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アダム・ジョーンズのNPB移籍とこれからのベテラン野手の需要について

ボルティモア・オリオールズ等で活躍したアダム・ジョーンズ(OF)がNPBのオリックス・バファローズに入団を果たした。背番号は10。これからのMLBは、より一層ベテラン野手の需要が低下していくのかを考えた。
MLBにおけるベテラン野手の需要の低下
ジョーンズがNPBに移籍した背景として既に多方面で取り上げられているのは、『MLBにおけるベテラン選手の冷遇』である。
MLB Position Players Are Getting Younger At A Historic Pace_Forbes_01/09/2019
現時点では戦力として多少劣る若い選手を起用した方が良いという認識は、MLB全体に広がっている。尚且つ、MLB昇格をギリギリまで抑えること、FAとなった選手への長期契約を(一部を除いて)抑えることを意識することにより、ピークの間だけ選手と契約しようという動きがなされている。(その動きは否定されるべきものだとは思わない)
ここまでは真新しい主張ではなく、前記事も踏まえた二番煎じである。だが、本題に入る前に、図表を用いながら前置きを続けさせていただく。
ここ2年、オフシーズンの動きが非常に緩やかであった(下図2点参照)。
図1は、2011年~2018年を対象期間とし、各年度のオフシーズン中(10月1日から4月1日までと定義した)に最も高い契約総額で契約を果たしたFA選手の選手名、契約年数、契約総額、日時(月/日/年表記)をまとめた。※17,18年のオフシーズンは3人ずつ挙げている。※Spotracを参照して作成。
図2は、年度等は同様であり、最も遅く契約総額$10M以上の契約を果たしたFA選手の選手名、契約年数、契約総額、日時をまとめた。※17,18年は3人ずつ挙げている。※数値と文字の混在による見落とし(2018年オフシーズンのランス・リン等)があるものの、MLB Trade Rumorsにおいても同様の漏れ(2011年オフシーズンのアルバート・プホルス等)が確認出来た。※参照サイトは同様。
若手野手の年俸調停とチームのピークについて
大物の契約が遅れることにより、MLB全体の若返り傾向も相まってベテランが後回しにされている。そこで、後程ベテラン野手を取り上げるが、その前に、若手野手の契約や年齢毎のWAR等に触れたい。
- ジオ・アーシェラ(3B)
2019年にニューヨーク・ヤンキースでブレイク(fWAR3.1)を果たし、20年の年俸は$2.2M。FAになるのは23年のオフシーズンであり、年俸調停権を獲得するのは来オフからである。
- コディ・ベリンジャー(RF)
2019年は様々な成績でキャリアハイをマーク(fWARは7.8)し、20年の年俸は$11.6M。FAになるのは23年のオフシーズンであり、年俸調停権を獲得したのは今オフからである。
- フランシスコ・リンドーア(SS)
2019年は、連続150試合出場が3年で途絶えたものの、3年連続40二塁打、30本塁打、OPS.800を継続中(fWAR4.4)。20年の年俸は$16.7M。FAになるのは21年のオフシーズンであり、来オフがArb3である。
- クリス・ブライアント(3B)
2019年は、復活を印象付ける31本塁打をマーク(fWAR4.8)し、20年の年俸は$18.5M。FAになるのは21年のオフシーズンであり、来オフがArb4である。
- ムーキー・ベッツ(RF)
圧倒的なパフォーマンスを発揮した昨年より成績を低下させたもののfWAR6.6をマーク。20年の年俸は$22.7M。FAになるのは20年のオフシーズンであり、去就に注目が集まることだろう。
アーシェラは年俸調停権を有していないにも拘わらず、$2.2Mという好待遇を受けている。年俸調停権を獲得したベリンジャーは$11.6M、来オフにFAとなるベッツは$27M。
若い選手のメリットは、成績が右肩上がりに向上する可能性が高いこと、それからFA前で年俸を抑えられることである。だが、FA前であってもArb1,Arb2の間に年俸は$10Mを超えてしまう。財政的に健全さを保とうとすれば、主力選手がMLS4.00未満の内にチームのピークを持ってくる必要があるだろう。そして、そこにフィットするのがネルソン・クルーズ(MIN)やニック・マーケイキス(ATL)といったベテラン野手である。
2017 NLDS:LAD vs ARI

NLDS : LAD3-0ARI
*Game部のリンクでゲームのRecapをチェック可。
Game1 ARI5-9@LAD
勝:クレイトン・カーショウ(1-0) 負:タイワン・ウォーカー(0-1)
