Tag Archives: ザック・グレインキー

MLB 10-19 PLAYER RANKING 10-1

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2020年を迎え、今シーズンも開幕が迫ってきた。2020年代という新たな時代を迎える前に2010年代を彩ったスタープレイヤーの活躍をランキング形式で振り返ることにする。ランキングはFar East Divisionメンバーによる投票で選定を行った物で、10年代の活躍のみを考慮して選定を行った。

 

10位 バスター・ポージー (10- SF)

2010年代前半の5年間で3度のワールドシリーズ制覇を成し遂げ、王朝を築いたサンフランシスコ・ジャイアンツの攻守の要。10年に本格的にデビューすると、その年の新人王に輝き、3年目の12年には首位打者、そしてMVPを獲得するなど若くしてMLBを代表する捕手となった。18年以降はパワーの低下に伴い、成績が低迷してしまっているが、まだ32歳と老け込む年齢ではなく、復活に期待したい。

 

9位 ザック・グレインキー (10 KC、11-12 MIL、12 LAA、13-15 LAD、16-18 ARI、19 ARI,HOU)

多彩な変化球と抜群のコントロールを武器に2010年代に6球団を渡り歩いた投手。15年には95年のグレッグ・マダックス以降で最高となる防御率1.66を記録するなど、好調時には手が付けられない存在だった。また10年代だけで8本塁打を記録した打撃や、14年から6年連続でゴールドグラブ賞を受賞した守備などピッチング以外でもチームに大きく貢献できる選手として活躍した。

 

8位 ホセ・アルトゥーベ (10- HOU)

2010年代後半を代表するチームであるヒューストン・アストロズの主砲。身長168cmと非常に小柄な体格からパワフルなバッティングを披露し、地区3連覇や17年のワールドシリーズ制覇にも大きく貢献した。首位打者3回、最多安打4回、盗塁王2回に加え、MVPも受賞するなど個人タイトルも数々獲得し、一時代を代表する選手として申し分ない活躍を見せたが、サイン盗み問題によってその活躍には疑問が残ってしまっている。

 

7位 クレイグ・キンブレル (10-14 ATL、15 SD、16-18 BOS、19- CHC)

2010年代最多の346セーブを記録した現役最高のクローザー。100マイルに迫る豪速球と抜群のキレを誇るナックルカーブを武器に奪三振の山を築いた。11年にアトランタ・ブレーブスで本格的にデビューすると、そこからナリーグでは32年ぶりとなる4年連続でのセーブ王に輝き、その後移籍したボストン・レッドソックスではワールドシリーズ制覇も経験した。昨年は怪我もあり低迷したが、まだ31歳と全盛期でマリアーノ・リベラの652セーブにどれだけ迫れるかも注目が集まる。

 

6位 ミゲル・カブレラ (10- DET)

ベネズエラ史上最高の選手にして2010年代最高の打者の1人。首位打者を4度も獲得した高い打撃技術に加え、パワーも兼ね備えており、12年には1967年のカール・ヤストレムスキー以来となる三冠王にも輝くなど数多くのタイトルを獲得した。4月に37歳になるなど全盛期は過ぎ、成績は下降してしまっているが、通算3000本安打、500本塁打が目前に迫っており、将来の殿堂入りも確実とみて良いだろう。

 

アルシデス・エスコバーのヤクルト・スワローズ移籍とそこから考えられる影響

Alcides Escobar

 

 

 

 

 

 

 

 ヤクルト・スワローズが10月30日、アルシデス・エスコバーとの契約を発表した。まだワールドシリーズが終わっていない時期に、80万ドル+出来高払いという金額の契約は異例ともいえる。エスコバーの経歴を振り返るとともに、このような契約に至った経緯と、この契約がMLBおよびNPBに与える可能性が考えられる影響を考察する。

 

 アルシデス・エスコバーはベネズエラ出身の32歳で、従兄弟にエンゼルスなどで活躍したケルビム・エスコバーや現在横浜DeNAベイスターズで活躍するエドウィン・エスコバーがおり、さらには従兄弟の息子にはブレーブスのロナルド・アクーニャがいる野球一家に育った。2003年に16歳の時にブルワーズと契約し、2007年にはAAに昇格しフューチャーズ・オールスターゲームにも出場し、2008年9月にメジャーデビューを果たした。マイナー時代には2005年から3年連続チーム内のベスト・ディフェンシブ・インフィルダーに選出されるなど守備の評価は非常に高かった。そして2010年にブルワーズのショートのレギュラーとして145試合に出場し、打率.235、OPS.614の打撃成績ながらも規定打席に到達した。そしてそのオフにザック・グレインキーと後にオリックス・バファローズでもプレーしたユニエスキー・ベタンコートとのトレードで、2015年に共にワールドチャンピオンとなるロレンゾ・ケインらと共にロイヤルズに移籍した。

