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MLB 10-19 PLAYER RANKING 20-11
2020年を迎え、今シーズンも開幕が迫ってきた。2020年代という新たな時代を迎える前に2010年代を彩ったスタープレイヤーの活躍をランキング形式で振り返ることにする。ランキングはFar East Divisionメンバーによる投票で選定を行った物で、10年代の活躍のみを考慮して選定を行った。
20位 ネルソン・クルーズ (10-13 TEX、14 BAL、15-18 SEA、19- MIN)
圧倒的なパワーから2010年代でメジャー最多の346本塁打を記録したドミニカ出身の大砲。10年代前半はテキサス・レンジャースでエイドリアン・ベルトレやジョシュ・ハミルトンなどの影に隠れていたが、14年のボルティモア・オリオールズ移籍を機に33歳と遅咲きながら本格開花し、以降の6年連続で37本塁打以上を記録した。今シーズン中に40歳を迎える大ベテランだが、そのパワーは健在で現在401本の本塁打数をどこまで伸ばすことが出来るのか注目が集まる。
19位 クリス・セール (10-16 CHW、17- BOS)
細身の体格から独特なフォームで投げられる豪速球と変化の大きいスライダーを武器に奪三振の山を築いた左腕。デビュー当初はリリーフで起用されていたが、12年に先発転向すると、そこから7年連続オールスター選出、13年からは全ての年で200奪三振をクリアした。制球も良く、通算K/BBは歴代1位の5.37を記録するなど、その活躍は歴史的で2020年代は悲願のサイヤング賞獲得に期待したい。
18位 ポール・ゴールドシュミット (11-18 ARI、19- STL)
11年のメジャーデビュー以降、アリゾナ・ダイアモンドバックスのスーパースターとして活躍したMLBを代表する一塁手。洗練された打撃技術にパワーを兼ね備え、13年には本塁打、打点の2冠、13年から6年連続でオールスターに選ばれ、4度のシルバースラッガー賞も獲得した。190cm、102kgと大柄な体格ながら走塁では16年には32盗塁を記録し、守備では3度のゴールドグラブ賞を獲得するなど、打撃以外にもオールラウンドな活躍が目立った。
17位 デイビッド・プライス (10-14 TB、14-15 DET、15 TOR、16-19 BOS)
2007年にドラフト全体1位と鳴り物入りでMLB入りした2010年代屈指の左の本格派で、12年のサイヤング賞投手。2008年のデビュー以降、14年のシーズン途中まではタンパベイ・レイズでジェームズ・シールズとの2枚看板で活躍した。その後2年連続でのトレードを経て、ボストン・レッドソックスへ移籍すると、18年にはワールドシリーズ制覇、自身もシリーズ2勝を挙げるなど素晴らしい活躍を見せた。オフに大型トレードでムーキー・ベッツと共にドジャースへ移籍。
16位 エイドリアン・ベルトレ (10 BOS、11-18 TEX)
デビューは1998年で2010年を迎えた頃には既に31歳になっていたが、それでもハイレベルなパフォーマンスを見せ、この順位となった。11年にテキサス・レンジャースに移籍するとチームをワールドシリーズ制覇の一歩手前まで導き、その後も18年の引退までチームの中心打者として活躍した。通算安打数はドミニカ出身選手としては2位の3166本、本塁打も477本と申し分なく、将来の殿堂入りは確実とみて良いだろう。
Weekly Report:Week-3

Photo link https://flic.kr/p/25pntk
今回から各部員のリレー形式で1週間のメジャーリーグを辿る。Week-3のキーワードは「クリス・セール」「ライアン・ヘルスリー」「ブルペンの不振が目立つブレーブスがキンブレル獲得に及び腰な2つの理由」「マイク・マイナー」「ブラッド・ケラー」「Kデービス契約延長」だ。
・クリス・セール
Written by Yu Kikuchi
昨年ワールドシリーズ王者のレッドソックスのエース、クリス・セール(LHP)が今シーズンここまで大きく苦しんでいる(ERA:8.50 04/16現在)。セールはオールスター7回、奪三振王2回を獲得するなど名実ともに球界を代表する投手である。今年の3月には5年$145Mで契約延長している。
ではなぜここまでの不調に苦しんでいるか筆者が分析してみた。
まずは今シーズンのセールの登板を振り返ろう。以下は今シーズンのGame Logである。
photo by mlb.com
