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2019 ALWC Review:TB vs OAK

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 総年俸の低い球団対決として注目されたこの試合はレイズが勝利した。

TB 5 – 1 OAK

 

 レイズの先発はチームの勝ち頭のチャーリー・モートン(RHP)、アスレティックスは9月に復帰したばかりのショーン・マナエア(LHP)だった。

 

 試合は初回にレイズのヤンディ・ディアス(3B)の先頭打者ホームランで先制。マナエアはホームランこそ打たれたが、その後3者連続三振で乗り切って立ち直ったようにも見えた。

 しかし、2回表に先頭打者にヒットを許すとレイズのアビサイル・ガルシア(OF)に2ランホームランを浴びてしまう。

 3回表マナエアはディアスに2本目のホームランを献上したところで降板。2番手のユスメイロ・ペティート(RHP)がマウンドにあげる。レイズのリードは4点となる。その裏アスレティックスもラモン・ローレアーノ(OF)の犠牲フライで1点を返し踏み止まる。

 5回表レイズはトミー・ファム(OF)のソロホームランが飛び出し再び突き放す。

 

 対するレイズのモートンは5イニングを投げ被安打5、与えた四死球3と毎回ランナーを背負いながらも要所を締めてなんとか1失点で切り上げる綱渡りのような投球で後続のピッチャーに後を託す。

  6回以降は両チームの救援陣が奮闘し、両チームとも得点が入らずそのままレイズが5-1で勝利をおさめた。

 

所見

 レイズの得点が全てホームランで、また両チームとも三振が12個と粗さも目立ちホームラン or 三振という現代のMLBのトレンド最前線を見た感じだ。

 

 アスレティックスに関してはマナエアはホームラン2本を打たれたが2回0/3を投げて三振も5個取れており来年以降の復活に期待を覗かせた。期待の若手ヘスス・ルザルド(LHP)もプレーオフという大舞台でも物怖じせず、自慢の剛速球でヒット被安打1、三振4、無失点と大いにファンを楽しませてくれた。

 

 レイズはモートンが思いのほか安定してなかったが、それでも試合を作るという観点からはさすがであり、後を継いだブルペン投手も前評判通りのピッチング内容でアスレティックスの反撃を許さなかった。さすがブルペン王国レイズ‼︎

 

 普段のリングセントラル・コロシアム(オークランド・コロシアム)といえば閑古鳥が鳴いていて空席も目立つが、この日のリングセントラル・コロシアムは5万人以上のお客さんで埋め尽くされた。アスレティックスが優勢とも思われていただけに駆けつけたアスレティックスファンは失意のどん底であったろう。アスレティックススとしてもホームでの敗退は避けたかったはずだ。

 

 “お金の無い球団”と形容されがちなレイズとアスレティックス。しかし、限られた資金の中で上手くやりくりして、他の強豪球団と渡り合う姿はレイズファンやアスレティックスファンでなくとも応援したくなる。財政事情が苦しいのは今後も暫く続くかもしれないが、レイズはアストロズとの地区シリーズ、アスレティックスは来年以降の戦いに期待したいところだ。

 

Written by Eiji Kato

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Weekly Report : Week-5

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前年より盤石なタンパベイ・レイズ投手陣

Written by Tsubasa Komiyama

 レイズは、現地時間5月3日現在、21勝11敗でアメリカン・リーグ東地区の首位に着けている。チーム打点は、ヤンキース、レッドソックスに次ぐ地区3位であるが、チーム失点は、122失点で2位のブルージェイズを突き放す100失点で1位である。

 本拠地のPFや対戦相手にもよるものの、基盤の安定した投手力が地区首位を堅守していると捉えて問題ないだろう。

 ところで、興味深いスタッツがある。チームの先発イニング数の合計だ。2018年レイズの先発イニング数合計は624回(1試合平均3.2回)でメジャー全体30位である。29位は805.1回(1試合平均4.2回)のエンゼルス、1位は993.2回(1試合平均6.1回)のインディアンスだ。2019年レイズの先発イニング数合計は145.1回(1試合平均4.1回)でメジャー全体29位である。30位は141.2回(1試合平均4.1回)のエンゼルスだ。順位としては30位から29位であるが、約アウト2つ分増えたと考えると大きな変化である。

