Tag Archives: エイドリアン・ベルトレー

Weekly Report:Week-13

001H9725

 

 

 

 

 

 

 

3つのハイライトで1週間のメジャーリーグを辿る。Week-13のキーワードは「雨」「ベイブリッジ・シリーズ」「ボルティモア・オリオールズ」だ。

 

本でも梅雨前線の影響で毎日のように雨が降っているが、先週の始めアメリカでも東海岸を中心に降った激しい雨が試合に影響を及ぼした。

最も雨に翻弄されたのはヤンキースタジアムで行われたテキサス・レンジャーズ対ニューヨーク・ヤンキース戦だろう。この日は5-6とヤンキースが1点リードで9回の表を迎えクローザーのアロルディス・チャップマンがマウンドへと向かった。

先頭打者に四球を与えると、激しくなる雨の影響か次の打者の秋信守に対しても3-1とカウントを悪くしてしまう。ここでさらに雨は激しさを増し審判も中断を決定。タープがフィールドに敷かれ球場にいる全員が雨が止むのを持つこととなった。

ここからが長かった。雨は一向に止む気配を見せず待てど暮らせどグラウンドには大きな雨粒が落ちてくる。結局試合が再開されたのは中断を決定してから3時間35分後、時計は午前2時を回っていた。

クローザーのチャップマンはベンチへと下がり、代わりにカービー・イェーツがマウンドへと上がった。イェーツは3-1のカウントのままだった秋を見逃しの三振に打ち取るものの続くイアン・デズモンドとノマー・マザーラには2者連続で死球を与え1死満塁。4番のエイドリアン・ベルトレーにはタイムリーを浴び2者が帰って逆転となった。

レンジャーズは更に2点を加え3点差とすると9回裏のマウンドにはサム・ダイソンを送り、無事勝利を得た。もし、雨が降っていなかったら、もしくは、より早く審判が中断を決定していればチャップマンが途中で降板することはなくヤンキースは勝利を手に入れることができたのかもしれない。

翌日の28日にはMLB公式のプロスペクトランキングで全体1位との評価を受けるワシントン・ナショナルズのルーカス・ジオリトのメジャー初登板初先発の試合がナショナルズパークで行われた。ジオリトは家族が見守るなか4回無失点と好投をしていた。

しかし、4回裏の途中で雨が激しくなり試合は中断に。1時間25分後に試合は再開されたが、ジオリトが5回表のマウンドに立つことはなくメジャー初勝利はおあずけとなった。

場合によっては恵みの雨にもなるができるなら雲一つない快晴の下、万全のグラウンドコンディションでプレーをしてほしいものである。

 

Weekly Report:Week-8

14712042795_93b643d9d0_z

 

 

 

 

 

 

 

3つのハイライトで1週間のメジャーリーグを辿る。Week-8のキーワードは「フランシスコ・ロドリゲス」「ジャッキー・ブラッドリーJr.」「ダルビッシュ有」だ。

 

 

  • フランシスコ・ロドリゲス

K-RODの名にふさわしく、最後の打者を空振り三振に切って取りフランシスコ・ロドリゲスは史上6人目となる通算400セーブの快挙を達成した。

彼は、1998年にエンゼルスと契約。マイナー時代にリリーフに転向すると、2002年にセプテンバーコールアップでメジャーに昇格しデビューを果たす。同年のポストシーズンでは、シーズンわずか5登板のルーキーでありながら故障者の代わりとしてロースター入りすると、ポストシーズンを通じて11試合に登板。18.2イニングで28奪三振、ポストシーズン記録となる5勝を挙げるなど大活躍。その奪三振の多さから「K-ROD」の愛称で親しまれるようになった。

2004年にはリリーフながら100奪三振を越え、2005年からクローザーに定着すると、4年連続で40セーブをマーク。なかでも2008年はハイペースでセーブを積み重ねていき、史上最速で40セーブ、50セーブに到達。最終的にはシーズン最多セーブ記録を更新する62セーブを挙げた。

その後はセーブ数が減少するもブルワーズ時代の2014年に5年ぶりとなる40セーブに到達。昨年は38セーブながらもセーブ成功率95%をマークするなど再びクローザーとしてチームを支えた。復調のカギとなったのは、なんといっても抜群の精度を誇るチェンジアップだろう。フォーシームの球速は低下したものの、このチェンジアップを決め球にしたことでいまだに高い奪三振率を維持しているのである。

