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スタントンがヤンキースへトレード、ジャッジと本塁打王コンビを結成へ

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Category Archives: THE PORTRAIT

THE PORTRAIT:パトリック・コルビン

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2010年はパトリック・コルビンが自らの価値を高める上で大きな意味を持つ年となった。90マイルを計時するポテンシャルを評価され編入したチポラ短大での1年を経て、彼は2009年ドラフトでロサンゼルス・エンゼルスより全体80位指名を受けた。本人曰く「三振に拘った結果」2009年は傘下ルーキーリーグで防御率5.05と目立つ内容を披露出来なかったが、上にも記した通りである。2010年は彼が辿った23年のキャリアで最も鮮烈な年となったのだ。

2010年である。この年コルビンは自らがいかに高いレベルで総合性を兼ね備えた素材かを値たる側面をもって証明した。傘下Aでプレーを経たコルビンは、58.1イニングでA+へとステージを上った。防御率は3.86ながら、9試合で8勝をマーク。K/BBも4.20と高い値をマークしていた。A+でも11先発で5勝。K/9が9.5を記録した彼が1年も経たない間に自らの立ち位置を大幅に向上させたことは当然の帰結であった。

程無くして、その高い評価はトレードたる形で示される。2010年7月25日にエンゼルスはアリゾナ・Dバックスのエースであるダン・ヘイレンをトレードで獲得したが、放出した4人のうちの1人として、コルビンはプロキャリアで初めての移籍を経験した。共に動いたのがジョー・ソーンダースとラファエル・ロドリゲスであったことを考えれば、Dバックス側が彼と、同じくエンゼルス傘下で高い評価を受けていた左腕であるタイラー・スキャッグスに対しどれ程の期待を与えていたか想像が出来よう。70マイル強のカーブを持ち味に支配力がより高いスキャッグスの方がエース候補として評価は高かったが、完成された素材たる側面は両者に共通していた。

自らのブレイクと、大物獲得のトレード要員たる2つの経験を2010年に得たコルビン。Dバックス移籍後も完成度には一寸の曇りも無かった。防御率にはやや波があったものの、K/BBが示す通り高いレベルの内容を維持。9勝8敗ながらキャリアトップとなる160.1イニングを経験した2011年を経て、2012年4月30日にはマイアミ・マーリンズを相手に先発として自らのメジャーデビューを飾った。この試合では5.2イニングで3失点。6奪三振を記録する内容でメジャーの舞台での初勝利も記録している。

メジャーの舞台でもK/BBが3.44であったコルビン。6フィート2、185ポンドの体格は恵まれているとは言い難い上に、ボール自体も90マイル前後と傑出している訳では無い。しかし躍動感に溢れたフォームから放つストレートは動きに富み、スライダーも力強い変化を披露する。いずれもアウトピッチと言う程には高いレベルを誇るボールでは無いが、水準以上の出来であることは評価すべきだ。ストレートとスライダーで配球の85%を占め、うち68.9%はストレート。積極的にゾーンにボールを集めるスタイルが何よりの持ち味だ。自ら崩れる型の素材では無く、マイナー時を含め過去K/BBが3を下回ったシーズンが1度も無い。コルビンはポテンシャル評よりもデータが示す値で評価を受ける存在の典型だ。

一方で2012年は左右打者共にOPS.780以上。これはチェンジアップの不安定さとコマンド面の問題に起因するモノである。チェンジアップは腕の振り含め向上の余地はあるとされるが、まだ動き等課題も揃うボール。コマンドも特に変化球で不安定さを露呈するシーンが目立ち、スライダーとチェンジアップが甘いゾーンへ集まる傾向も存在する。エース候補と評価出来る程では無いが、今後のキャリアでより高い地位を築く上では以上の2点がキーになるはずだ。

