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後半戦展望:テキサス・レンジャーズ

シーズン開幕前は昨シーズンの最下位から大きな補強もなく、今シーズンも苦戦が予想されていた。しかしながら、ここまでオールスター前は48勝42敗、勝率.533と健闘し、首位を独走していたアストロズに一時3.5ゲーム差に迫るなどした。現在はオールスター後の8連敗などが響きワイルドカード争いから脱落した形となり、勝率5割前後を推移している状態である。
トレードデッドライン前の陣容は野手陣こそジョーイ・ギャロ(OF)ら若手の成長とマイナー契約や格安契約で加入したハンター・ペンス(DH)やダニー・サンタナ(2B)の活躍で高い得点力を誇っているものの、投手陣は先発のマイク・マイナー(LHP)とランス・リン(RHP)が非常に良い成績を残しているものの他の先発はリリーフから途中で転向したジェシー・チャベス(RHP)とまだまだ安定感のない若手のエイドリアン・サンプソン(RHP)とアリエル・フラード(RHP)といった状況である。ブルペンもクローザーとして期待されたホセ・レクラーク(RHP)が開幕直後絶不調でクローザーを新加入のショーン・ケリー(RHP)に譲った。現在はこのレクラークとケリーと日本球界でも活躍したクリス・マーティン(RHP)の三人は安定しているが、他はルーキーやメジャーに定着できていない若手といった状況であり、投手陣に非常に大きな課題があった。
このような状況でトレードデッドラインを迎えたため、売り手に回るのか買い手に回るのか様々な憶測が出ていた。そして迎えたトレードデッドラインでの動きは簡単に言うと、近い将来すなわち新球場が開場する来年へ向けての補強を行ったと言える。獲得した選手は既に3Aに昇格し結果を残している若手と来季以降も契約の残る選手であった。
売り手としてのトレードは一件のみだった。
TEX獲得
コルビー・アラード(LHP)
ATL獲得
クリス・マーティン(RHP)
このトレードはプレーオフ進出を目指すブレーブスに今季終了後にFAとなるマーティンを放出し、プロスペクトのアラードを獲得したトレードデッドラインの一般的な形のトレードであった。
マーティンは日本球界から昨季復帰し、レンジャーズで主にセットアッパーとして投げ、今季は38試合に投げ防御率3.08、12ホールド、4セーブ、K/9=10.18と一時はクローザーも任されながら非常に安定した投球を続けていた。今季のブレーブスのブルペンは若手が多くクローザーも5月からルーク・ジャクソン(RHP)が務めている状態で、ブルペン全体として安定感にやや欠ける状態であった。
そのため、マーティンの他にもジャイアンツからマーク・メランソン(RHP)やタイガースからシェーン・グリーン(RHP)を獲得しており、マーティンはブレーブスでも7回や8回を投げると思われる。
アラードは2015年ドラフト1巡目(全体14位)でブレーブスに指名され入団した21歳で、順調にマイナーを駆け上がりプロ4年目の昨季は3Aで19試合に先発し112.1回を投げて、防御率2.72、K/9=7.13を記録し6月31日にメジャーデビューを果たした。
しかしながら、メジャーでは3試合(1先発)で防御率12.38と散々だったが、今季移籍後再びメジャーに昇格し8月は5試合に先発し27.0回を投げ防御率4.33、K/9=9.00、被打率.250とイニング数は5回前後であるものの内容は良くなっており、このままローテーション定着が期待される。
ジョーイ・ギャロが通算100本塁打を達成

Written by Akiyuki Suzuki and Edited by Tsubasa Komiyama
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現地時間5月9日、パイレーツの本拠地PNCパークで行われた試合で、レンジャーズのジョーイ・ギャロ(OF)が3回にニック・キンガム(RHP)からツーランホームランを放った。これがギャロのメジャー通算100号ホームランとなった。センター方向に飛んだホームランはスタンドを遥か超えて行く場外ホームランとなり、ギャロらしい飛距離のホームランだった。
