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アルシデス・エスコバーのヤクルト・スワローズ移籍とそこから考えられる影響

ヤクルト・スワローズが10月30日、アルシデス・エスコバーとの契約を発表した。まだワールドシリーズが終わっていない時期に、80万ドル+出来高払いという金額の契約は異例ともいえる。エスコバーの経歴を振り返るとともに、このような契約に至った経緯と、この契約がMLBおよびNPBに与える可能性が考えられる影響を考察する。
アルシデス・エスコバーはベネズエラ出身の32歳で、従兄弟にエンゼルスなどで活躍したケルビム・エスコバーや現在横浜DeNAベイスターズで活躍するエドウィン・エスコバーがおり、さらには従兄弟の息子にはブレーブスのロナルド・アクーニャがいる野球一家に育った。2003年に16歳の時にブルワーズと契約し、2007年にはAAに昇格しフューチャーズ・オールスターゲームにも出場し、2008年9月にメジャーデビューを果たした。マイナー時代には2005年から3年連続チーム内のベスト・ディフェンシブ・インフィルダーに選出されるなど守備の評価は非常に高かった。そして2010年にブルワーズのショートのレギュラーとして145試合に出場し、打率.235、OPS.614の打撃成績ながらも規定打席に到達した。そしてそのオフにザック・グレインキーと後にオリックス・バファローズでもプレーしたユニエスキー・ベタンコートとのトレードで、2015年に共にワールドチャンピオンとなるロレンゾ・ケインらと共にロイヤルズに移籍した。
ロイヤルズ移籍1年目の2011年は158試合に出場し打撃面では打率.254、OPS.633と若干の成長にとどまったが、守備面では共にリーグ1位となる459補殺と271刺殺を記録するなどメジャーでもその守備力が確かであることを示し、その結果2012年シーズン開幕前の3月に2015年までの4年1050万ドル(オプションを含めると最大2017年までの6年2225万ドル)で契約延長した。その期待に応え2012年にはキャリアハイとなる打率.293、OPS.721を記録し、さらにリーグ5位となる35盗塁を決めた。しかしながら守備面では捕殺数や刺殺数はリーグ上位であったものの前年+9.6を記録していたUZRが−9.2に急落してしまった。2013年は逆に打撃面で打率.234、OPS.559と不振に陥るも、UZRは+9.7と本来の守備力を取り戻した。2014年はレギュラーシーズン162試合と惜しくもワールドシリーズで敗北したがプレーオフ15試合の全試合にショートでスタメン出場し、さらにオフに行われた日米野球にも出場するなど無類の身体の強さを見せつけた。2015年はファン投票で自身初のオールスター出場を果たしショートでスタメン出場し、さらにゴールドグラブ賞も獲得した。さらにチームも前年の雪辱を果たしワールドチャンピオンに輝くなど充実したシーズンを送り、メジャーを代表するショートの一人となった。
その後2016年と2017年シーズンはどちらも全試合に出場するも打撃面では打率は.261→.250、OPSは.642→.629と下降気味となり、さらには守備面でもUZR+1.0→−0.8と2017年には再びマイナスに転じてしまった。チームも2016年はワールドチャンピオンから一転プレーオフ進出を逃し、2017年には勝率5割を切るなどエスコバーとともに下降していった。2017年シーズンで2012年開幕前に結んだ契約を満了し、オフにFAになるも1年250万ドル+出来高で再契約した。2018年はロイヤルズ移籍後では最も少ない140試合の出場に留まり、成績も打撃面は打率.231,OPS.593、さらには守備面でもDRS-12と攻守に精彩を欠いてしまった。またロイヤルズ移籍後初めてショート以外のポジション(セカンド3試合、サード29試合、センター6試合)で出場した。
2019年シーズンは長年プレーしたロイヤルズを離れ、スプリングトレーニング直前にオリオールズとマイナー契約を結ぶも3月20日にリリースされ、直ぐにホワイトソックスとマイナー契約を結び3Aでプレーしたがメジャーに上がることなく8月2日にリリースされてシーズンを終えた。3Aでは96試合に出場し打率.286、OPS.787の成績で、守備ではショートで49試合、サードで41試合に出場した。
