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Category Archives: The Truth – 日本人メジャーリーガーを辿る

The Truth -日本人メジャーリーガーを辿る-:田中将大

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日本人メジャーリーガーの実像を追うシリーズ型のこのコラム。第10回は「24勝0敗」という現代野球では不可能に近いとも考えられていた成績と共にメジャーへと飛び立った、田中将大を取り上げる。

 

7年総額$155M。およそ法外な契約を結んだ田中将大のメジャーキャリアにおける“たかが”1年目を振り返ることに果たして意味があるのだろうか。私が行いたいのは、彼を手放しに称賛することでも、綿密にデータを検証していき問題点を掘り下げることでもない。もちろん、それら自体には価値を見出すことが可能である。

だがこの記事においてはその点を無視し、彼の今年1年で見せたパフォーマンスが「WS制覇を目指すヤンキース」、そして「投手:田中将大のキャリア」両方にどのような影響を及ぼしたのか、という1点に絞り田中将大という選手を解剖していこう、というものだ。

The Truth -日本人メジャーリーガーを辿る-:青木宣親

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日本人メジャーリーガーの実像を追うシリーズ型のこのコラム。第9回は、2000年代のNPBを代表するヒットメーカーである青木宣親に焦点を当てる。

 

 

  • リードオフマン「ノリ・アオキ」

例えば日本のプロ野球ファン100人に「現役選手でヒットメーカーと言えば誰か?」という質問を出したとしよう。多くはイチロー、何人かは内川聖一と答える。その中にミルウォーキー・ブルワーズのリードオフマン「青木宣親」の名前も必ず含まれているはずだ。

NPB通産打率.329。日本であと100打席バットを振らずとも1位になるあたり、この男の一際優れた能力がわかる。メジャーリーグでも彼の価値は変化していない。現地時間26日で打率.322と打撃のチーム・ブルワーズの1番として先陣をきっている。そんな青木宣親を構成する3つの要素を解析してみよう。 

 

1. 打撃

青木の特徴を語るとするならば、まずは打撃からだろう。彼の打撃に関して、去年からの変化が2つある。第一に四球数の増加。1番打者として先発投手の立ち上がりを攻め、多くの球数を投げさせ四球を得ることができるのは、一見地味な作業だ。しかし、青木の後に控えるジーン・セグラ、ライアン・ブラウン、アラミス・ラミレスの並びはメジャートップクラスの破壊力を秘めている。調子が悪くヒットが打てない状態において、どうやって塁を埋めるのかが青木の仕事なのだ。第二に、三振数の減少。コンタクトのうまさは日本時代から抜きん出ていて、MLBのレギュラークラスで40試合以上出場している野手の中では三振11と一番少ない。特に5月は未だ三振3つしかしていないので、さらに驚きだ。球界屈指のコンタクトヒッターであるマルコ・スクータロには3%近く及ばないが、コンタクト率も92.6 %と非常に優れた結果を残している。

 

2. 走塁

昨年よりも内野ゴロの傾向が強くなってきており、イチローのように自慢の快速を飛ばしてヒットを量産するスタイルに変化してきたのだろう。5月13日のピッツバーグ・パイレーツ戦はそれを象徴する試合だった。ピッチャー強襲やサード強襲で、敵野手のフィールディングが青木の足を意識するあまり、悪くなる場面が見受けられた。結果ヒットをもぎ取ることに成功していた。一方、盗塁は減少傾向にある。昨シーズンも後半戦からペースを上げてきたが、ここまで12回盗塁を試みて6回失敗している。警戒されているとポジティブな考えも出来るが、仮にも昨年の30盗塁外野手トリオの一角を担っているので、ここはもっとアグレッシブな走塁を魅せてもらいたい。

 

3. 守備

現在ナ・リーグトップの4アシスト。これだけで青木の守備が通用しているかは理解できるだろう。守備指標は何年か通してみるべきだが、昨シーズンの青木の守備防御点はイチロー、ジャンカルロ・スタントンに次いで+8。レンジファクターも昨年から0.2向上し、まだまだ成長の兆しが見えている。dWARは現時点で0.9、アリゾナ・ダイヤモンドバックスのジェラルド・パーラに引けを取らない堅守でチームに貢献している。事実、抜けそうな当たりを回転してキャッチするなど元からライト専門だったのでは?と疑いたくなるようなプレーも多い。

The Truth -日本人メジャーリーガーを辿る-:ダルビッシュ有

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日本人メジャーリーガーの実像を追うシリーズ型のこのコラム。第7回は、日本が生んだ最高のアームであるダルビッシュ有を取り上げる。

 

 

