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2017MLBオールスター予想 FED部員が決める現在のMLBで熱い選手は誰なのか?

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Category Archives: THE PORTRAIT

THE PORTRAIT:ジョーダニー・バルデスピン

Valdespin

まさしくホセ・レイエスの生き写しとも言うべき存在だ。2012年。彼はレイエスがニューヨークから去った年にメジャーデビューを果たし、そしてレイエスさながらなアスリート性を持ち味にルーキーイヤーを相応な活躍で飾った。それは他ならぬジョーダニー・バルデスピンのことである。

2007年にバルデスピンはメッツ傘下であるドミニカ・サマーリーグのDSLメッツで、ロースターを埋める目的でプレーを行う経験を得る。メッツはこのドミニカンに対し期待値は大きな期待を抱いていた訳では無く、最終的なバルデスピンの内容も.245/.369/.338と平凡なラインであった。しかしプレーを目にしたメッツは26三振/24四球のアプローチと、相応なスピードを兼ね備えたバルデスピンのアスリート性を評価し、彼は2007年にインターナショナルFAとしてメッツと契約を結んだ。当時すでに19歳。ドミニカ共和国出身の素材は16歳前後とかなり若いステージで契約を交わすケースがほとんどな中で、バルデスピンは相対的に高い年齢でのメジャー傘下の組織入りとなった。

以降バルデスピンは主に持ち合わせるアスリート性で評価を高める。ドミニカ・サマーリーグでプレーを行っていた2007年当時はルーキー・リーグで止まる程度の素材であると評された内野手が、2010年には2Aでプレーするまでに自らのステージを進めたのだ。そして迎えるブレイクイヤーは2011年。2Aと3Aでプレーをしたバルデスピンは17本塁打&37盗塁を始め、ほぼ全ての項目でキャリアトップとなる内容をマーク。2009年を終えた時点から『ベースボール・アメリカ』誌の傘下ランキングには名前を連ねていたが、2011年終了後はこの位置が11位まで向上。期待を上回る躍進を果たしたバルデスピンは、2012年にはいよいよメジャーの舞台に上り詰めた。メジャーでは打率こそ.241ながら8本塁打とパンチ力を発揮。初打席でジョナサン・パペルボンから決勝の3ラン本塁打を放った等の鮮烈さに加え、シーズントータルでもOPSは.710と相応な活躍を披露した。

コンタクトの良さが持ち味の左打者。マイナーではシーズン単位でも打率が.300を上回ったことは無いが、通算で.283と相応な水準を記録している。ここに30盗塁を期待出来るだけのスピードを兼ね備えたアグレッシブなスタイルがバルデスピンの持ち味だ。マイナーでの内容は.283/.330/.427であるが、上で示したレイエスもマイナー通算では.284/.338/.424。バッティングのメカニクスのみならず、彼がレイエスと比較される素材であるのはこうした側面も存在する。メジャーではレフトで主にプレーしたが、マイナーでは2Bとショートを任された。肩の強さに不安を露呈している点はレイエスと異なる数少ない部分であるが、2Bやセンターとしてはスピードを生かし幅広いレンジをカバー出来るとこちらも評価が高い。さらに今シーズン5つのポジションをこなしたユーティリティ性、プレーもスマートであるとされるバルデスピン。以上のツールや側面を持つ彼は、限られたロースター枠をフルで生かす上で、彼はとても大きな意味を持つ存在だ。

アスリート性を傑出性とする傾向が顕著なドミニカ出身の素材であるが、バルデスピンは攻守に相応なまとまりを感じさせる。しかしレイエスと比較される素材ながら、いくつかの面が影響した結果として、バルデスピンはユーティリティとしての評価を得るに止まっている。主たるはアプローチ面。強烈なフリースインガーであり、107試合に出場した2011年の2AではBB%が4.8%。FanGraphsでは4.0%以下を「酷いレベル」、5.0%以下を「弱さを露呈」と定義しており、バルデスピンは明らかに選球眼という点でネックとなる素材だ。打率の割に出塁率が伸び悩む要素として大きな意味を持っている。

また、バルデスピンはレイエス程鮮烈なアスリート性を兼ね備えている訳では無い。ロケットミサイルのようなスローイングを兼ね備えた天性の韋駄天であったレイエスに対し、バルデスピンのツールは傑出しているとは言い難い。レギュラーとして15本塁打&30盗塁が期待される素材だが、レイエスがダイナミックなプレーで沸かすタイプである一方、彼はパワーとスピードのバランス面で評価を得ていると言った方が良いだろう。