しかし、この100号ホームランには飛距離以外にもギャロならではの記録もついてきた。
まず通算377試合での100号はアメリカン・リーグでは史上最速であり、メジャー全体でも歴代3位の速さでの達成となった。ギャロのホームランを打つ能力に関しては、これまでのメジャーリーガーの中でもトップクラスであることが改めて証明される形となった。
そしてもう一つギャロが達成した記録は、メジャー史上初となる通算100単打を記録する前の通算100本塁打達成である。100号を達成した時点でギャロは単打93本。次に単打が少なかったラッセル・ブラニアン(元SEA他)は172本である。このことから、いかにギャロがホームランを打つことに特化しているか分かる。
ちなみにブラニアンの次に少なかったのがライアン・ハワード(元PHI他)の176本で、4番目はクリス・カーター(OF)の179本となっており、ホームランを打つことに特化した他の打者も100号ホームランを放つまでにこれだけの単打を放っていた。さらにはギャロやカーターのような打者の象徴であるアダム・ダン(元CIN他)はもっと多くの単打を放っている。
日本のプロ野球では先日、オリックス・バファローズの“ラオウ”の愛称で有名な杉本裕太郎(OF)がプロ通算9安打目(それまでの8安打は本塁打が6本、二塁打が2本)で初めて単打を放ったことが話題となっており、日米でホームランに関わる非常に珍しい記録が続けて誕生する結果となった。
Weekly Report : Week-4

Weekly4は「ベテランサウスポーの行方」、「援護不足ながら復活の兆しを見せるストローマン(TOR)とグレイ(CIN)の昨シーズンとの決定的な違い」、「苦戦を強いられるヤンキースの編成について」、「ブラディミール・ゲレーロ Jr.」、「ジョーイ・ギャロ1337打席目でキャリア初の犠牲フライを放つ」
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・ベテランサウスポーの行方
Written by Yu Kikuchi
現地時間25日、ジオ・ゴンザレス(LHP)が MILと1年200万ドルと出来高ボーナス付きの契約に合意した。MILからFAとなったゴンザレス(LHP)は今年の3/20にNYYとマイナー契約を結んでいる。22日にオプトアウトの権利を行使してFAとなり今回の契約に至った。
Nothin’ going right for the Brewers lately… https://t.co/NlaX0CsWqG
— Adam McCalvy (@AdamMcCalvy) 2019年4月25日
*今回の契約の流れ
3/20 NYYとマイナー契約
メジャー契約となった場合300万ドル+1先発ごとに30万ドル
4/22 オプトアウト権利行使
4/25 MILと1年契約
ここでジオ・ゴンザレス(LHP)のキャリアを振り返って見よう。
ジオ・ゴンザレス(LHP)は04年CWS1巡目で入団した33歳。08年にメジャーデビューを果たし、着実にキャリアを積み12年には21勝をあげ最多勝を獲得した。オールスター2回出場、15勝以上4回あげるなど球界を代表するサウスポー。しかし、近年は衰えが見え、昨シーズンは10勝11敗ERA4.21だった。
ジオ・ゴンザレス(LHP)は停滞するFA市場の影響をもろに受けた選手と言えるだろう。18年の年俸が1000万だったことを考えれば大きくダウンしている。今シーズンは3AでERA6.00だが、直近の登板では好投しており、地区2連覇を狙うMILは大きな買い物をしたことだろう。
photo by milb.com
もう一人、ベテランサウスポーでFA市場の停滞を受けている選手がいる。ご存知の通りダラス・カイケル(LHP)である。2度のオールスター選出、15年にサイヤング賞を獲得している。昨シーズンは12勝11敗ERA3.74だった。HOUからクオリファイング・オファー(1700万9000ドル) を拒否し、当初は1億5000万ドル~2億ドルの大型契約を狙っていた。しかし、現在はQOを超える1年契約あるいは6~7年契約であれば、当初希望していた額を下げることを受け入れるようだ。そこで、筆者が個人的に一番ダラス・カイケル(LHP)を獲得すべき球団を以下にまとめてみた。