傘下にエース候補生が幾人も揃うDバックスにおいて、コルビンはほぼ問題無くローテーションの下位が自らの位置となると思われる。傑出性では無く全体的なまとまりで貢献を果たすタイプの典型であり、崩れない内容でイニングを稼ぐことが出来る面ではDバックスでもトップクラスの評価を得るべき素材だ。K/BB等の値の割にコマンドが粗い側面も存在するが、これまでのキャリアを辿れば心配をする必要も無いと言えるはずだ。むしろ23歳にしてそのような内容を披露出来ることにコルビンには価値がある。

パトリック・コルビン。目立つ存在では無いが、Dバックスの陰に彼の存在があること。それを把握する必要に迫られる時は訪れるかもしれない。

 

Text by Koichi MIYAZAKI
写真: http://www.flickr.com/photos/theseanster93/1152356149/

THE PORTRAIT:ジェイコブ・ターナー

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ジェイコブ・ターナーはミズーリ州セントチャールズ出身の21歳。セントルイスのウェストミンスター・クリスチャンアカデミーから2009年ドラフト1巡目(全体9位)でデトロイト・タイガースに指名され、契約金550万ドルで入団した。

2010年開幕時、ベースボールアメリカ・プロスペクトランキングにおいてタイガース傘下1位、全体でも26位という評価を受け、将来のエース候補生として一躍名を馳せた。2011年にはプロスペクトランキングで全体21位まで評価を上げ、マイナーで4勝5敗、ERA3.30、131IPで110K/35BBという成績をおさめた。同年7月30日のロサンゼルス・エンゼルス戦で20歳の若さでメジャーデビューを果たした。メジャー1年目は勝ち星をあげることはできず、3試合先発し0勝1敗、ERA8.03という成績に終わった。

不本意な成績に終わったものの2012年開幕前のベースボールアメリカ・プロスペクトランキングでは全体22位と評価され、デトロイト・タイガース最後の登板となった7月22日にメジャー初白星をあげた。翌日の23日にアニバル・サンチェス(RHP)、オマー・インファンテ(2B)とのトレードでロブ・ブラントリー(C)、ブライアン・フリン(RHP)とともにマーリンズへ移籍し、その後ローテーションに定着した。今季の成績は10試合に先発し2勝5敗、ERA4.42、55IPで36K/16BBという成績だった。

6フィート5インチ(約195センチ)、95キロという恵まれた体格に加え、最速96マイルのフォーシームに加え、ツーシーム、カッター、スライダー、カーブ、チェンジアップという球種を持つ。特にカーブはパワーカーブとも称され、キレがあり、速球に次いで多く投げられている球種だ。
ボールを低めに集められるコマンドの良さが売りで、今季のBB/9は2.62、キャリア通算のBB/9も2.66と優秀な成績を残している。ただ、メジャー昇格以降は三振を多く奪うことができず、今季はK/9が5.89という成績に終わった。
最速96マイルという速球を誇るパワーピッチャーであるが、空振りを奪えずコンタクトされることも多いため支配的な投球ができていないため、将来のエース候補という点が疑問視されている。しかし、21歳の若さながら安定した投球内容を披露しており、ローテーション上位を投げられる投手になれる素材である。

現時点のマーリンズはエースが不在で、先発投手陣には安定した成績をおさめられる選手が必要とされている。よってターナーは来季の先発ローテーションで上位を投げることになるだろう。登板するイニングを増やし、経験を積んでいき、どれだけ成長できるかが彼のキャリアにおける大きなポイントだろう。

彼の今後の成長に期待したい。

 

Text by Fumiya OGURA
写真:http://www.flickr.com/photos/begreen90/5478110478/

THE PORTRAIT:ジョシュ・ドナルドソン

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奇跡とも言える快進撃で見事逆転優勝を果たした今年のオークランド・アスレチックス。その要因としては新人たちの活躍やここ一番での勝負強さなど様々な点が挙げられるがキャッチャー上がりの急造サード、ジョシュ・ドナルドソンの存在を忘れてはいけない。