Game2 ARI5-8@LAD
勝:前田健太(1-0) 負:ロビー・レイ(0-1) S:ケンリー・ジャンセン
Game3 LAD3-1@ARI
勝:ダルビッシュ有(1-0) 負:ザック・グレインキー(0-1) S:ケンリー・ジャンセン(2)
レギュラーシーズンで103勝をあげて勝率MLB1位になったドジャースとワイルドカードゲームでロッキーズを退けたダイヤモンドバックスの同地区対決となったNLDS。シーズンでの対戦ではダイヤモンドバックスが11勝8敗と勝ち越していたが、プレーオフではドジャースがダイヤモンドバックスを3連勝で破って次のステージに駒を進めた。このシリーズの注目点と活躍した選手を見ていこう。
注目点1 選手層の厚さの違い
このシリーズを見て感じたことは、ドジャースの選手層の厚さが凄まじいということだ。まず投手陣では、ドジャースではペドロ・バイエズがシーズンの途中までクローザーのケンリー・ジャンセンにつなぐまでのセットアッパーの役割を担っていた。しかしバイエズが9月に調子を大きく落としたため、クローザーのジャンセンに繋ぐまでどのような投手起用をするのか注目された。そこで抜擢されたのが、シーズンのほとんどを先発投手として過ごした前田健太だ。この配置転換が見事にハマり、4シームの球速はシーズン中には92マイルだったのが94.9マイルまで上昇。前田は2戦目に登板してダイヤモンドバックスの中軸を見事に抑え、続く第3戦も好投してチームを勝利に導いた。一方野手陣でドジャースの選手層の厚さを支えていたのはルーキーのオースティン・バーンズだろう。バーンズは怪物ベリンジャーに隠れた存在だったが、新人王資格を有する選手の今シーズンのWARランキングではナ・リーグ3位の実力者である。バーンズの最大のストロングポイントはキャッチャーとセカンドのポジションをこなせることだろう。これにより昨年までは控え捕手がカルロス・ルイーズだったキャッチャーとベテランのチェイス・アトリーとローガン・フォーサイスを併用していたセカンドの底上げができた。バーンズはBaseball Prospectus集計のフレーミングランキングでも6位につけるなど控えに置いておくには勿体無い選手で彼の登場で質の高いターンオーバーが実現できるようになった。
一方ダイヤモンドバックスはロングリリーフをこなすはずのランドール・デルガドが60日DLに入った影響もあり、投手陣のやりくりに苦戦していた。初戦に先発したタイワン・ウォーカーがドジャース打線につかまり1回を持たずに降板したのも痛かった。全体的にブルペンの質で負けていたダイヤモンドバックスが、先発投手が早い回で降板した際に長いイニングを消化できるデルガドを欠いたのはボディーブローのように効いていった。第3戦で調子が悪かったグレインキーを交代させず続投させたが、バーンズにHRを打たれたのはダイヤモンドバックス投手陣の運用が難しかったことをよく表していただろう。
Playoff Preview:ロサンゼルス・ドジャース

NL西地区5連覇を達成したドジャースは最終的に103勝58敗という成績でレギュラーシーズンを終えた。103勝という数字は今シーズンメジャー最多、そしてロサンゼルス移転後最多の数字となった。本稿では素晴らしいシーズンを送ったドジャースのプレーオフ展望を行っていく。
ドジャースはトレード市場において積極的に戦力強化を行った。ざっくりと振り返ると、レッズからトニー・シングラーニ(LHP)、パイレーツからトニー・ワトソン(LHP)、そしてレンジャーズからトレード市場最大の目玉であったダルビッシュ有(RHP)を獲得した。また、8月にはメッツからカーティス・グランダーソン(LF)を獲得。投打に実績のある選手を補強した形となった。
これらの補強を踏まえ、ドジャースのプレーオフ展望を投打に分けて考察していく。投手陣は今シーズン防御率3.38でメジャー全体2位(先発防御率3.39、リリーフ防御率3.38)、奪三振は1549個でメジャー5位、WHIP1.15はメジャー1位と申し分ない成績を残した。プレーオフではクレイトン・カーショー、アレックス・ウッド、ダルビッシュ、リッチ・ヒルの4人でローテーションを編成し、前田健太や柳賢振らはリリーフに回すのが良いだろう。ここで、キーポイントはクローザーのケンリー・ジャンセンまで繋ぐリリーフ陣になってくるだろう。カーショーはポストシーズンの成績が芳しくないとはいえ、十分計算は出来る。ダルビッシュは上り調子、ウッドやヒルもいつも通り投げられればそう簡単に打たれるようなピッチングはしないだろう。一方でリリーフ陣は昨年同様好成績を残したが、昨年のプレーオフではランナーを溜めてしまう場面が多く、7回からジャンセンを投入しなければならないというような状況を作ってしまった。今シーズンはペドロ・バイエス、ブランドン・モロー、ジョシュ・フィールズらに加え、ワトソン、シングラーニを補強したことから層は厚くなったと言える。このような状況の中でもジャンセンの前倒しが増えてしまうようであれば、優勝は厳しいものになる。