パドレス
1年契約(不良債権にならないようにするため+以下参照)かつドラフト終了後(今年のドラフト指名権を失わないため)という条件付きだが、個人的にはパドレスを推したい。パドレスは現在地区2位(現地時間4/25現在)。先発投手全員MLBサービスタイム3年以内の若手投手。ここにカイケルが加われば先発投手に厚みが増すだけでなく若手投手陣の模範的かつ橋渡し的存在となることだろう。パドレスはフェルナンド・ターティスJr.(SS)やクリス・パダック(RHP)をはじめとする若手有望株の宝庫。もちろん2~3年後に本格的な黄金期を狙っている事は重々承知しているが今年は若手の勢いがありプレーオフが狙えるチャンスにある。07年から12年連続で逃しているチームに勝ち癖をつけるためにも今年プレーオフに出場することは大きな意義がある。プレーオフに出場するためにもカイケルを是非獲得してもらいたい。
*パドレスの先発投手陣
①エリック・ラウアー(LHP) (MLBサービスタイム0.160)
②ジョーイ・ルケーシー(LHP)(MLBサービスタイム1.000)
③ニック・マーゲビチウス(LHP)(MLBサービスタイム0.000)
④クリス・パダック(RHP(MLBサービスタイム0.000)
⑤マット・ストラム(LHP(MLBサービスタイム2.064)
⚠︎MLBサービスタイムは開幕前のデータ
2018 Team Preview :テキサス・レンジャース

本拠地:グローブライフパークインアーリントン
レフト | 101.2m |
センター | 121.9m |
ライト | 99.1m |
フェンス高さ |
2.4~4.3m |
安打 | 110.0 |
ツーベース | 105.2 |
スリーベース | 181.3 |
HR | 104.9 |
得点 | 115.6 |
1, デライノ・デシールズ(CF)
高い走力を武器に昨シーズンも29盗塁を記録。16年は打率.209、OPS=.588と大不振に苦しんだが、昨シーズンは打率.269、OPS=.714と復活を果たした。俊足を活かしたセンター守備でも高い評価を得ており、打撃で更に成長し、1番に定着したい。
2, エルビス・アンドルス(SS)
昨シーズン長打力が大幅開花し、デビューから8年間で35本塁打しか放っていなかったが、昨シーズンだけで20本塁打を放った。打点、OPSなどでも自己ベストを更新し、キャリア最高のシーズンとなった。9年連続で20盗塁をクリアしている俊足も相変わらずで今シーズンも主軸として期待。
3, ノマー・マザーラ(RF)
メジャーデビューから2年連続で20本塁打、昨シーズンは100打点もクリアするなど成長を続けている22歳。スピードが皆無で守備の評価が低いことや左投手を大の苦手としているなど課題ははっきりしているが、まだまだ若く改善に期待したい。
4, エイドリアン・ベルトレ(3B)
4月で39歳を迎える大ベテラン。しかし衰えはまだまだ見えず、故障こそあったが昨シーズンも打率3割をクリア、OPSも.915と一流であり続けている。3000本安打も達成するなど将来の殿堂入りの可能性は非常に高い。
5, ジョーイ・ギャロ(1B)
遂にベールを脱いだパワーモンスター。三振の多さも評判通りで、昨シーズンの196三振はアーロン・ジャッジ(NYY)の208三振に次いでメジャー2位の多さ。今後も昨シーズンのような成績を残し続け、アダム・ダンのようなキャリアを送っていくだろう。
6, 秋信守(DH)
故障に苦しんだ16年から復活し、149試合に出場。22本塁打に、13年以来となる二桁盗塁を記録するなどまだまだやれることを証明した。35歳を迎えたベテランだが、選球眼の良さパンチ力などに衰えは見えず、今シーズンも一定の成績は期待できる。一方で守備は心配な点だらけで主にDHとしての起用となるだろう。
7, ルーグネット・オドーア(2B)
今シーズンでメジャー5年目を迎えるがまだ24歳と非常に若い。昨シーズンは2年連続となる30本塁打越えを果たしたが、低打率&選球眼の無さから出塁率はわずか.252と苦しみ、OPSも.649とレギュラー失格クラス。今シーズンはその粗っぽい打撃を少しでも改善させたい。
8, ロビンソン・チリーノス(C)