 ロイヤルズ移籍1年目の2011年は158試合に出場し打撃面では打率.254、OPS.633と若干の成長にとどまったが、守備面では共にリーグ1位となる459補殺と271刺殺を記録するなどメジャーでもその守備力が確かであることを示し、その結果2012年シーズン開幕前の3月に2015年までの4年1050万ドル(オプションを含めると最大2017年までの6年2225万ドル)で契約延長した。その期待に応え2012年にはキャリアハイとなる打率.293、OPS.721を記録し、さらにリーグ5位となる35盗塁を決めた。しかしながら守備面では捕殺数や刺殺数はリーグ上位であったものの前年+9.6を記録していたUZRが−9.2に急落してしまった。2013年は逆に打撃面で打率.234、OPS.559と不振に陥るも、UZRは+9.7と本来の守備力を取り戻した。2014年はレギュラーシーズン162試合と惜しくもワールドシリーズで敗北したがプレーオフ15試合の全試合にショートでスタメン出場し、さらにオフに行われた日米野球にも出場するなど無類の身体の強さを見せつけた。2015年はファン投票で自身初のオールスター出場を果たしショートでスタメン出場し、さらにゴールドグラブ賞も獲得した。さらにチームも前年の雪辱を果たしワールドチャンピオンに輝くなど充実したシーズンを送り、メジャーを代表するショートの一人となった。

 その後2016年と2017年シーズンはどちらも全試合に出場するも打撃面では打率は.261→.250、OPSは.642→.629と下降気味となり、さらには守備面でもUZR+1.0→−0.8と2017年には再びマイナスに転じてしまった。チームも2016年はワールドチャンピオンから一転プレーオフ進出を逃し、2017年には勝率5割を切るなどエスコバーとともに下降していった。2017年シーズンで2012年開幕前に結んだ契約を満了し、オフにFAになるも1年250万ドル+出来高で再契約した。2018年はロイヤルズ移籍後では最も少ない140試合の出場に留まり、成績も打撃面は打率.231,OPS.593、さらには守備面でもDRS-12と攻守に精彩を欠いてしまった。またロイヤルズ移籍後初めてショート以外のポジション(セカンド3試合、サード29試合、センター6試合)で出場した。

 2019年シーズンは長年プレーしたロイヤルズを離れ、スプリングトレーニング直前にオリオールズとマイナー契約を結ぶも3月20日にリリースされ、直ぐにホワイトソックスとマイナー契約を結び3Aでプレーしたがメジャーに上がることなく8月2日にリリースされてシーズンを終えた。3Aでは96試合に出場し打率.286、OPS.787の成績で、守備ではショートで49試合、サードで41試合に出場した。

*DRSおよびUZRはショートでの成績

 

2019 ALDS Review:HOU vs TB

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 ア・リーグ西地区を制したヒューストン・アストロズの対戦相手はワイルドカードを制したタンパベイ・レイズとの組み合わせとなった。

 Game1

TB 2-6 HOU

勝: ジャスティン・バーランダー(1-0)

負: テイラー・グラスノー(0-1)

  アストロズの先発はジャスティン・バーランダー(RHP) 先頭バッターを四球で塁に出すも続く2番バッターを5-4-3の併殺打、3番バッターを見逃し三振と三者凡退の好スタート。4回までレイズ打線をノーヒットに抑える。5回表に5番ブランドン・ロウ(2B)に初ヒットを許すも後続3人を打ち取りこの回も無失点。結果7回まで投げて1安打8奪三振無失点の好投で試合を作った。

 レイズの先発はテイラー・グラスノー(RHP) こちらも初回は三者凡退、2回は2アウト1.2塁、3回は2アウト満塁と得点圏にランナーを置くもあと一本を許さなかった。4回は三者凡退に抑えた。5回裏ランナー1塁で2番ホセ・アルトゥーベ(2B)にレフトへの先制ツーランホームランを打たれたところで降板となった。4回1/3  (77球) 奪三振5 失点2であった。

 アストロズはこの回相手のエラーでもう2点を追加した。

 七回裏には4番手オリバー・ドレイク(RHP)から5番ヨーダン・アルバレス(OF)、6番ユリ・グリエル(1B)の連続タイムリーツーベースでさらに2点追加して6点のリードとした。

  レイズ打線の反撃は8回表この回から登板の2番手ライアン・プレスリー(RHP)から代打エリック・ソガード(2B)、1番オースティン・メドウズ(OF)の連続タイムリーツーベースで2点を返し4点差とする。

