Tag Archives: イアン・デズモンド
Weekly Report:Week-8

3つのハイライトで1週間のメジャーリーグを辿る。Week-8のキーワードは「600本塁打」「ノーヒットノーラン」「満塁ホームラン」だ。
・600本塁打
6月4日、エンジェル・スタジアム・オブ・アナハイムで行われたエンゼルスとツインズの試合、4回裏にエンゼルスのアルバート・プホルスがレフトスタンドへ放った今シーズン第9号となる満塁弾は、プホルスにとってMLBで放った600本目の節目となるアーチであった。
現在37歳、ドミニカ共和国出身のプホルスは2001年にカージナルスでMLBデビュー。広いスタンスの特徴的なフォームで1年目から打率.329&37本塁打&130打点と好成績を残すと、そこから10年連続で打率3割、30本塁打、100打点をクリアする圧倒的な打撃を見せ、間違いなく2000年代最高の選手の一人となった。そうして積み重ねたホームランもついに600本の大台へ乗った。長いMLBの歴史で、600本塁打をクリアしているのは今回のプホルスを含めわずか9人だけである。
ちなみに、2001年時点で600本塁打をクリアしていたのはわずか3人(ベーブ・ルース、ウィリー・メイズ、ハンク・アーロン)だけであった。そこから16年のうちに、バリー・ボンズ、アレックス・ロドリゲス、ケン・グリフィー・ジュニア、サミー・ソーサ、ジム・トーミ、そして今回のプホルスの6人が新たにこの大記録に到達している。さて、次にこの大台に乗る10人目はいつ現れるのだろうか。現役でプホルスに次ぐ通算本塁打を記録しているのは、現役最高打者の呼び声高いタイガースのミゲル・カブレラの451本だ。しかしそんなカブレラも現在34歳、打撃技術はまだまだ衰えを感じさせないものの、怪我が増えていることもあり達成は簡単ではないだろう。やはりプホルスを見ていてもわかるように、600本塁打を達成するには卓越した打撃技術に加え、試合に出続ける健康な体も必要不可欠だ。そういう意味では、25歳ながらすでに184HRを放っているマイク・トラウト(LAA)を筆頭にハーパー(WSH)、スタントン(MIA)、ブライアント(CHC)などの若い世代のパワーヒッターたちが怪我なくプレーし将来この記録を達成してくれることを願いたい。
Weekly Report:Week-7

3つのハイライトで1週間のメジャーリーグを辿る。Week-7のキーワードは「アダム・ジョーンズ」「マイルストーン」「ナ・リーグ西地区」だ。
・アダム・ジョーンズ
今月の初めに人種差別騒動で話題をもたらしたアダム・ジョーンズが、今週は明るい話題を提供してくれた。
5月22日、ツインズをホームに迎えて行われた一戦。ジョーンズは2回にカイル・ギブソンのスライダーをとらえ、3ランホームランを放った。この一発は、通算569HRを誇るチームOBのラファエル・パルメイロの持つオリオールパークアットカムデンヤーズでの通算HR記録を塗り替える本拠地通算125本目のホームランとなった。
アダム・ジョーンズは2003年ドラフトの1巡目でマリナーズに指名され、遊撃手としてプロ入り。外野手転向を経て2006年にメジャーデビューを果たすと、2008年のシーズン前に現在もオリオールズのローテーション投手として活躍するクリス・ティルマン、NPBでも活躍したキャム・ミコライオらとともにオリオールズにトレード移籍した。
オリオールズ移籍後は、メジャーに定着。昨年までの在籍9年間で6回149試合以上に出場するタフネスさと通算233本(オリオールズ在籍時に限ると230本)のホームランを放つパワー、ゴールドグラブ賞4回の守備力を武器としたリーグを代表する外野手へと成長した。また、2013年と2017年のWBCにアメリカ代表として出場。2017年はデビッド・ライト(NYM)の跡を継ぎ、新・キャプテンアメリカとしてアメリカ悲願の初優勝に貢献した。
今後もオリオールズの中心選手としての彼の活躍に期待したい。