バルデスピンはツールの多彩さに立脚した柔軟性が高く評価される素材だ。レギュラー候補よりは、そうしたユーティリティとしての側面が彼の価値を高めている。しかしセンター不在のチーム事情や、パワーとスピードを兼ね備える存在としてバルデスピンにはチャンスがある。スピードを生かした幅広い守備範囲には定評があり、センターとして評価する向きも現在のメッツでは明らかに存在している。アプローチ自体は粗削りながら、リードオフ型の素材として適正がある存在がバルデスピン以外それ程存在しないことも事実であり、2013年は彼にとって大きなチャンスとなるはずだ。

いずれにせよ、長くメジャーで生き残れるタイプの典型であると言えよう。とてもアスレチックなユーティリティー・プレーヤー。それがジョーダニー・バルデスピンだ。

 

Text by Koichi MIYAZAKI
写真:http://www.flickr.com/photos/slgc/7408858572/

THE PORTRAIT:ショーン・ドゥーリトル

Sean Doolittle

 

 

 

 

 

 

 

以前“THE PORTRAIT”シリーズで今年のオークランド・アスレチックスの原動力のピースとしてジョシュ・ドナルドソンを取り上げたが今回もそのアスレチックスに所属するとある新人ピッチャーに注目したい。実はその選手、ほんの1年前まではファーストとして登録されていた選手だ。彼の名前はショーン・ドゥーリトル。ルーキーながらも彼が奇跡的な躍進を遂げたアスレチックスのブルペンを大きく支えた1人であるのは間違いないだろう。

ニュージャージー州タベナクルという人口7000人弱の小さな町で育ったドゥーリトル。中学時代はピッチャーとして活躍したドゥーリトルは高校時代も投打において大車輪の活躍を見せ、チームをニュージャージー州優勝決定戦まで導いた。高校卒業時にはアトランタ・ブレーブスから39順目指名を受けるもこれを蹴ってバージニア大学へ進学。現ワシントン・ナショナルズの主力選手であるライアン・ジマーマンとチームメイトでもあったドゥーリトルはファースト兼ピッチャーとしてバージニア大学記録となる通算22勝(後に2011年全体2位指名ダニー・ハルツェンが破る)を挙げ2005年、2006年には2年連続でナショナルチームにも選出。大学でも大活躍だったドゥーリトルは2007年ドラフトでアスレチックスからドナルドソンより7人先の全体41位指名を受け入団。投手としての評価も決して低くはなかったがアスレチックスは彼の野手としての可能性を見込んでファーストとして指名。ここまでは順風満帆な野球人生を送っているようにも見えた。

チーム内プロスペクトランキングでも上位につけていたドゥーリトルだが2009年に怪我でシーズンをほとんど棒に振ると2010年も2つの膝の手術の影響で1試合もプレーできず。2年間を棒に振ったドゥーリトルは2011年に一大決心をし、ピッチャーへの再コンバートを決断。狂いかけていた彼の野球人生の軌道修正を図った。膝の手術の影響もあり、2011年は1試合にしか登板できなかったもののアスレチックス側はドゥーリトルの可能性を信じルール5ドラフト対策で彼を40人ロースターに追加。また投手への再転向という新しいスタートが功を奏したのか今年はマイナー3クラスでわずか25回しか投げていないものの防御率0.72、奪三振率17.3と支配的な投球を披露し、6月4日についにメジャー初昇格。6月16日に初勝利、7月21日のニューヨーク・ヤンキース戦で初セーブを挙げると次第に勝ち試合でも使われるようになり、プレーオフ争いを続けるチームを支えた。プレーオフでは若干打たれたもののシーズン通算では44試合47回1/3を投げ18ホールド、防御率3.04、60奪三振に対しわずか11四球ととても前年に投手に再転向したばかりには思えない成績を残した。

6フィート3インチの左腕が繰り出す最速90マイル後半の速球はマイナーの打者同様、メジャーリーグの打者もなかなか苦戦しているようだ。時にカーブやチェンジアップも混ぜるが配球の9割近くが速球。それだけ速球に自信を持っているとも言える。しかしながら速球だけで決して打者を圧倒しているわけではないし圧倒できるわけではない。素晴らしいコマンドが彼の投球を光らせているのは間違いない。打者の空振りを誘ったり、バランスを崩すような変化球をドゥーリトルはまだ持っていないがキャッチャーが構えたところにきっちり90マイル後半の速球を投げ込み1つずつきっちりアウトを取っていく姿が印象的だ。もちろん要所では三振を奪うこともできる。
起用法としては左投手ながら左打者を苦手としている傾向がある一方で右打者は完璧に抑え込んでいるため左のワンポイントとして起用するよりも今後もセットアッパーのほうが向いているかもしれない。武器となる変化球がないため現状クローザーを任せるのは荷が重いがまだ26歳と若く、今後の成長次第ではどう転んでもおかしくはない。