*DRSおよびUZRはショートでの成績
2018 Team Preview : カンザスシティ・ロイヤルズ

40人ロスターはリンクより参照
本拠地:カウフマンスタジアム
他の野球場と大きさを比較する→http://yakyujo.com/ml03/
レフト | 100.6M |
センター |
125M |
ライト | 100.6M |
フェンス高さ | 2.4M |
安打 | 109.2 |
ツーベース | 125.6 |
スリーベース | 157.1 |
HR | 78.3 |
得点 | 117.1 |
・予想オーダー
1.ジョン・ジェイ:LF
カブスからFAとなり、1年300万ドルでロイヤルズに移籍してきたベテラン。昨シーズンは141試合に出場し、.296/.375/.749と安定した成績を残した。外野の3ポジションをこなせるユーティリティプレーヤーで、昨シーズンは無失策。移籍したロレンゾ・ケインの後釜として、今シーズンもプラトーンでの起用が多くなるだろう。
2.ウィット・メリフィールド:2B
2010年に9巡目指名を受け、MLBの舞台に這い上がってきた選手。昨シーズンは145試合に出場し、.288/.324./.784という成績だった。また、34盗塁を記録し、盗塁王のタイトルを獲得。昨シーズンはホームランを急増させパンチ力が増した。今オフにはTBSで元日に放送された番組に出演している。
3.マイク・ムスタカス:3B
コントラクトイヤーの昨シーズンはキャリアハイの38本塁打を放ち、満を持す形でFAを迎えたが、市場の歴史的な停滞の被害を受け、1年650万ドルと当初の予想より遥かに安い金額で再契約。チームの状況次第ではトレードも十分に考えられる。
4.サルバドール・ペレス:C
チームの看板選手。6年5250万ドルの契約の3年目を迎える。昨シーズンは故障もあり129試合の出場に留まったが、.268/.297/.792、27本塁打という成績で持ち前のパワー十分に発揮した。開幕直前、荷物を運んでいる際に膝を故障。4~6週間の離脱を余儀なくされた。ペレスの復帰までは日米野球で来日したドリュー・ビュテラが捕手を務めることになる。
5.ルーカス・ドゥーダ:1B
レイズからFAとなり、1年350万ドルで移籍してきた。昨シーズンは30本塁打をクリアした一方で打率は.217、K%=27.5%とキャリアワースト。荒さはあるがパワーが魅力。エリック・ホズマーの後釜として期待。
6.ホルヘ・ソレーア:RF
ウェイド・デービスとのトレードでカブスから移籍してきて2年目を迎える。昨シーズンは故障もあったが、極度の不振に陥り、期待外れの成績に終わってしまった。スプリングトレーニングでは打率.230ながら6本の本塁打を放った。
7.アレックス・ゴードン:CF
4年7200万ドルという大型契約の3年目。昨年はGG賞を受賞するなど相変わらず守備は一級品。心配なのは打撃面で、.208/.293/.608と16年シーズンよりも成績を落としている。スプリングトレーニングでも55打数7安打、本塁打0と不振は続いている。
8.チェスラー・カスバート:DH
ブレイクした2年前から一転、昨シーズンは手首の故障で出場機会が限られた。25歳と若く、打撃面では荒さも見られるが、本塁打を安定して15~20本打てるだけの能力は秘めている。ポジションは埋まっているが、1塁、3塁での出場機会も得られるかもしれない。
9.アルシデス・エスコバー:SS
FAとなっていたが、1年250万ドルで再契約。2年連続で全試合出場を記録するなど頑丈さが売りになっている。成績が緩やかに下降していることが不安材料となっており、期待の若手、ラウル・モンデシーの状況次第では立場が危うくなる可能性も。
2017 Team Preview:カンザスシティ・ロイヤルズ

*40人ロースターはリンクより参照
*SP横*マークはローテーション候補の意味を示す。
- 本拠地:カウフマン・スタジアム
レフト | 100.6M |
センター |
125M |
ライト | 100.6M |