開幕戦のvsSEA戦では3回7失点と大乱調。次のvsOAK戦では6回1失点とまずまずのピッチングをするも、奪った三振はわずか1つと本来のピッチングとは程遠かった。さらに次の2試合でも試合を作ることができず負け投手となっている。筆者はここまでの不調の原因はフォーシームと考えている。以下のデータを見て頂きたい。
フォーシームの平均球速は92.4mphと昨年より2.8mphも落ちている。その影響からか被打率は.524とかなり打たれていることがうかがえる。また、フォーシームの威力が落ちたことから伝家の宝刀のスライダーのK %も昨年の半分以下となっている。またWhiff %も軒並み落ちている。
*今シーズンのゲームごとのフォーシームの平均アベレージおよびMAX
3/28 92.3mph /94.5mph max
4/2 81.9mph/92mph max
4/9 91.8mph/94.7mph max
4/16 95.5mph/97.5mph max
以上のことからフォーシームのスピードダウンが不調の原因と考えた。
レッドソックスは4/18現在6勝13敗と地区最下位に沈み苦しいシーズンとなっている。先発陣が不調に陥っている(以下参照*)ことが原因と考えられる。同地区のレイズが好調でまた、故障者の多いヤンキースが踏ん張っているだけにこれ以上離されない為にはセールの復調が必要不可欠である。16日のNYY戦では負けはしたものの、平均球速が本来のスピードに近づいており、次回以降の登板に期待がもてそうだ。
*レッドソックスの先発投手陣(4/18現在)
クリス・セール(LHP) 0勝4敗 ERA8.50
デビット・プライス( LHP) 1勝1敗 ERA3.79
リック・ポーセロ(RHP) 0勝3敗 ERA11.12
ネイサン・イオバルディ(RHP) 0勝0敗 ERA6.00
エドゥアルド・ロドリゲス(RHP) 1勝2敗 ERA7.98
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2018 WS : BOS vs LAD

WS:4-1
*Game部のリンクでゲームのRecapをチェック可。
Game1 BOS 8-4 LAD
勝:マット・バーンズ(1-0) 負:クレイトン・カーショウ(0-1)
Game2 BOS 4-2 LAD
勝:デビット・プライス(1-0) 負:柳賢振(0-1) S:グレイブ・キンブレル(1)
Game3 BOS 2-3 LAD
勝:アレックス・ウッド(1-0) 負:ネイサン・イオバルディ(0-1)
Game4 BOS 9-6 LAD
勝:ジョー・ケリー(1-0) 負:ディラン・フローロ(0-1)
Game5 BOS 5-1 LAD
勝:デビット・プライス(2-0) 負:クレイトン・カーショウ(0-2)
WSMVP:スティーブ・ピアース
シーズンの勢いそのままに、ここまでのプレーオフ7勝2敗と圧倒してきたボストン・レッドソックスと昨年に引き続き2年連続の出場となったロサンゼルス・ドジャースのマッチアップとなった今年のWSは、レッドソックスが4勝1敗でWSを5年ぶりに制した。
以下、両チームの注目点を挙げ、試合を振り返る。
注目点1→投手陣の安定度
投手陣の安定度に差が見られた。後述するがドジャース投手陣はALCSの疲れからか、やや精彩を欠いていた。一方でレッドソックスはWS5戦すべてに登板し一度の失点も許さなかったケリー、第3選でロングリリーフながらも6回2失点に抑えたイオバルディ、カーショウとは対照的に2勝をあげたプライスなどが好投した。
注目点2→LCS疲れと第3戦
レッドソックスはALCSを4勝1敗と5試合で勝ち進み、WSまで中5日であったのに対し、ドジャースはNLCSを4勝3敗と7試合戦い、WSまで中3日しかなかった。これが結果的に投手陣の安定度に差が生まれ、第3戦の延長18回にわたる死闘が勝負の分かれ目になったようだ。ドジャース先発のウォーカー・ビューラーが7回を完璧に抑え有利に立っていたものの、イオバルディの思いがけない好投がドジャースのリリーフ陣の疲労に拍車をかけ、結果的に第4戦の逆転負けを引き起こしたように思える。
2018 ALDS Review :NYY vs BOS

*Game部のリンクでゲームのRecapをチェック可。
Game1:NYY(4) @ BOS(5)
勝:クリス・セール
負:J.A.ハップ
S:クレイグ・キンブレル
Game2:NYY(6) @ BOS(2)
勝:田中将大
負:デービッド・プライス
Game3:BOS(16) @ NYY(1)
勝:ネイサン・イオバルディ
負:ルイス・セベリーノ