  •  締め括り -可能性の証明-

テキサス・レンジャーズは2012年を屈辱的な締め括りを持って終えた。少なくともシーズン終盤の凋落により、彼らはオークランド・アスレチックスが辿った奇跡のストーリーを止めることが出来なかった。そして惨めな程に揺るがない優位を示したボルティモア・オリオールズとのマッチアップ -レンジャーズの相手はジョー・ソーンダースであった- を持ってしても、レンジャーズは敗れ去った。彼らはそれまでサンドバッグの如く打ち続けたソーンダースのツーシームを平凡なゴロとしてのみしか対応出来なかった。 

アメリカン・リーグの覇者として名声を示していたレンジャーズという1つのチームは、たった1ヶ月ばかりのパフォーマンスにより、1年間で2度に渡りミラクルを演出した見事なまでの「引き立て役」と化した。イージーなミス。パワフルな打線も迫力を欠いた。そして、その象徴がジョシュ・ハミルトンだったことは言うまでも無い。

一方で、特にレンジャーズを間近で追い続けた何人かが、惨めな幕切れの中に曖昧ながらも希望を見出していたことも触れなければならない。曰く、レンジャーズがオリオールズに敗れたワンゲーム・プレーオフの試合は、2013年における眩い光を放つモノであった。曰く、それはレンジャーズがクリフ・リーを失った後からの不毛なエースの発掘作業を終えた日であった。

そのスポットライトの主がダルビッシュ有であることは言うまでも無い。合計$100Mを上回る金額を支払い、日本から呼び寄せたタレントは、テキサス・レンジャーズが辿った163試合目にして、自らに秘められたエースとしての可能性を証明したのだ。

5~8月にかけて、ダルビッシュの防御率は4.15を下回ることも無く、K/BBも6月の2.67がトップたる平凡なパフォーマンスに終始していた。しかし9月に入り、メカニクスを調整した結果彼のピッチングは劇的な変化を示す。コマンドが改善され、カッターを主体にゾーンを積極的に攻める内容を実現させた影響が、この間の防御率2.21、一躍5.57 -36.2イニング/39奪三振/7四球- までに向上を果たしたK/BBに表れている。

そして163試合目にして、ダルビッシュは6.2イニングで7個の三振を奪い、そしてメジャーリーガーとして、初めて四球を喫すること無くピッチングを締め括った。3点こそは失った。しかし開幕から示していた支配的な側面と、まとまりの融合。その正体は定かでは無く、曖昧なモノであった。しかし紛れも無い。2012年を終える直前にして、ダルビッシュは日本時代からの鮮烈なパフォーマンスに相応しいだけの輝きを放った。

そして2013年の開幕から間も無くして、曖昧な希望は輪郭をはっきりと示した。

The Truth -日本人メジャーリーガーを辿る-:松井秀喜

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日本人メジャーリーガーの実像を追うシリーズ型のこのコラム。第6回では、球界を去りゆく長距離砲、松井秀喜にスポットを当てる。

 

 

  • 夢から醒める時

「ほら、今Godzillaの背番号は35だろ? だから普段の力の35/55しか出せないのさ。」

と誰かがジョークを言ってくれたら、ちょっと救われたのかもしれない。否、救われなかっただろう。プロスポーツ選手の価値の大半は、彼の者が残した数字によって決まる。それは”日本球界を代表するパワーヒッター”として海を渡り、ワールドシリーズのMVPに輝いた松井秀喜にとっても例外ではないだろう。

そして運動選手として、肉体の衰えが来るということも同じく例外ではない。一説に拠れば、人間の身体は28歳をピークにどんどん衰えていくものらしい。しかしそれでも日本の、いや、日本に限らず彼のファンは、前年12本塁打に終わった彼の復活という夢を見たはずだ。「Godzillaなら、アイツなら蘇ってくれる」と。

彼が今年、タンパベイ・レイズと契約を結んだのは4月30日だった。そして約1ヶ月後の5月29日、MLBに昇格したその日の第二打席に、彼はフィリップ・ハンバー(CHW)の直球をトロピカーナフィールドのライトスタンドにぶちこんだのだ。6月1日には、前年まで中日ドラゴンズに在籍していたチェン・ウェイン(BAL)からも本塁打を放つ。「帰ってきた! 俺達のGodzillaが帰ってきた!」そう思った人は少なくなかったと思う。

その夢から醒める時は、そう遠くなかった。球団から戦力外を受けたのは7月25日。わずか87日のチーム滞在における彼の成績を見れば、喩えどの球団であったとしても同じようにするだろう。8月1日は自由契約となり、その後他球団から声がかかることは一切なかった。

そして一昨日。12月29日。彼はニューヨークで引退会見を開いた。その詳細な内容はここに改めて記すまでもない。Yahoo!JAPANはトップニュースで、読売新聞は一面で、それぞれ彼の引退を報道していた。「一つの時代が終わったのだ。」ということを、否応なしに認識させられたのだ。当サイトの速報記事には彼の功績が綴られており、そしてこう評している。

 

“彼クラスの日本人スラッガーが今後現れるか怪しいほど松井秀喜という選手の存在は大きかった。”