年々打撃成績を伸ばしている捕手。昨シーズンはわずか88試合の出場ながら17本塁打、打率.255に対し、出塁率.360と選球眼の良さも見せた。盗塁阻止率は25%と高くはないが14年には40%を記録しており、今シーズンは数字の向上に期待したい。
9, ライアン・ルア(LF)
ブレイクした16年から一転、昨シーズンは打撃成績を大きく落とし、レギュラー獲得には至らなかった。今シーズンも主にバックアップとしての起用が予想されるが少ないチャンスを活かしてレギュラー獲得に近づきたい。マイナーでは30本塁打越えを記録した事があるなどパンチ力はある。
2016 Midseason TOP 50 Prospects

*レポートはチーム別リストを参照。
ランク | 名前 | チーム | ポジション |
1 | ヨアン・モンカダ | BOS | 2B |
2 | アレックス・ブレグマン | HOU | SS |
3 | アレックス・レイエス | STL | RHP |
4 | アンドリュー・ベニンテンディ | BOS | OF |
5 | フリオ・ウリアス | LAD | LHP |
6 | ルーカス・ジオリト | WSH | RHP |
7 | タイラー・グラスノー | PIT | RHP |
8 | クリント・フレーザー | CLE | OF |
9 | デビッド・ダール | COL | OF |
10 | J.P.クロフォード | PHI | SS |
11 | オースティン・メドウズ | PIT | OF |
12 | ビクター・ロブレス | WSH | OF |
13 | ブレンダン・ロジャース | COL | SS |
14 | オーランド・アルシア | MIL | SS |
15 | トレイ・ターナー | WSH | SS/2B |
16 | アンダーソン・エスピノーザ | BOS | RHP |
17 | アメド・ロザリオ | NYM | SS |
18 | ホゼ・べリオス | MIN | RHP |
19 | ウィリー・アダムス | TB | SS |
20 | ジョシュ・ヘイダー | MIL | LHP |
21 | フランクリン・バレット | OAK | SS |
22 | グレイバー・トーレス | CHC | SS |
23 | オジー・アルビース | ATL | SS |
24 | マニュエル・マーゴ | SD | OF |
25 | コディ・べリンジャー | LAD | 1B |
26 | ブレント・ホニーウェル | TB | RHP |
27 | アミーア・ギャレット | CIN | LHP |
28 | フランシス・マルテス | HOU | RHP |
29 | ジョー・マスグローブ | HOU | RHP |
30 | イアン・ハップ | CHC | 2B/OF |
31 | ダンズビー・スワンソン | ATL | SS |
32 | アーロン・ジャッジ | NYY | OF |
33 | エロイ・ヒメネス | CHC | OF |
34 | ハンター・レンフロー | SD | OF |
35 | ラウル・モンデシー | KC | SS |
36 | フィル・ビックフォード | SF | RHP |
37 | カイル・タッカー | HOU | OF |
38 | ブラッドリー・ジマー | CLE | OF |
39 | ホゼ・デレオン | LAD | RHP |
40 | ジェフ・ホフマン | COL | RHP |
41 | ゲリー・サンチェス | NYY | C |
42 | ニック・ウィリアムズ | PHI | OF |
43 | ヤディアー・アルバレス | LAD | RHP |
44 | アレックス・バードゥーゴ | LAD | OF |
45 | ジョーイ・ギャロ | TEX | 3B/OF |
46 | ショーン・リードフォーリー | TOR | RHP |
47 | ホルヘ・マテオ | NYY | SS |
48 | トレイ・マンシーニ | BAL | 1B |
49 | レイナルド・ロペス | WSH | RHP |
50 | クリス・パダック | SD | RHP |
Text by Haruki SAKURAI
写真:https://flic.kr/p/eaMBNc