Weekly Report:Week-7

3つのハイライトで1週間のメジャーリーグを辿る。Week-6のキーワードは「逆転サヨナラ満塁本塁打」「ジャイアンツ」「リンスカム」だ。
- 逆転サヨナラ満塁本塁打
野球の醍醐味はなんといっても一発逆転を決める本塁打だろう。それが満塁本塁打ならなおよく、さらにそれがサヨナラを決める本塁打ならこれ以上のものはない。
この逆転サヨナラ満塁本塁打が、米国時間の5月17日、テキサス・レンジャーズ対オークランド・アスレチックスの試合で飛び出た。
この日のレンジャーズの先発はエースのコール・ハメルズだったが、コントロールがなかなか定まらず2回には、ダニー・バレンシア、クリス・デービスに2者連続本塁打を喫してしまう。味方が4回にノマー・マザーラ、エイドリアン・ベルトレーの2者連続本塁打を含む3点を取るが、6回には再びクリス・デービスにこの日2本目となる本塁打を打たれ同点にされてしまう。
さらには7回にピンチを招くとバレンシアにあっさりとタイムリーを打たれアスレチックスに勝ち越しを許した。試合は9回の表2アウトまで動きのないまま進み、これで勝負あったかと思われたが、ルーネッド・オドアーがヒットで出塁すると、続くイアン・デズモンドが本塁打を放ち一気に形勢逆転。これまでセーブ失敗0個だったアスレチックスのクローザー、ライアン・マドソンに今シーズン初のセーブ失敗をつけ試合は9回の裏へともつれ込んだ。
9回裏のマウンドを任されたのは、レンジャーズのクローザー、ショーン・トールソン。しかし、このトールソンも直近5試合のうち3試合で失点しており安心して見ていられるというわけではなかった。案の定、先頭のスティーブン・ボートに内野安打を打たれると、続くココ・クリスプには二塁打を打たれ無死2、3塁と大ピンチを迎える。ビリー・バーンズをポップフライに打ち取った後、ジョシュ・レディックは敬遠で歩かせ1死満塁。この日、本塁打を打っているバレンシアを迎えるがここもポップフライで切り抜け何とか2アウトまでこぎつける。
9回裏2アウト1点差、満塁の場面で打席に入ったのはデービス、この日2本塁打と絶好調だったが、あっさりと追い込まれる。万事休すかと思われたが、カウント2-2からトールソンが投じた93マイルのストレートをデービスが振りぬくと、打球はぐんぐん伸びていきレフトスタンド中段に飛び込む逆転サヨナラ満塁本塁打となった。
デービスはこの試合、1試合3本塁打、満塁本塁打、サヨナラ本塁打と3つのキャリア初をマーク。ダイヤモンドを1周してホームへ帰る直前にヘルメットをバスケットボールに見立てシュートを打つというセレブレーションも披露した。
1試合3本塁打とサヨナラ満塁本塁打を同じ試合でマークしたのは長いMLBの歴史でもデービスが2人目。デービスの試合終了後のインタビュー中にくらったパイの味は何とも甘美なものだっただろう。
2016 Team Preview:テキサス・レンジャーズ

*40人ロースターはリンクより参照
*SP横*マークはローテーション候補の意味を示す
レフト | 101.2m |
センター | 121.9m |
ライト | 99.1m |
フェンス高さ | 2.4〜4.3m |
安打 | 110.7 |
ツーベース | 110.2 |
スリーベース | 94.6 |
本塁打 | 106.6 |
得点 | 114.1 |
- 予想オーダー
1. デライノ・デシールズ:CF
元は2010年のドラフト全体8位で指名されたアストロズのプロスペクト。昨オフルール5ファイブドラフトでレンジャーズに移籍すると、121試合でAVG.261&25SBと新人王投票でも票を得る活躍を見せ、チャンスを与えたチームの期待に応えた。12年に101SBをマークしたスピードが一番の武器。守備面ではDRS-10&UZR-5.7と俊足を活かし切れず。
2. 秋信守:RF