“私のように彼がきっかけとなって野球に触れた人も多いことだろう。” Text by Hayato UWAI

 

まさにこの言葉の通りだと思う。彼は日本球界にとってセンセーショナルな長距離打者であり、ホームランという野球の醍醐味でスタンドを湧かせる天才だった。そして自らその存在を超え、今度は遠い遠いアメリカの球場に熱気の渦を巻き起こしていた。2009年のワールドシリーズの話はもはやするまでもない伝説である。しかしもはや、彼の姿をグラウンドで見ることはない。彼はバットを置いたのだ。残念なことに、惜別のマイクも、花束もないままに。

前口上が長くなりすぎた。今回はその彼の一年間を振り返って見ようと思う。

The Truth -日本人メジャーリーガーを辿る-:岩隈久志

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日本人メジャーリーガーの実像を追うシリーズ型のこのコラム。第6回はアップダウンの末にシアトル・マリナーズから2年$14Mの契約を得た岩隈久志のキャリアを辿る。

 

  • 躓いたスタート 

「安っぽいボールばかり投げる」。

2009年WBCでキューバや韓国を翻弄する活躍を披露していた岩隈久志に対し、あるメジャーリーグのスカウトはこう吐き捨てた。高いレベルで自らのイニングを完結させる側面は高い評価を得た。しかし90マイル前半のストレートとスプリッターを織り交ぜる内容は鮮烈なダルビッシュ有(レンジャーズ)のポテンシャルの前では惨めなモノであり、ローテーションの下位程度と見る向きも相応に存在した。

2011年オフに岩隈はFA権により1年$1.5Mでシアトル・マリナーズと契約を結んだ。結果的に彼は2つの障害を経て、先発として95イニングで防御率2.65のマリナーズ新人記録を打ち立てる活躍を持って上の評価を覆した。異国たる要素以上にタフであった環境と、上回った記録がエースのフェリックス・ヘルナンデスのモノであったこと。これらは岩隈の価値をより高めてくれている。

2つの障害。1つはヘスス・モンテロの存在である。ベネズエラ出身の23歳。捕手離れしたスケールを誇る打撃はエドガー・マルチネスと比較される程の素材であるが、その代償として捕手としてはキャッチングからスローイングまで、あらゆる側面で物足りない。スプリッターを主とする岩隈は、腰高な構えをする23歳に対し絶妙なコースへとボールを落とすことが出来なかった。盗塁阻止も粗削りなモーションゆえに苦労を強いられる。それは岩隈に限った話では無く、左右の揺さぶりが持ち味であるブレイク・ベバンを除いては誰しもがこれらの面で影響を受けた。結果的にモンテロが135試合のうち80試合でDHを任され、ミゲル・オリボが主にマスクを被る措置によりこのマイナス面は回避されることとなる。モンテロもOPSこそ.685と低調ながら15本塁打と相応なパンチ力は発揮。彼に関してはまだ23歳であり、一応は向上のプロセスを辿っている素材であることも忘れてはならないだろう。

しかし岩隈にとって最大の障害は監督であるエリック・ウェッジであった。

スプリング・トレーニングを経て彼が構築したローテーションの5人に、岩隈やその間鮮烈な活躍を披露したニカラグア出身のルーキーであるエラスモ・ラミレスの名は無かった。スプリング・トレーニング間で88マイル程度を計時するに止まった岩隈を、まさしくウェッジは「安っぽい」存在であると評価を下した。彼はキャリアで経験の無いリリーフとして開幕した上に、メジャーで初めての登板機会を得たのはシーズン15試合目となる4月20日のシカゴ・ホワイトソックス戦とマリナーズ側も彼の起用には明らかに消極的であった。ウェッジは彼やラミレスの代わりに、相応なコントロールとあらゆる側面で平均点しか叩き出せないヘクター・ノエシをマウンドに送り続けた。ノエシは6月29日時点で早くも10敗を喫した。にも関わらず、岩隈はブルペンで飼い殺され、ラミレスに至っては傘下マイナーへ降格された。

リリーフとして肩が出来上がるまでの時間は重要な要素であり、また短いイニングをパワーで捻じ伏せることが出来る側面も必要なポテンシャルである。しかし岩隈はそのいずれも持ち合わせてはおらず、リリーフとしてギアを上げて投げ込むボールも93マイル前後に止まった。モンテロの技術面も含め、リリーフとしての岩隈はもはや持ち味を失っていた。

リリーフとして30イニングを経験し23奪三振/13四球。本人は常に、この新しい経験を楽しんでいると語っていた。しかし値は正直である。明らかにリリーフとしての岩隈は惨めであった。速くも無いストレートと、何とも言い難いゾーンへのスプリッター。慣れないポジションであることは考慮すべきであるが、誰からも良さを感じられる雰囲気は無かった。

そんな彼に転機が訪れたのは7月に入った頃のことであった。