ラム CIN ↘↘15
34 カイル・ギブソン MIN ジェイコブ・ターナー CWS ↘↘13
35 ランドール・デルガド ATL ダスティン・アクリー NYY ↘↘23
36 トラビス・ダーノウ TOR ケイシー・ケリー ATL ↘5
37 マイク・マイナー ATL ヘスス・モンテロ BAL ↘↘34
38 ブレット・ジャクソン CHC ジョナサン・シングルトン HOU ↗1
39 ジョナサン・シングルトン PHI ウィリン・ロザリオ 韓国 ↗↗10
40 ブレット・ロウリー TOR ドモニク・ブラウン TOR ↘↘36
41 マニー・バニュエロス NYY カイル・ドレイベック ARI ↘↘12
42 ジョーダン・ライルズ HOU トニー・サンチェス LAA ↗4
43 デリン・ベタンセス NYY マイク・マイナー KC ↘6
44 ヘンリー・メヒア NYM マニー・バニュエロス ATL ↘3
45 アーロン・ヒックス MIN タイラー・マツェック COL ↘↘13
46 トニー・サンチェス PIT トレイ・マクナット SD ↗2
47 アレックス・ホワイト CLE ジャロッド・パーカー OAK ↘↘14
48 トレイ・マクナット CHC アレックス・ホワイト 無所属 ↘1
49 ウィリン・ロザリオ COL ブレット・ジャクソン 無所属 ↘↘11
50 ビリー・ハミルトン CIN ヘンリー・メヒア 追放 ↘6

※2016年球団に所属しており、かつシーズン終了後FAの選手は2016年にプレーした球団を記載

 

インターナショナル・ドラフトはメジャーリーグを面白くするのか

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現行のCBA(労使協定)は今年の12月1日で期限が切れる。次期CBAで話題に挙がっているのがインターナショナル・ドラフトの開催についてだ。

コミッショナーのロブ・マンフレッドは就任時からインターナショナル・ドラフトの実装を口にしている。しかし、実施に反発したベネズエラとドミニカ共和国のトレーナー達がショーケースをボイコットするなど交渉は上手くいっていない。そこで、本稿ではインターナショナル・ドラフトについて考えていきたいと思う。

  • インターナショナル・ドラフト構想が持ち上がった背景

まず、そもそもなぜインターナショナル・ドラフト構想が持ち上がったのかという背景に触れておきたい。この問題を考えるためのキーワードは「戦力均衡」と「コストカット」だ。

「戦力均衡」は近年のメジャーリーグの最大テーマである。MLBは一部の裕福な球団に戦力が偏らないように、ぜいたく税制度やドラフト完全ウェーバー制などを取り入れ、戦力差が出ないような工夫が取り入れている。実際、近年はカブスやロイヤルズのように長らく優勝から遠ざかっていた球団がワールドシリーズを制するなど確実に成果を出している。

また、MLBは2012年締結のCBAでドラフトとインターナショナルアマチュアFAにボーナスプール制度を採用することによって、高騰する契約金の「コストカット」を試みた。ドラフトの方ではコストカットに成功しているが、インターナショナルアマチュアFAでは上手く機能していない。2012年以降、18チームがボーナスプール額を超過した。それは、ドジャース、ヤンキース、レッドソックス、カブスのような裕福な球団からレイズ、パドレス、ロイヤルズ、アスレチックスといった貧乏球団まで幅広い。

インターナショナルアマチュアFAでボーナスプール額を超過する球団が後を絶たない背景には理由がある。現行の制度ではボーナスプール額を超過した際の罰則が、罰金及び2年間の契約金の制限となっており、罰則によって2年間の制限を受けたとしても3年に1度は大物選手たちを青田買いできてしまう。MLBの戦力均衡政策によって、ドラフトやFAで戦力を補強するのが難しくなっているため、レッドソックスがヨアン・モンカダの獲得に罰金含めて$63Mを支払うなど各球団が10代の原石達に大金を支払うことを惜しまなくなった。

また、ルシウス・フォックス(現TB)は元々アメリカの高校に通っていたが、ドラフト前にバハマに移住し、そこでインターナショナルアマチュアFAとして契約金$6Mでジャイアンツと契約した。これはこの年の国内ドラフト選手では全体1位指名のダンズビー・スワンソン(ATL)の$6.5Mに次ぐ額であり、こういった高額契約を狙った抜け道への対策も求められていた。