フェンス高さ | 2.4M |
安打 | 109.2 |
ツーベース | 125.6 |
スリーベース | 157.1 |
HR | 78.3 |
得点 | 117.1 |
・予想オーダー
1.アレックス・ゴードン:LF
4年 7200M の大型契約を結んで迎えた昨シーズンは打率.220、OPS.692 と大不振。近年はかつて名手と呼ばれ、ゴールドグラブ賞を4度受賞した程の外野守備能力に関しても低下が心配されており、今シーズンは打撃、守備共に復活の年にしたい。
2.マイク・ムスタカス:3B
昨シーズンは 4 月だけで 7 本塁打を記録するなど好調なスタートを切ったが、5月下旬、守備の際にゴードンと交錯、右膝を故障しそのままシーズンアウトと不本意なシーズンとなった。15年以降打撃は好成績が続いているため今シーズンの復活に期待が高まる。
3.ロレンゾ・ケイン:CF
故障の影響もあり、打率3割を残した 14,15 年からは少し成績は落としたが、まずまずの成績。左投手を得意としており、昨シーズンは打率.371 と打ちまくった。今シーズンは 2年契約の最終年であり成績を残してアピールしたいところ。
4.エリック・ホズマー:1B
本塁打、打点はキャリアベスト、オールスターに初出場し MVP 獲得、さらには WBC アメリカ代表として優勝を経験と最高の年を送った。しかし、一塁守備で DRS-6 を記録した影響もあり、WAR はマイナスだった。
5.サルバドール・ペレス:C
昨シーズンは 4 年連続のオールスター出場、ゴールドグラブ獲得、更に 2 年連続で 20 本塁打を記録するなど例年通りの活躍。しかし四球を選ばないのも例年通りで出塁率は三年連続で 2 割だとかなり低め。オフには WBC にベネズエラ代表として出場したが怪我で途中離脱。
6.ブランドン・モス:DH
2 年 1200Mで加入した左の大砲。 昨シーズンの打率.225、出塁率.300 はキャリアワーストクラスだったが、28 本塁打を放つなどまずまずの成績。右投手に対して圧倒的な長打力を発揮し、キャリアで放った 138 本の本塁打の内、119 本は右投手から。
7.アルシデス・エスコバー:SS
7 年連続で 145 試合以上に出場しており、昨シーズン全試合出場は彼以外に 2 人だけ。しかし、ここ 2 年連続で出塁率 3 割以下、盗塁も 20 を下回るなどリードオフマンとしては不満の残る成績。
8.ウィット・メリフィールド:RF
昨シーズンメジャーデビューを果たした 28 歳。打撃では打率.283 と奮闘したが三振の多さが気になるところ。守備では内外野5つのポジションを守るなど器用さを見せた。マイナーでは 30 盗塁以上を記録した年もあり、足でもアピールしたい。
9.ラウル・モンデシ:2B
15 年のワールドシリーズでメジャーデビューを果たしたロイヤルズ期待のプロスペクト。高い身体能力と強肩を武器とした守備は一級品だが、打撃は課題が山積み。しかしまだ 21歳と若いためこれからの改善に期待したいところ。
2015 ALCS Review:KC vs. TOR

ALCS:KC 4-2 TOR
*Game部のリンクでゲームのRecapをチェック可。
Game1 KC 5-0 TOR
勝:ボルケス(1-0) 負:エストラーダ(0-1)
Game2 KC 6-4 TOR
勝:ダフィー(1-0) 負:プライス(0-1) S:デービス(1)
Game3 KC 8-11 TOR
勝:ストローマン(1-0) 負:クエト(0-1)
Game4 KC 14-2 TOR
勝:ホッチェバー(1-0) 負:ディッキー (0-1)
Game5 KC 1-7 TOR
勝:エストラーダ(1-1) 負:ボルケス(1-1)
Game6 KC 4-3 TOR
勝:デービス(1-0) 負:オスーナ:(0-1)
ロイヤルズは変わった。かつて、3年連続で100敗以上を記録した惨めなチームであったロイヤルズは、強豪チームへと変貌を遂げた。そしてこのALCSでもロイヤルズの強さは滲まなかった。WSという最高峰への2年連続の出場権の獲得は、このチームにふさわしい栄誉だ。このシリーズのロイヤルズを、投打のキープレイヤーを軸に振り返ってみたい。