さてプロ入り後投手としては実質2年目の来季を迎えるドゥーリトル。当然他球団も研究してくるため今のような速球一辺倒では打ちこまれるケースが増えるかもしれない。この大きな壁をどう乗り越えるかが彼の今後のキャリアを左右すると言っても良いかもしれない。1年目はオークランドのファンを大いに沸かせたドゥーリトル、来年どんな成長を遂げるのか注目したい。

 

Text by Hayato UWAI
写真:http://en.wikipedia.org/wiki/File:Sean_doolittle_2012.JPG

THE PORTRAIT:コール・デブリース

De Vries

ミネソタ大3年時の2006年に、コール・デブリースは防御率2.42&72奪三振でリーグトップの値を記録した。しかし傑出した内容でありながら、そしてメジャーリーグでは例年1500人程がドラフトで指名されるにも関わらず、デブリースは2006年時のドラフトで全てのチームのリストから漏れた。結果的にはその年8月よりアマチュアFAとしてミネソタ・ツインズとの契約に合意する形でプロとしてのキャリアを辿り始めたが、明らかにコール・デブリースはアンダードッグであった。

アマチュアFAたる立ち位置からもメジャーの舞台でのブレイクを果たした素材はマイク・アダムスやブランドン・ビーチー等多彩に揃うが、彼らはいずれもマイナーで鮮烈な内容を披露した共通項が存在する。しかし簡潔な話をすれば、デブリースはマイナー時の内容も目立つモノでは無かった。2008年にはA+で10勝&防御率2.98をマークするも、翌年2Aで防御率4.84、K/BBも1.96と平凡な内容で終えると、2010年以降はリリーフメインの起用法へとシフトされてしまう。2010年は48登板中43試合、2011年は45登板で43試合リリーフとして傘下で扱われ、2010年に至っては防御率も5.79。3Aまで歩を進めていたが、デブリーズのキャリアは傑出したモノでは無く、『ベースボール・アメリカ』誌でも1度も傘下のプロスペクトとして扱われることは無かった。

しかし2012年にデブリースのキャリアはにわかに風向きが変わる。3Aで先発ローテーションを任されると、この年12度の先発で70.0イニング、1.6を記録したBB/9に相まってK/BBが5.00の高い値をマーク。5月24日にはシカゴ・ホワイトソックス戦でメジャーデビューを果たし5.0イニングで96球、自責点3で抑える内容を披露した。その後も16度の先発含め17試合で登板を果たし、87.2イニングを経験。ここ数年崩れが伺えるツインズ先発ローテーションにおいて、今シーズン80イニング以上を投げた選手で唯一のK/BB3点以上を記録したデブリースは、ドラフト時のアンダードッグ評から一躍にして期待の新星へと自らの立ち位置を高めたのだった。

マイナー通算のK/BBは2.68に止まるが、デブリースの持ち味は全てのボールを安定したコマンドで操ることが出来る部分にある。90マイル前後の4シームとスライダー。カーブとチェンジアップを織り交ぜる内容は傑出した側面も無く、地味なピッチングであると評するに尽きる。しかし自ら自滅することが無い安定感は評価に値する上に、高目の4シームで打者を捻じ伏せるシーンも散見される部分はデブリースの特徴であろう。最速でも93マイルに止まる右腕であるが、1言で技巧派と表現するには複雑な要素を兼ね備えた素材であると言える。

純粋なパワー面ではアドバンテージを持たないデブリース。彼にとって70マイル前半のカーブは重要なアクセントである。大きな弧を描く訳では無いが、緩急を作り出す上で大きな影響を持っているボールだ。4シーム主体でフライの割合も高いが、要所をストレートで押すことが出来る場面は明らかにカーブによって作り出されている。驚くべきボールでは無いが、スライダーも上質な部類である。空振りを奪うよりもバットの芯を外す上で意味のあるボールだ。

凄さは無いが、まとまりのあるスタイルを誇る。1985年生まれで既に27歳。大幅な向上が望める年齢では無いが、堅実なローテーション下位として注目したい存在だ。16度の先発で彼が5イニングを投げ切れなかった試合は僅かに2度のみである。監督であるロン・ガーデンハイヤーを含め、誰しもがデブリーズが持つ粘り強さを評価している。

左右では右打者に対しての方がOPSは悪く、それぞれ.773/.690である。しかしK/BB等の面を考慮すれば攻め手に苦慮しているのは左打者に対してであり、その上ではチェンジアップの向上が課題となろう。よりチェンジアップの比重を増やすプロセスを経て、左右共に安定したカウントを維持することが出来るようになるはずだ。

ミネソタで生まれ育ったデブリース。メジャーの舞台で一定の証明を終えた今、次なるステージはミネアポリスのカルト・ヒーローだ。地味ながらも堅実な存在。まさしくツインズらしい素材では無かろうか。

 

Text by Koichi MIYAZAKI
写真:http://www.flickr.com/photos/courtney_silvia/7658648404/