 しかし後続は打ち取られ追加点が取れず。2-6でアストロズが初戦を勝利した。

 

 Game2

TB 1-3 HOU

勝: ゲリット・コール(1-0)

負: ブレイク・スネル(0-1)

  レイズは初戦4番DH起用だったヤンディ・ディアス(3B)が1番サード、出場が無かったアビサイル・ガルシア(OF)を5番ライトに起用するなどスタメンを変更。アストロズもカイル・タッカー(OF)がライト、マーティン・マルドナード(C)がキャッチャーにスタメン変更。

  初回いきなりカルロス・コレア(SS)の好プレーで試合がスタート。

  アストロズの先発はゲリット・コール(RHP) 初回は2三振、2回には三者連続三振と5回までに10個の三振を奪うなどレイズ打線を封じ込める。好投はこの後も続き8回表、6.7番を連続三振に抑えた。しかし後続バッターに二塁打、四球を出したところで交代。8回2/315奪三振無失点の好投で試合を作った。

 レイズの先発はブレイク・スネル(LHP) 初回は三者凡退、2.3回はヒットなどでピンチを作るも後続を打ち取り無失点で抑え、前日同様投手戦となる。4回裏4番のアレックス・ブレグマン(3B)がレフトへのソロホームランで昨日同様アストロズがホームランで先制した。この後スネルは一人を打ち取ったところで交代となった。3回1/3奪三振5失点1であった。

 7回はマーティン・マルドナード(C)のタイムリー、8回にはコレアのタイムリーで追加点を取り3-0とする。

 レイズは9回表に前の回から投げているクローザーのロベルト・オスーナ(RHP)から満塁のチャンスを作り、5番アビサイル・ガルシア(OF)の内野ゴロの間に1点を返す。再び満塁としたが、代わったウィル・ハリス(RHP)を攻めきれず。3-1でアストロズが勝利し、

 ALCSへ王手とした。

 

2019 World Series Review : Game7

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った方がワールドチャンピョンとなる運命のGame7。歓喜の瞬間を目の当たりにしようと球場には43,000を越えるファンが集まった。この試合の先発はアストロズがこのポストシーズンで勝利のないザック・グレインキー、ナショナルズは首の痛みからGame5での登板を回避していたマックス・シャーザーが登板した。

ハイレベルな投手戦が予想されたGame7はアストロズペースで進んでいく。2回にユリ・グリエルが低めのスライダーをレフトスタンドまで運び、アストロズが1点を先制すると、5回にも2アウト1,2塁のチャンスからカルロス・コレアが曲がりの甘いスライダーを捉えるタイムリーヒットを放ち、2点のリードを奪った。先発のグレインキーもナショナルズ打線を6回まで1ヒットに抑える完璧なピッチングを見せていた。

 

しかし、7回アンソニー・レンドーンが均衡を破る1発を放つと、続くフアン・ソトに四球を出したところでアストロズのヒンチ監督が動いた。レンドーンへの1発以外ほとんど完璧に抑えていたグレインキーを降ろし、ポストシーズン大車輪の活躍を見せていたウィル・ハリスを登板させた。しかし変わったハリスの投じた2球目をハウィ・ケンドリックが捉え、打球はライトポールに直撃し、逆転の2ランホームランとなった。ここまで数々の重要な局面で結果を残してきたケンドリックがGame7でも大きな一打を放った。

2019 ALCS Review:NYY vs HOU

Carlos Correa, Jose Altuve

 

 

 

 

 

 

 

 2019年のALCSは、ミネソタ・ツインズをスウィープで下したニューヨーク・ヤンキースと、第5戦でタンパベイ・レイズを下したヒューストン・アストロズの組み合わせとなった。

 シーズンを通しての両球団のポイントとWSへの展望を述べている。

 ・シリーズの概要及びWSの展望

 ここからは各試合終了後に振り返っている。

 ・Game 1 「田中将大」,「グレイバー・トーレス」,「ブルペン運用」

 ・Game 2 「物量戦」,「ファウルチップ」,「カルロス・コレア」

 ・Game 3 「ルイス・セベリーノ」,「ゲリット・コール」,「ハードヒット」

 ・Game 4 「本塁打」,「CC サバシア」,「リリーバー」

 ・Game 5 「DJ ラメイヒュー」,「ホームで消耗させられなかったヤンキース」,「ブルペンデーに繋げたアストロズ」

 ・Game 6 「ブルペンデー」,「低打率を出塁率でカバーしたアストロズ打線」,「窮地を救ったジョシュ・レディック」

 