昨季は22HR&OPS.838と成績が大きく落ち込んだ2014年から復調。安定して塁に出ることができる選手で、BB%は10%を下回ったことが一度もない。打撃は衰えていないが、20回以上を4度記録したSBは僅か4つに留まり、DRSとUZRは4年連続で大きくマイナスとなっている。7年$130Mの契約の3年目で、2016年は年俸が$14M→$20Mと上昇。
3. プリンス・フィルダー:DH
23HR&OPS.841と秋信守と共にクリーンナップとしての仕事を全うし、首のヘルニアの手術のため42試合のみの出場、僅か3HRに終わった2014年から復活を果たした。5フィート11(約180センチ)の身長に対して275ポンド(約125キロ)の巨漢で、守備走塁での貢献は全く期待できない。父親は2年連続でALホームラン王のタイトルを獲得し、阪神タイガースでもプレーしたセシル・フィルダー。20年まで毎年$24Mの契約が残るが、16~20年にかけては前所属球団のデトロイト・タイガースが毎年$6Mを負担する。
4. エイドリアン・ベルトレー:3B
メジャー19年目を迎える大ベテラン。2010~13年にかけては毎年平均33HRを放っていたが、ここ2年は19HR、18HRと伸び悩み、ISOも低下傾向にあるなどパワー面には若干の衰えも。一方でDRS+18&UZR+11.8と、36歳となっても守備の名手は健在だった。シーズン終了後にFAとなるが、通算3000安打まであと233本に迫っており、「レンジャーズのメンバーとして引退したい」という過去の発言も含めて去就が注目される。
5. ミッチ・モアランド:1B
怪我に悩まされた2014年から復活し、23HR&85RBI&OPS.812をマークする自己ベストのシーズン。23HRの内18HRを右投手から放っており、キャリアでもvsRHPOPS.797に対してvsLHPでは.650に留まる。数字上に影響は出ていなかったが、昨季最後の2ヶ月は左足の疲労骨折を抱えながらプレーしていたことを、既に完治してあることともに今年2月に公表した。オフにFA。
6. イアン・デズモンド:LF
2014年秋の7年$107M契約延長オファー、$15.8MのQOを拒否し、結局1年$8Mでレンジャーズに加入。本職のSSではなくマイナー時代にもプレーしたことのないLFとして起用される見込みで、ジョン・ダニエルズGMもそれを確言。HRは一定以上記録しているが、ここ2年は三振が増え、打率が大きく下がった。打者有利のグローブライフ・パーク・イン・アーリントンで評価を立て直してFA市場に打って出ることができるか。
7. エルビス・アンドラス:SS
2013年開幕直後に8年$118Mの契約延長に合意して以降成績が下降。OPSは6割台半ば、守備も直近2年は平均を下回るなど年俸に見合う活躍を見せることはできていない。デビューから7年連続で21SB以上をマークしているスピードは安定感がある。2016年からは10チームへのトレード拒否条項が付加される。また18年、19年にプレーヤーオプトアウトが付いているが、行使されない可能性が高いだろう。
8. ルーグネッド・オドア:2B
昨季はHR&ISOが9&.142→16&.204とパワー面で大きく躍進。特に後半戦は68試合で12HRとよく打った。早打ちのため、四球も三振も少ない。2013年に32SBをマークするなどスピードも平均以上の物を持っているが、メジャーでは10SB/14CS。マイナー時代に良い評価を受けていた守備は、DRS、UZRともにマイナス。 2月に22歳の誕生日を迎えたばかりで非常に若く、まだまだ成長が期待できる。
9. ロビンソン・チリノス:C
パワフルな打撃が売り。昨季はキャリアで初めてレギュラーとして開幕を迎えたが、左肩を痛めて一ヶ月以上の離脱を余儀なくされた。打球に占めるフライボールの割合が高く、打率は低くなりがちだが打者有利本拠地チームに所属している限りはある程度のHR数を見込むことができる。チリノスの離脱中に短期間ながら目覚ましい活躍を見せたクリス・ジメネスと出場機会を分け合うと見られている。