Weekly Report:Week-11

3つのハイライトで1週間のメジャーリーグを辿る。Week-11のキーワードは「オールスター」「アーロン・ジャッジ」「ドジャース」だ。
・オールスター
ファン待望のオールスターゲームの開催が近づいている。現地時間の11日に開催が予定される今年のオールスターはマイアミ・マーリンズのホーム球場であるマーリンズパークで行われる。今回で88回目となる今年のオールスターの気になる出場選手だが今回はアリーグとナリーグで対照的な選出となった。本記事ではスタメンに対象を絞って紹介していく。まずはアリーグからだが、アリーグのスタメンは4度目の選出となる2塁手のホセ・アルトゥーベと捕手のサルバドール・ペレス、昨年に続いての選出となった外野手のムーキー・ベッツ以外はすべての選手が初選出とフレッシュな印象を受ける。現在アリーグ最高勝率を誇り西部地区首位を独走するアストロズからはアルトゥーベの他にショートのカルロス・コレア、外野手のジョージ・スプリンガーがスターターに選出された。他にも現在メジャートップの本塁打数を誇るヤンキース期待の若手アーロン・ジャッジや今シーズンついにブレイクを果たしたブルージェイズのジャスティン・スモークなど初選出ではあるが今シーズンの活躍ぶりを考えると妥当な選出と言えるだろう。先発はレッドソックスのクリス・セールか。
続いてナリーグ。ナリーグはアリーグとは対照的に初選出はショートを守るレッズのザック・コザートだけ。バスター・ポージーやブライス・ハーパーなどオールスター常連の選手達が顔を合わせた。開催地であるマーリンズパークを本拠地とするマーリンズからは外野手のマーセル・オスーナが選出された。マーリンズの選手はベンチに入るジャンカルロ・スタントンと彼だけのため彼の活躍には大いに期待したい。先発投手はナショナルズのマックス・シャーザーが努めることが予想される。ここまでスタメンに関して記述したがベンチにもそうそうたる選手達が選出されており今年もハイレベルな戦いになるだろう。ここ4年間はアリーグが勝利しているが今年はどうなるのか予想して見てみるのも面白いだろう。
2017 Top 100 Prospects

*レポートはチーム別リストを参照。
ランク | 選手名 | チーム名 | ポジション |
1 | ジェイソン・グルーム | BOS | LHP |
2 | アンドリュー・ベニンテンディ | BOS | OF |
3 | ブレンダン・ロジャース | COL | SS |
4 | ヨアン・モンカダ | CHW | 2B |
5 | ルーカス・ジオリト | CHW | RHP |
6 | ブレント・ハニーウェル | TB | RHP |
7 | イアン・ハップ | CHC | OF |
8 | コディ・ベリンジャー | LAD | 1B |
9 | ジョシュ・ヘイダー | MIL | LHP |
10 | エロイ・ヒメネス | CHC | OF |
11 | フランクリン・バレット | OAK | SS |
12 | ニック・センゼル | CIN | 3B |
13 | フランシス・マーテス | HOU | RHP |
14 | ラファエル・ディバース | BOS | 3B |
15 | アレックス・レイエス | STL | RHP |
16 |
ダンズビー・スワンソン | ATL | SS |
17 | ルイス・ブリンソン | MIL | OF |
18 | ホセ・デレオン | TB | RHP |
19 | クリント・フレイジャー | NYY | OF |
20 | エリック・フェッディ | WSH | RHP |
21 | コルビー・アラード | ATL | LHP |
22 | ビクター・ロブレス | WSH | OF |
23 | ウィリー・アダムス | TB | SS |
24 | ハンター・レンフロー | SD | OF |
25 | アレックス・バードューゴ | LAD | OF |
26 | オースティン・メドウズ | PIT | OF |
27 | タイラー・グラスノー | PIT | RHP |
28 | ハンター・ドージャー | KC | 3B |
29 | ジョシュ・ベル | PIT | 1B |
30 | レイナルド・ロペス | CHW | RHP |
31 | カイル・ルイス | SEA | OF |
32 | ジェフ・ホフマン | COL | RHP |