そこで「戦力均衡」と「コストカット」の2つを実現するための方策として、インターナショナル・ドラフト構想が持ち上がったというわけだ。

 

  • MLBが構想するインターナショナル・ドラフトとは

ESPNのバスター・オルニーの報じたところによると、MLBは2018年3月に10巡に及ぶインターナショナル・ドラフトの開催を強く求めているようだ。そして2021年までに、契約できる年齢を16歳から18歳に引き上げるつもりだ。

さらに、オルニーは次のように報じている。「MLBは野球の提案の一環として、ドミニカ共和国で施設を運営し、そこで若いアマチュア選手を招待して教育と野球指導を施そうとしている。これは、以前よりもMLBが中南米選手の育成に関わってくるということだ」。

つまりMLBは、インターナショナル・ドラフトを開催することに加えて、現地のトレーナーが担っている選手の育成まで自分たちで行い、アマチュア選手の契約を完全に支配下に置こうという狙いなのだ。

 

  • インターナショナル・ドラフトの弊害とは

しかし、インターナショナル・ドラフトにも弊害はある。これについて考える前に、中南米諸国の選手育成システムについて確認しておこう。

まず、MLBが直接選手を発掘・育成しているわけではない。選手を見つけて育成するのは地元のトレーナーだ。彼らは地元のリトルリーグの試合に足を運んだり、トライアウトを行ったりするなどして12~13歳の有望な選手を見つけ、自身の養成プログラムに招待し、MLB球団と契約するまでの面倒を見る。

ドミニカの高校はアメリカや日本のように野球チームを持っておらず、個人的に養成プログラムに入り、そこで腕を磨いてMLBアカデミー入りを目指すことになる。ドミニカには貧困に苦しむ選手も多く、養成プログラムでは、選手にただ野球を教えるだけでなく、野球道具や食事、遠征費、住居などを無償で提供している。今やスター選手であるミゲル・カブレラ(DET)やロビンソン・カノー(SEA)も中南米の養成プログラムから巣立ってMLB球団と契約したのである。(ベネズエラは治安の悪化によりMLBアカデミーの撤退が相次いでいる)

あらゆるサービスを無償で提供しているトレーナーだが、彼らの収入源はMLB球団との契約金である。通常、選手の契約金の20~30%を受け取ることになっている。つまり出世払いである。

しかし、インターナショナル・ドラフトによって選手の契約金が削減されると、当然それを収入源にしているトレーナーの収入も減ってしまう。例えば、ドミニカは人口約1000万人の小国だが、2015年には158人のドミニカ出身選手がメジャーリーガーとしてプレーした。ドミニカやベネズエラといった中南米諸国からこれだけ質の高い選手を輩出することができているのは、間違いなく地元のトレーナー達の力によるものが大きい。

もし、インターナショナル・ドラフトが実施されるとなれば、トレーナーの収入減に伴い、養成プログラムの規模が縮小されるなどして野球選手の質が低下するのではないかという懸念が生まれる。もちろん戦力均衡は重要だが、インターナショナル・ドラフトの導入によって果たしてメジャーリーグは面白くなるのか。再度考え直す必要があるのではないだろうか。

さらに、ドラフト制度自体にも問題はある。通常米国のドラフトでは指名された際に、高校生であれば大学進学を、大学3年生であれば再び大学に戻ることを球団に伝えて交渉材料にすることができる。しかし、養成プログラムで育てられ、再度評価を上げる場もないインターナショナルアマチュア選手はそうした交渉材料を持っておらず、また貧しい家庭に育ったものも多いため契約交渉の場で足元を見られてしまうだろう。(例えば現PHIのマーク・アッペルは12年ドラフトで全体8位指名を受けたが大学に戻り、翌年のドラフトで全体1位指名を受けた)

またテーマである「戦力均衡」の面から見ても、国内ドラフト、インターナショナル・ドラフトいずれもウェーバー制を取り入れると、下位球団が有利になりすぎてしまうのでは?という疑問もある。例えば2015年であれば最下位の球団はダンズビー・スワンソン(ATL)とヨアン・モンカダ(BOS)を両獲りできることになってしまう。