Game4:BOS(4) @ NYY(3)
勝:リック・ポーセロ
負:C.C.サバシア
S:クレイグ・キンブレル(2)
フランチャイズ記録の108勝をあげAL東の地区優勝を果たしたボストン・レッドソックスと、WCゲームでオークランド・アスレチックスを破り勝ち進んできたニューヨーク・ヤンキースとのカードとなった。この両チームがプレーオフで対戦するのは2004年以来となる。
迎えた第1戦、J.D・マルティネスがハップからいきなりスリーランをお見舞いすると、3回にはスティーブ・ピアースのタイムリー、ザンダー・ボガーツの犠牲フライで追加点をあげ、試合の主導権を握った。一方でヤンキースはルーク・ボイトのタイムリーやアーロン・ジャッジのホームランで追い上げを見せたが一歩及ばなかった。
第2戦、この日はヤンキースが試合を優位に運んだ。相性の良いプライス相手にジャッジ、サンチェスが自慢のパワーを見せつけ3ホーマー、投げては田中将大が5回を投げ1失点としっかりゲームメイク、ブルペン陣もしっかり仕事を果たし、レッドソックス打線を封じ込めた。
第3戦、舞台はニューヨークに移っての開催となった。第2戦の勝利で流れはヤンキースに行くかと思いきや、この日はレッドソックス打線が大爆発を見せる。先発のセベリーノから3回までに6得点、4回には一挙7得点の猛攻を展開し、ゲームを決定付けた。レッドソックスの勢いは止まらず、最終的には16得点。投げても先発のイオバルディが古巣相手に7回1失点と快投。ヤンキースにとってみれば16-1というスコアはフランチャイズ史上最悪の結果となってしまった。また、この日、レッドソックスのムードメーカー、ブロック・ホルトがポストシーズン史上初のサイクルヒットを記録した。
第4戦、後のないヤンキースはサバシアに先発のマウンドを託すが、初回からピンチを招く投球が続いた。そして3回、死球とヒットでノーアウト1,3塁のチャンスを作ると、マルティネスの犠牲フライ、イアン・キンズラーのタイムリー二塁打、エドゥアルド・ヌニェスのタイムリーで3点を先制する。一方でレッドソックスの先発、ポーセロは危なげない投球でヤンキース打線を抑えていく。投げては5回1失点と要所を締める投球内容だった。このままでは終われないヤンキースは4-1で迎えた9回裏、抑えのキンブレルの制球難に漬け込み、満塁のチャンスを作る。ニール・ウォーカーの押し出し死球、サンチェスの犠牲フライで4-3としたが、キンブレルがこれ以上の反撃を許さずゲームセット。レッドソックスが辛くも逃げ切った。
Weekly Report: Week 20

3つのハイライトでメジャーリーグの1週間を辿る。Weekly-20のキーワードは「80勝」「代打逆転サヨナラ本塁打」「プレーオフ」だ。
・80勝
ボストン・レッドソックスがメジャー最速で80勝に到達した。開幕から圧倒的な強さで勝利を重ねているレッドソックスだが、そのペースは2001年にシアトル・マリナーズが記録したシーズン116勝のメジャーリーグ記録にも迫る勢いである。ここではそんな今年のレッドソックスに関して分析する。
まずは投手陣。先発陣は既に4人が二桁勝利を挙げており、特にエースのクリス・セールは防御率1点台と抜群の安定感で悲願となるサイヤング賞受賞の可能性も高い。そんな強力先発陣を支えるのがリリーフ陣。リリーフは現在メジャー全体4位となる防御率3.34を記録しており、リリーフが喫した敗北がメジャー最小のわずか9回と接戦にも強い事がうかがえる。クローザーのクレイグ・キンブレルは既に35セーブを挙げており、これで8年連続となる30セーブ、更に今シーズンは通算300セーブに到達するなど相変わらずの安定感を誇っている。
次は打線。なんと言っても今シーズンのレッドソックスは強力打線だろう。ムーキー・ベッツとJ.D.マルティネスがMVP級の成績を残しており、注目が集まるが、ザンダー・ボガーツとアンドリュー・ベニンテンディの2人も忘れてはいけない。ボガーツは長打力が開花してキャリア最高となるシーズンを送っており、フルシーズン2年目となるベニンテンディも新人王投票2位となった昨シーズンから更に成長を見せ、不動の2番としてチームを支えている。2番に座るベニンテンディは1番のベッツと共に高い出塁率を誇り、マルティネス、ボガーツらがつとめる強力な中軸へ繋ぐチャンスメイクの役割を果たしており、チームとしては彼の成長は非常に大きなものと言えるだろう。
今シーズン絶好調のレッドソックス。地区優勝はほぼ確実とも言えるだろう。トレードで獲得したイアン・キンズラーも復帰の目処が立っており、13年以来となるワールドチャンピョンに向け死角はない。