今シーズンは初登板のマイアミ・マーリンズ戦でセーブに失敗するも、その後は14度のセーブ機会をすべて成功させている。そして、524日のフィラデルフィア・フィリーズ戦。この日はミゲル・カブレラのタイムリーツーベースで先制すると、その後もカブレラの内野ゴロ、ビクター・マルティネスのタイムリーで追加点を取り、投げては先発のジャスティン・バーランダーが8回無失点の好投を見せ、ロドリゲスにバトンタッチ。ロドリゲスは無死一三塁のピンチから犠牲フライを打たれるも、ライアン・ハワードを内野ゴロ、カルロス・ルイーズを三振に打ち取って見事に試合を締めくくった。

同僚のバーランダーはロドリゲスに対して「残念ながらこのセーブの大半は反対側から眺めてきた」と最大級の賛辞を送った。

 

今後もクローザーとして試合を締めくくる彼の姿に注目していきたい。

 

Weekly Report:Week-7

2485715670_62ebf86069_z

 

 

 

 

 

 

 

3つのハイライトで1週間のメジャーリーグを辿る。Week-6のキーワードは「逆転サヨナラ満塁本塁打」「ジャイアンツ」「リンスカム」だ。

 

  • 逆転サヨナラ満塁本塁打

野球の醍醐味はなんといっても一発逆転を決める本塁打だろう。それが満塁本塁打ならなおよく、さらにそれがサヨナラを決める本塁打ならこれ以上のものはない。

この逆転サヨナラ満塁本塁打が、米国時間の5月17日、テキサス・レンジャーズ対オークランド・アスレチックスの試合で飛び出た。

この日のレンジャーズの先発はエースのコール・ハメルズだったが、コントロールがなかなか定まらず2回には、ダニー・バレンシア、クリス・デービスに2者連続本塁打を喫してしまう。味方が4回にノマー・マザーラ、エイドリアン・ベルトレーの2者連続本塁打を含む3点を取るが、6回には再びクリス・デービスにこの日2本目となる本塁打を打たれ同点にされてしまう。

さらには7回にピンチを招くとバレンシアにあっさりとタイムリーを打たれアスレチックスに勝ち越しを許した。試合は9回の表2アウトまで動きのないまま進み、これで勝負あったかと思われたが、ルーネッド・オドアーがヒットで出塁すると、続くイアン・デズモンドが本塁打を放ち一気に形勢逆転。これまでセーブ失敗0個だったアスレチックスのクローザー、ライアン・マドソンに今シーズン初のセーブ失敗をつけ試合は9回の裏へともつれ込んだ。

9回裏のマウンドを任されたのは、レンジャーズのクローザー、ショーン・トールソン。しかし、このトールソンも直近5試合のうち3試合で失点しており安心して見ていられるというわけではなかった。案の定、先頭のスティーブン・ボートに内野安打を打たれると、続くココ・クリスプには二塁打を打たれ無死2、3塁と大ピンチを迎える。ビリー・バーンズをポップフライに打ち取った後、ジョシュ・レディックは敬遠で歩かせ1死満塁。この日、本塁打を打っているバレンシアを迎えるがここもポップフライで切り抜け何とか2アウトまでこぎつける。

9回裏2アウト1点差、満塁の場面で打席に入ったのはデービス、この日2本塁打と絶好調だったが、あっさりと追い込まれる。万事休すかと思われたが、カウント2-2からトールソンが投じた93マイルのストレートをデービスが振りぬくと、打球はぐんぐん伸びていきレフトスタンド中段に飛び込む逆転サヨナラ満塁本塁打となった。

 

 

デービスはこの試合、1試合3本塁打、満塁本塁打、サヨナラ本塁打と3つのキャリア初をマーク。ダイヤモンドを1周してホームへ帰る直前にヘルメットをバスケットボールに見立てシュートを打つというセレブレーションも披露した。

1試合3本塁打とサヨナラ満塁本塁打を同じ試合でマークしたのは長いMLBの歴史でもデービスが2人目。デービスの試合終了後のインタビュー中にくらったパイの味は何とも甘美なものだっただろう。

 

2016 Team Preview:テキサス・レンジャーズ

19153103408_9a95d705af_z

 

 

 

 

 

 

*40人ロースターはリンクより参照 
*SP横*マークはローテーション候補の意味を示す

他の野球場と大きさを比較する→http://yakyujo.com/ml01/

 

広さ
レフト 101.2m
センター 121.9m
ライト 99.1m
フェンス高さ 2.4〜4.3m
パークファクター *平均100
安打 110.7
ツーベース 110.2
スリーベース 94.6
本塁打 106.6
得点 114.1
  • 予想オーダー