 

 

  • インターナショナル・ドラフトが抱える真の問題

インターナショナル・ドラフトについては賛否両論ある。しかし、重要なのはインターナショナル・ドラフトが良いか悪いかということではない。基本的にCBAというのはMLB機構と(40人枠に入っている)メジャーリーガーとの間の約束事だ。どうしてもアマチュア選手やトレーナーの意見というのは軽視されがちになる。MLBはコストカットのためにインターナショナル・ドラフトを開催したいし、選手会はアマチュア選手のことなんかよりも、スーパー2などの年俸調停制度やFA制度の方が大事に決まっている。

もちろん、インターナショナルアマチュア選手の契約制度は改革を必要としている。しかし、MLB、メジャーリーガー、球団、トレーナー、アマチュア選手といった様々な人々が協力してアイデアを出し合うのではなく、むしろMLBとトレーナーが敵対構造になってしまっていることに問題があるはずだ。

MLBとトレーナーではMLBの方が立場が強いのは明らかだ。しかし、これは公平な議論ではないし、先述したように野球レベルの低下を招く可能性をはらんでいる。よりよい制度を創り上げるために、メジャーリーグをより面白くするために。今の目先の利益を優先とした風潮に一石を投じることができるのは、私たち―野球ファン―ではないだろうか。

 

Text by Haruki Sakurai
写真: https://flic.kr/p/8L8sw8

 

 

動くフロント~選手だけじゃない移籍の話~ 第3回 ボストン・レッドソックスの場合

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前回はこれまでの球団の在り方を根本から覆そうとするミネソタ・ツインズのフロント人事の動きについて取り上げた。今回取り上げるのはこれまでの2回で取り上げてきた球団とは違い、今シーズンは地区優勝も果たし、チーム作りも比較的上手く進んでいる球団だ。今回は自らフロントの人事を変えたのではなく、他の球団の引き抜きに合い、変えざるを得なかったのだ。

全3回で3球団のフロントの動きについて取り上げるこのコラム。第3回目はボストン・レッドソックスだ。

 

英雄の引退の陰で失った人物

2016年のレッドソックスのシーズンは過去2年の負け越しから脱却し、地区優勝を果たすなど素晴らしいものだった。2003年から14年間に渡ってチームに貢献し続けたデビッド・オルティズのラストイヤーでもあり、目標だったワールドシリーズ制覇とはいかなかったものの上出来だっただろう。オルティズがホームのフェンウェイパークでファンに最後のユニフォーム姿を見せチームを去った1週間後、レッドソックスに貢献してきたもう1人の男もチームを去った。

その男の名前はマイク・ヘイゼン。レッドソックスのGMからアリゾナ・ダイヤモンドバックスのGMとなったのだ。ヘイゼンがどういう人物かは第1回目で紹介してあるので詳しくはそこを参照してもらうとして、レッドソックスとしてはいきなりフロントの中でも大きな影響力のある人物を失うことになった。レッドソックスの最終的な決定権はデーブ・ドンブロウスキー編成最高責任者にあるとはいえ、GMの座がぽっかりと空いたままでは心許ない。

ドンブロウスキーが空いているGMの座にできる限り早く誰かを就かせようと動いたのは当然のことだっただろう。ドンブロウスキーは球団内の人物を昇格させGMに据えることが望ましいとし、元アトランタ・ブレーブスGMで現在はレッドソックスのフロントの一員であるフランク・レンを始めとして様々な役職の人物をGM候補とした。

最有力とされたのは前述したフランク・レンだった。1980年代からフロントで働いていたため経験という点では申し分なく、GMも務めていたため他球団とのコネクションもある。ドンブロウスキーとの関係も良好でGMと最高責任者の間で衝突が起こるということも回避できる。球団内で空いた穴を埋めようとしていたドンブロウスキーからすればこの上ない人物だった。しかし、レンはGMのオファーを断った。

レンは断ったのは現在の役職に愛着があることと、GMとなった場合に現在住んでいるアトランタからボストンへと引っ越す必要があることが理由だった。レンは今年で58歳。何か新しいことに挑戦するのにおっくうになっても仕方がないだろう。

ここからレッドソックスのGM選びは暗雲が立ち込め始めた。