 シリーズの概要及びWSの展望

 

 両球団共に、DSからCSに進出して打線の打撃成績が低下する中で、ヤンキースよりも少ない三振数で、ヤンキースよりも多く四球数を稼いだアストロズ打線が印象的だった。ルーク・ボイト(1B)やマイク・フォード(1B)、クリント・フレイジャー(OF)、(CSに出場は果たしたが)ジャンカルロ・スタントン(OF)等を欠いているにも拘わらず、ヤンキースが長打力でアピールせざるを得なかったのは痛い。一方、アレックス・ブレグマン(3B)やユリ・グリエル(1B)等に思ったようにヒットが出ない中で、出塁率を高めつつ要所要所で本塁打を打てたアストロズ打線は驚異的だった。下位打線にマーティン・マルドナード(C)やジョシュ・レディック(OF)を起用出来たのも上位打線が得点を重ねやすいようになっていたからだろう。とはいえ、CSのチーム本塁打と打点はヤンキースが上回っており、ヤンキースにも勝算はあったが、ホーム3連戦で2敗を喫したのは痛かった。第6戦、7戦を連勝するのは難しく、第5戦で王手をかけておきたかったが、ハードヒットは出るが安打や得点の伸び悩む打線が苦しむに終わった。

 

 投手陣を見た時、アストロズはバーランダーとコールで3、4勝を見込めるのに対し、ヤンキースはイニングイーターを欠いており、ブルペンの物量戦で乗り切るしかなかった。NLCSを目覚ましい躍進で突破したナショナルズにも言えることだが、やはり長いイニングを投げられる投手がいないとPOは難しい。シーズン中の疲労が蓄積しているブルペンが、POで100%のベストコンディションを発揮するのは難しいからだ。アダム・オッタビーノ(RHP)は、その最たる例だろう。ただ、ヤンキースはDSでスウィープしたアドバンテージがあり、ALCSが始まった段階ではイーブンだったはずだ。アドバンテージが失われたのはヤンキースタジアムに移動してからの3連戦だろう。第6戦のブルペンデーに入るまでにブルペンはかなり疲弊していた筈である。一方のアストロズは、バーランダーとコールのおかげである程度ブルペンの温存が出来ていた。9回裏にアルトゥーベが本塁打を打たなかったとしても、延長戦に入れば分があるのはアストロズに思えたし、第7戦セベリーノの後を継いだブルペンがどこまで粘れたのかは分からない。個人的に、第4戦落としてしまったのがターニングポイントに思える。

 

 守備では外野陣のファインプレーの多いシリーズだった。特に、レディックが第6戦の6回に見せたファインプレーはシリーズ1のプレーだと思う。レディックは本塁打もマークしており、WSで伏兵として貢献しそうだ。そのままWSの展望に入ると、アストロズとナショナルズは共に先発がチームの勝敗を左右するチームだ。バーランダーとコール、シャーザーとストラスバーグという絶対的な二枚看板を有している。ナショナルズは、パトリック・コービン(LHP)アニバル・サンチェス(RHP)も頼もしく、ザック・グレインキー(RHP)がナショナルズ打線に捕まれば分があるのはナショナルズか。ただ、POでのナショナルズの投手起用法は命を削るようなものであり、バーランダーとコールでブルペンを休ませつつ、ブルペンデーをする余裕があるアストロズに分があるとも言える。打線は、明らかにナショナルズ打線の方が好調であり勢いがある。だが、2017年にWSを制したアストロズも負けておらず、クリーンアップに長打が出れば、1番から6番まで恐ろしい打線になる。

 アストロズが4勝3敗で制すると思っている。初戦、シャーザー対コールをアストロズが制し、第2戦、ストラスバーグ対バーランダーもアストロズが制し、拮抗して迎えた第7戦で制覇するというものである。ナショナルズ打線よりもアストロズ打線の方が本塁打が出ており、初戦はシャーザーから大量得点をマークしたい。第2戦は何とも言いがたいが、WSのプレッシャーになれているバーランダーとストラスバーグでバーランダーに分があるという見立て。ナショナルズ投手陣は強力だが、CSやシーズン中のように走者を増やして本塁打で効率よく得点していけば倒せるだろう。また、第7戦までもつれる長期戦になれば、おそらく先にほころぶのはナショナルズだろう。逆に、ナショナルズ打線の勢いに押されて第5戦くらいでナショナルズが制する可能性も想像出来る。何はともあれ、アストロズはWS全7試合を使って4勝する意識で挑んでいけば勝てるだろう。また、そのための場数を踏んでいるチームである。

 

Written by Tsubasa Komiyama

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