年度 先発イニング数 試合平均
2018年 624回 3.2回
2019年 145.1回 4.1回

 

 

 理由は、昨年クリス・アーチャー(RHP)の見返りの1人として獲得したタイラー・グラスノー(RHP)と、昨年オフにFA補強したチャーリー・モートン(RHP)がオープナーを用いない先発として起用されているからであろう。

 昨年、レイズで20先発以上したのはブレイク・スネル(LHP)とライン・スタネック(RHP)の2人だが、スタネックはオープナー起用であるため、実質フルシーズン稼働した先発はスネルのみであった。

 しかし、2019年はスネル、グラスノー、モートンの3人が20先発を超える見込みである。つまり、ブルペンの負担が軽減されることにより、オープナーの柔軟性や7回以降の粘り強さが得られるのではないだろうかと推測した。

 

 さて、昨年、レイズがシーズン後半戦において目覚ましい戦績を挙げ、WC争いが白熱したことは記憶に新しい。

 下の表は2018年タンパベイ・レイズの月間投手成績と、2018年メジャー平均の月間投手成績である。

 

 メジャー平均は、シーズン終盤にK/9とBB/9が共に上昇している。K/BBは下がっているため、K/9の上昇よりBB/9の上昇の方が多いことが伺える。一方、レイズはもう少し早い段階、6月から7月にかけてK/9を上昇させ始め、7月から8月にかけてBB/9を下降させることにより、K/BBを上昇させている。

 要因はオープナーの採用であると考えられる。オープナーの利点は大まかに2点である。

  •  初回防御率の悪い先発投手の代わりに、リリーバーが先発することで初回防御率を改善出来る。
  • 後続の本来の先発投手とオープナーであるリリーバーの利き手やピッチングスタイルを変えることで、後続の先発投手のポテンシャルを最大限発揮出来るようアシスト出来る。

 

 今回は、具体的にオープナーに向いているピッチングスタイルには触れないが、昨年、レイズがオープナーを(現状において)最大限活かす術を見つけたと言える。それは夏場のメジャー平均とレイズの月間投手成績の差から考えられるだろう。

 

2018 ALDS Review : HOU vs CLE

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今回はプレーオフレビューとして、アメリカンリーグの地区シリーズインディアンスvsアストロズを分析する。

 

2年前のアンドリュー・ミラーの柔軟な起用法を提案したインディアンスと昨年絶対的なクローザー抜きでワールドシリーズを制覇したアストロズの対決となった。両者共にリリーフ投手の起用法で、新しい指針を示したチームであり今回はどんな戦略が飛び出すかに注目していた。

 

結論から見ると、昨年本来は先発投手のチャーリー・モートンが優勝の瞬間マウンドに立っていたアストロズは1年前に比べて新顔を増やして先発投手が長イニングを投げて強力なリリーフ陣がそれを支えるクラシックな投手起用を見せた。一方でインディアンスは2年前の闘いぶりを大きく変えることなく臨んだという感じだった。ただし2年前ほどの力がミラーやコディ・アレンに無かったのが大きな違いとなってしまった印象を受ける。

 

初戦はジャスティン・バーランダーとコリー・クルーバーのサイ・ヤング賞受賞経験者同士の対戦となった。3回まではスコアが動かなかったが、アストロズ打線が2巡目に入った4回にアストロズがアレックス・ブレグマンのHRで先制に成功する。5回にも2点を追加したアストロズはクルーバーを5回途中でノックアウトした。バーランダーも6回を投げきれなかったが、7三振を奪いエースの貫禄を見せつけた。

 

この試合で1番印象的だったのは、両チームの先発投手の速球の平均球速だった。バーランダーがシーズン平均95.0マイルだった速球を96.2マイルまで上げてきた一方で、クルーバーのシンカーはシーズン平均が91.9マイルだったのに91.6マイルに低下していた。8月末まで平均92マイルを超えていたクルーバーのシンカーは9月に入ってから明確に遅くなっており疲れは明らかだった。