33 | マット・チャップマン | OAK | 3B |
34 | ドミニク・スミス | NYM | 1B |
35 | アーロン・ジャッジ | NYY | OF |
36 | ブラッドリー・ジマー | CLE | OF |
37 | ヤディアー・アルバレス | LAD | RHP |
38 | ショーン・リードフォーリー | TOR | RHP |
39 | フランシスコ・メヒア | CLE | C |
40 | デビッド・ポリーノ | HOU | RHP |
41 | タイラー・オニール | SEA | OF |
42 | A.J.パク | OAK | LHP |
43 | ブレイク・ラザフォード | NYY | OF |
44 | ウォーカー・ビューラー | LAD | RHP |
45 | ザック・コリンズ | CHW | C/1B |
46 | ヨハンダー・メンデス | TEX | LHP |
47 | スティーブン・ゴンザルベス | MIN | LHP |
48 | カイル・タッカー | HOU | OF |
49 | ホルヘ・アルファロ | PHI | C |
50 | ヘルマン・マーキス | COL | RHP |
51 | アンダーソン・エスピノーザ | SD | RHP |
52 | アミーア・ギャレット | CIN | LHP |
53 | アリスティーディス・アキーノ | CIN | OF |
54 | デズモンド・リンジー | NYM | OF |
55 | ショーン・ニューカム | ATL | LHP |
56 | オースティン・ライリー | ATL | 3B |
57 | カル・クオントリル | SD | RHP |
58 | ライリー・パイント | COL | RHP |
59 | アメド・ロサリオ | NYM | SS |
60 | グレイバー・トーレス | NYY | SS |
61 | シクスト・サンチェス | PHI | RHP |
62 | イーサン・ディアズ | MIL | SS |
63 | コリー・レイ | MIL | OF |
64 |
ロバート・スティーブンソン |
CIN | RHP |
65 | ウィリー・カルフーン | LAD | 2B |
66 | リース・ホスキンズ | PHI | 1B |
67 | ハリソン・ベイダー | STL | OF |
68 | オジー・アルビース | ATL | 2B |
69 | ラウディ・テレズ | TOR | 1B |
70 | トレバー・クリフトン | CHC | RHP |
71 | ルーク・ウィーバー | STL | RHP |
72 | ボビー・ブラッドリー | CLE | 1B |
73 | マイク・ソローカ | ATL | RHP |
74 | トリスタン・マッケンジー | CLE | RHP |
75 | レイメル・タピア | COL | OF |
76 | フランクリン・キロメ | PHI | RHP |
77 | カーソン・フルマー | CHW | RHP |
78 | アルバート・アルモラ | CHC | OF |
79 | ジャレル・コットン | OAK | RHP |
80 | マニュエル・マーゴット | SD | OF |
81 | ケビン・マイタン | ATL | SS |
82 | ブライアン・レイノルズ | SF | OF |
83 | フォレスト・ウィットリー | HOU | RHP |
84 | T.J.ゾイク | TOR | RHP |
85 | ディラン・カズンズ | PHI | OF |
86 | ジェシー・ウィンカー | CIN | OF |
87 | タイラー・ビーディ | SF | RHP |
88 | シェド・ロング | CIN | 2B |
89 | ドミンゴ・アセベド | NYY | RHP |
90 | トラビス・デメリ | ATL | 2B |
91 | ダニエル・ゴセット | OAK | RHP |
92 | ディラン・シーズ | CHC | RHP |
93 | ジョン・ハリス | TOR | RHP |
94 | クリスチャン・スチュワート | DET | OF |
95 | ブラディミール・ゲレーロJr | TOR | 3B |
96 | J.P.クロフォード | PHI | SS |
97 | コディ・セドロック | BAL | RHP |
98 | ジェイマー・キャンデラリオ | CHC | 3B |
99 | マイケル・コペック | CHW | RHP |
100 | フランクリン・ペレス | HOU | RHP |
Text by Ookaya Ryota
写真: https://flic.kr/p/N1CRAP