1. デライノ・デシールズ:CF
元は2010年のドラフト全体8位で指名されたアストロズのプロスペクト。昨オフルール5ファイブドラフトでレンジャーズに移籍すると、121試合でAVG.261&25SBと新人王投票でも票を得る活躍を見せ、チャンスを与えたチームの期待に応えた。12年に101SBをマークしたスピードが一番の武器。守備面ではDRS-10&UZR-5.7と俊足を活かし切れず。

2. 秋信守:RF
昨季は22HR&OPS.838と成績が大きく落ち込んだ2014年から復調。安定して塁に出ることができる選手で、BB%は10%を下回ったことが一度もない。打撃は衰えていないが、20回以上を4度記録したSBは僅か4つに留まり、DRSとUZRは4年連続で大きくマイナスとなっている。7年$130Mの契約の3年目で、2016年は年俸が$14M→$20Mと上昇。

3. プリンス・フィルダー:DH
23HR&OPS.841と秋信守と共にクリーンナップとしての仕事を全うし、首のヘルニアの手術のため42試合のみの出場、僅か3HRに終わった2014年から復活を果たした。5フィート11(約180センチ)の身長に対して275ポンド(約125キロ)の巨漢で、守備走塁での貢献は全く期待できない。父親は2年連続でALホームラン王のタイトルを獲得し、阪神タイガースでもプレーしたセシル・フィルダー。20年まで毎年$24Mの契約が残るが、16~20年にかけては前所属球団のデトロイト・タイガースが毎年$6Mを負担する。

4. エイドリアン・ベルトレー:3B
メジャー19年目を迎える大ベテラン。2010~13年にかけては毎年平均33HRを放っていたが、ここ2年は19HR、18HRと伸び悩み、ISOも低下傾向にあるなどパワー面には若干の衰えも。一方でDRS+18&UZR+11.8と、36歳となっても守備の名手は健在だった。シーズン終了後にFAとなるが、通算3000安打まであと233本に迫っており、「レンジャーズのメンバーとして引退したい」という過去の発言も含めて去就が注目される。

5. ミッチ・モアランド:1B
怪我に悩まされた2014年から復活し、23HR&85RBI&OPS.812をマークする自己ベストのシーズン。23HRの内18HRを右投手から放っており、キャリアでもvsRHPOPS.797に対してvsLHPでは.650に留まる。数字上に影響は出ていなかったが、昨季最後の2ヶ月は左足の疲労骨折を抱えながらプレーしていたことを、既に完治してあることともに今年2月に公表した。オフにFA。

6. イアン・デズモンド:LF
2014年秋の7年$107M契約延長オファー、$15.8MのQOを拒否し、結局1年$8Mでレンジャーズに加入。本職のSSではなくマイナー時代にもプレーしたことのないLFとして起用される見込みで、ジョン・ダニエルズGMもそれを確言。HRは一定以上記録しているが、ここ2年は三振が増え、打率が大きく下がった。打者有利のグローブライフ・パーク・イン・アーリントンで評価を立て直してFA市場に打って出ることができるか。

7. エルビス・アンドラス:SS
2013年開幕直後に8年$118Mの契約延長に合意して以降成績が下降。OPSは6割台半ば、守備も直近2年は平均を下回るなど年俸に見合う活躍を見せることはできていない。デビューから7年連続で21SB以上をマークしているスピードは安定感がある。2016年からは10チームへのトレード拒否条項が付加される。また18年、19年にプレーヤーオプトアウトが付いているが、行使されない可能性が高いだろう。

8. ルーグネッド・オドア:2B
昨季はHR&ISOが9&.142→16&.204とパワー面で大きく躍進。特に後半戦は68試合で12HRとよく打った。早打ちのため、四球も三振も少ない。2013年に32SBをマークするなどスピードも平均以上の物を持っているが、メジャーでは10SB/14CS。マイナー時代に良い評価を受けていた守備は、DRS、UZRともにマイナス。 2月に22歳の誕生日を迎えたばかりで非常に若く、まだまだ成長が期待できる。

9. ロビンソン・チリノス:C
パワフルな打撃が売り。昨季はキャリアで初めてレギュラーとして開幕を迎えたが、左肩を痛めて一ヶ月以上の離脱を余儀なくされた。打球に占めるフライボールの割合が高く、打率は低くなりがちだが打者有利本拠地チームに所属している限りはある程度のHR数を見込むことができる。チリノスの離脱中に短期間ながら目覚ましい活躍を見せたクリス・ジメネスと出場機会を分け合うと見られている。