 

第2戦はインディアンスがフランシスコ・リンドーアのHRで先制。しかしアストロズが先発ゲリット・コールの12三振を奪う力投で流れを手繰り寄せ、6回にマーウィン・ゴンザレスのツーベースで逆転に成功。7回にはブレグマンの2試合連続HRで追加点を挙げたアストロズが連勝を飾った。シーズン中は凡庸な成績に終わったゴンザレスは、昨年9月25日以来の1試合4安打を記録した。インディアンスの切り札ミラーは先発カルロス・カラスコの後を受け継いだが、1アウトも取れなかった。

 

コールが見せた、プレーオフで四球を与えずに、12三振以上を奪ったのは実に45年前のメッツのトム・シーバー以来となる歴史的な好投だった。

 

第3戦はクリーブランドに舞台を移して行われた。先発投手はインディアンスがマイク・クレビンジャーで、アストロズがダラス・カイケル。5回裏にリンドーアのHRが飛び出した時はインディアンスに流れが傾いたが、試合は7回にインディアンスのエラーも重なりアストロズが3点を奪い態勢を決めた。

8回には後半戦のOPSが.517と絶不調に陥っていたカルロス・コレアにもHRが飛び出して、アストロズは文句無しの状態でALCSに駒を進めた。

 

アストロズのジョージ・スプリンガーは、2HRを放ち昨年のWSから合計10試合で8HRとPOではHRを量産している。

またアストロズにとってはチーム史上初のプレーオフでのシリーズスウィープ達成となった。

 

Weekly Report : Week8

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3つのハイライトで1週間のメジャーリーグを辿る。Week-8のキーワードは「フレディー・ペラルタ」「アストロズ投手陣」「ロビンソン・カノー」だ。

 

・フレディー・ペラルタ

地時間の14日1人のルーキーが衝撃のデビューを飾った。彼の名はフレディー・ペラルタ。彼は14日のロッキーズ戦でメジャー初登板となる先発登板を果たすと、5.2イニングを投げ、被安打わずかに1本、13奪三振を奪う快投を見せたのである。ここでは彼の選手としての特徴とメジャー昇格までについて書いていく。ペラルタはドミニカ共和国出身の21歳で、13年にマリナーズと契約を結びプロとしてのキャリアをスタートさせた。その後アダム・リンド(現ヤンキース)のトレードで現在所属するブルワーズに加入した。とはいえ期待が高かった訳ではなく、プロスペクトランキングではMLB公式でチーム内9位、Far East Divisionのランキングでもチーム内10位となっている。

そのような事情も今回の衝撃デビューのインパクトを強めている。ペラルタは5-11(約180cm)、175lb(約79kg)とメジャーリーガーとしては小柄な体格で、その小柄な体格をめいっぱいに使ったダイナミックな投球フォームが特徴。球種は90マイル台前半の速球を中心にスライダー、チェンジアップのコンビネーションで多くの三振を奪う。実際に14日の登板でも90マイル台前半の速球を中心に13個の三振の内、実に12個の三振の決め球に速球を使っている。小柄な体格もあり速球が通用するか心配されていたが、初登板で通用することを証明して見せた。一方でコマンドに大きな課題を抱えており、マイナーでは四球率4点台を記録するなど制球に苦しんだ。初登板では大きな制球の乱れはなかったが、3回にストレートの四球を2つ記録するなど兆候も見受けられる。今後メジャーに残るにはコマンドの改善は必要であり、今後の最優先課題となるだろう。

ブルワーズではペラルタの他にもブランドン・ウッドルフ、ジョシュ・ヘイダーといった若い選手が多く在籍している。彼らの活躍があればチームも勢いづき、混戦のナリーグ中部地区で抜け出せるのではないだろうか。

2018 Team Preview : ヒューストン・アストロズ

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*40人ロースターはリンクより参照
*SP横*マークはローテーション候補の意味を示す