オーバーン大から2007年にシカゴ・カブスからドラフト1順目(全体48位)指名されたドナルドソン。ドラフト後すぐに入団し、A-級で49試合の出場ながらも.346/.470/.605、9HR、35打点といきなり好成績を残し、プロ生活に上々のスタートを切った。しかし翌年、A級に昇格したドナルドソンは壁にぶち当たる。63試合の出場で.217/.276/.349となかなか調子が上がらず、結局その年のトレードデッドラインに現阪神タイガースのマット・マートン、ショーン・ギャラガー、エリック・パターソンと共にリッチ・ハーデン、チャド・ゴーダンと交換でアスレチックスに移籍。アスレチックス移籍後は順調にマイナーの階段を駆け上がり、2010年4月30日に正捕手カート・スズキの怪我もあってついにメジャー初昇格。初打席こそ三振に終わったが、メジャー初ヒットはツーランホームランと鮮烈なデビューを飾った。

昨年は一度もメジャーでプレーせずに終わったが、今季はスプリング・トレーニング開始直後にサードのレギュラー筆頭候補だったスコット・サイズモアが怪我で早々にシーズン全休が決定、急遽ドナルドソンのサードへのコンバートが決まった。スプリング・トレーニングでは大学以来となるサードを守る負担もあったが.270/.319/.413とまずまずの成績を残し、開幕メジャー入りを果たす。

しかしいざ開幕するとなかなか調子が上がらず。4月は9試合の出場で打率.094、5月は15試合の出場で打率.170とメジャーの投手相手に全く歯が立たず、ウェーバーでデトロイト・タイガースから獲得したブランドン・インジの活躍、同時期にルーク・ヒューズを獲得したこともあり、6月にマイナー落ち。首脳陣としては一応調整という意味も込めての降格だったかもしれないが正直あまり戦力としては期待していなかっただろう。しかし意外にもこれが功を奏し、AAA級で51試合.335/.402/.598、13HR、45打点と大暴れ。2か月足らずで再びメジャーの大舞台に戻ってきたドナルドソンはマイナーでの勢いそのままで8月は.344/.408/.625、4HR、14打点と大活躍。9月に若干調子を落とすも1敗も許されない状況で迎えた9月29日のシアトル・マリナーズ戦では値千金の同点ツーラン、地区優勝決定戦となったテキサス・レンジャース戦ではいずれも得点に繋がる2安打、負けたら終わりのタイガースとのディビジョン・シリーズ第4戦では最終回に守護神ホセ・バルバーデからツーベースを放ち、同点のホームを踏むなどここ一番での活躍が光った。シーズン通算成績は75試合.241/.289/.298、9HR、33打点とあまり見栄えは良くないが記録よりも記憶に残る活躍を見せてくれたとも言えるだろう。

 シーズン前ベースボール・アメリカにチーム20位のプロスペクトという評価を受けていたドナルドソン。メジャーレベルではまだ発揮されていないがマイナー時代は選球眼の良さとパワーが売りの選手。ビリー・ビーンGM好みの選手とも言えるだろう。三振率はマイナー、メジャー通じても20%前後と悪くはない。今季は低打率に終わっているがその理由としてはBABIPが.278とキャリア平均を約3分ほど下回っているのもあるため最終的にはメジャーでも打率.260程度、キャリアハイで.280-.290程度は期待できるのではないだろうか。もちろんそれには今あまり得意としていない変化球をなんとかしなければならない上、ゴロ/フライ率も最低でも1以下にしたいところ。
守備面では大学時代以来のサードとなったがブランクを全く感じさせない動きを見せ、今季UZRは7.2、DRSも4を記録するなど非常に安定感があった。キャッチャーとしてプレーできるレベルの強肩も兼ね揃えているため幾度となく守備でチームを救ってきたのは言うまでもない。

来季以降さらなる飛躍が期待されるドナルドソン。しかし今までTHE PORTRAITシリーズで紹介してきた選手たちと同様、彼もまた来季のレギュラーが確約されているわけではない。ドラマチックな2年目のシーズンを終えた彼は来季どんな年を送るのだろうか。

 

Text by Hayato UWAI
写真:http://www.flickr.com/photos/mwlguide/2435854476/