  • 本拠地:ミニッツメイド・パーク

他の野球場と大きさを比較する→http://yakyujo.com/ml14/

 

 

 

広さ
レフト 96.0m
センター 132.6m
ライト 99.4m
フェンス高さ

2.1~7.6m

パークファクター *平均100
安打 92.6
ツーベース 88.6
スリーベース 115.2
HR 82.2
得点 80.8

 

・予想オーダー

1, ジョージ・スプリンガー:CF

強力アストロズ打線の核弾頭。昨シーズンは初めての30本塁打越えを達成、課題であった三振数も減らすなど年々進化を見せている。オールスターにも初選出、ワールドシリーズでも4試合連続を含む5本の本塁打を放つなどチームのワールドチャンピョンに大きく貢献し、MVPを獲得するなどキャリア最高のシーズンを送った。

2, アレックス・ブレグマン:3B

15年のドラフト全体2位指名選手は初のフルシーズンとなった2年目の昨季もその高い期待に答えている。前半戦こそ不調であったが、後半戦はOPS.903と盛り返し、20-20にも迫る活躍。トランプ大統領に対して自身のツイッターで「Delete your twitter.」と発言するなど野球以外でも話題を集めた。

3, ホセ・アルトゥーベ:2B

進化をし続ける小兵は昨シーズンも成績を伸ばし、自己最高の打率.346を記録し直近4年間で3度目の首位打者獲得。2年連続となる20本塁打もクリアし、キャリア初となるシーズンMVPを獲得した。ワールドシリーズでは打率.194と振るわなかったが、大事な場面で本塁打を放つなどチームの主軸たる活躍を見せた。昨シーズンまで4年連続で200安打、6年連続で30盗塁を記録している。

4, カルロス・コレア:SS

昨シーズンはキャリア最高のシーズンを送っていたが、故障での離脱もあり109試合の出場にとどまった。それでもポストシーズンには間に合い、5本塁打、チームメイトのアルトゥーベに並んで最多となる14打点を挙げるなど活躍を見せた。今シーズンは故障なくフルシーズン出場すればMVPなど個人タイトルの獲得にも期待が掛かる。

5, ユリ・グリエル:1B

かつて日本でもプレーしたキューバ野球界の至宝。自慢の長打力をメジャーでも発揮し、18本塁打、メジャー全体でも7位タイとなる43二塁打を記録した。ポストシーズンではダルビッシュ有(CHC)から本塁打を放った際にした「つり目」のジェスチャーが波紋を呼び、今シーズンは開幕から5試合の出場停止となる。 

6, ブライアン・マッキャン:C

移籍初年度となった昨シーズンは膝の故障で8月に離脱するなどで97試合の出場にとどまり、9年間続いていた20本塁打が途切れるなど悔しいシーズンとなった。守備でも相変わらず投手からの信頼こそ厚いが、肩などには衰えを隠せないでいる。今シーズンはキャリア通算1000打点にも期待が掛かる。

7, ジョシュ・レディック:RF

4年契約初年度の昨シーズンは打率、OPSなどでキャリア最高の成績。キャリアを通して左投手を苦手としてきたが、昨シーズンは左右両投手から高打率を残した。一方のポストシーズンではまったく振るわず、チーム成績とは反対に個人成績としては悔しい結果になった。シャンパンファイトではパンツ一丁で中心にいる姿が話題に。

8, マーウィン・ゴンザレス:LF

ユーティリティープレイヤーが強打者へ変貌し、昨シーズンは打率3割、20本塁打をクリアした。昨シーズンも内外野6ポジションを守るなど、ユーティリティープレイヤーとしての活躍も相変わらず。連覇を目指す今シーズンも打撃に守備と活躍に期待が掛かる。

9, エバン・ガティス:DH

一度野球から離れたこともある苦労人が遂にワールドチャンピョンに輝いた。一方で昨シーズンは出場機会の減少など苦しいシーズンとなったが、そのパンチ力は変わらず、今シーズンはDHとして下位打線を支える活躍が期待される。シーズンオフにはFAになるので活躍してアピールしたい。