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2019 NLDS Review : ATL vs STL

今年も遂にプレーオフのシーズンに突入した。今回はブレーブス対カージナルスが激突したナ・リーグの地区シリーズのレビューをお送りする。今回のコラムでは字数の関係等から敢えて各試合の詳細なレビューは省略する。その代わりに全体を通して、勝敗を分けたポイントに言及していきたい。最終的にカージナルスが第5戦で勝利を収め次のシリーズに進んだ。
まずは私がシリーズ開催前に考えていたこのシリーズの勝敗を分けそうなポイントを紹介したい。
初めはカージナルス側の視点で考えていきたい。カージナルスは混戦のナ・リーグ中地区を制した訳だが、その最大の立役者はジャック・フラハティだ。後半戦の防御率0.91はMLB全体で1位(70イニング以上投げた投手)で、一気にエースに成長した。シーズン最終戦でも7回無失点で見事にチームを地区優勝に導いている。
絶対的なエースがいる以上彼が投げる試合は、他の先発投手が投げる試合よりも勝てる確率が高い。さらに地区シリーズは最終第5戦までもつれた場合移動日が2日あるので、休養を取りやすい。そう考えれば、カージナルスとしてはフラハティの登板日である第2戦と第5戦は確実に取りたいところだ。裏を返せば、3勝のうち2勝をフラハティ登板日に確保できれば残り3試合のうち1試合で勝てば突破を決める事が出来る。
つまりフラハティ登板試合で確実に勝ち切る事と、その他の3試合では可能な限り勝利の確率を高める(そして最終的に勝つ)事がシリーズを突破する為に不可欠になるのではないかと見ていた。
一方のブレーブスとしても、フラハティ登板日が肝になる。現在絶好調のフラハティが登板する日で勝てなくても、それ以外の試合で勝てればシリーズ突破は可能。シリーズを突破する為に必要なものは先に3勝する事であり、必ずしもフラハティを攻略する必要はない。だから彼の登板日とそれ以外でメリハリをつけた選手(投手)起用が重要になると見ていた。
後半戦展望:セントルイス・カージナルス

現在、ナショナルリーグ中地区の首位はセントルイス・カーディナルスだ。この地区は、得失点差マイナスのミルウォーキー・ブリュワーズが勝ち越していたり、プラスのシンシナティ・レッズが負け越していたりする。また、2位のシカゴ・カブスとは得失点差だけならばそれほど差がないように見受けられるが、対左腕を取りこぼさないのがカーディナルスである。
今期、ナショナルリーグ中地区の中で最も対左腕のwRC+が優れているのは、ブリュワーズの98である。次に96のカーディナルスだ。実際、ブリュワーズは23勝24敗と負け越してはいるものの、それほど苦にしていない。カーディナルスは15勝14敗で同地区唯一の勝ち越しである。
それでは、カーディナルスの特徴的な野手をあげていこう。まず、コルテン・ウォン(2B)だ。今期、キャリアハイとなるOPS.799をマークしているが、打球速度はメジャー下位3%に入り、ハードヒットは下位6%だ。Barrel%はわずか2.6%だが、11本塁打をマークしている。同じく、打球速度やハードヒットの値が良くないが長打率のある選手として、ワシントン・ナショナルズのアダム・イートン(RF)がいる。
2019年の全打球結果 Baseball Savantより
次に、ハリソン・ベイダー(CF)。スプリントスピードや外野の守備範囲はメジャー上位3%に入る実力だが、デクスター・ファウラー(CF)と出場機会を分け合っている。メジャー通算K%=28.0%(平均は21.6%)、BB%=9.0%(平均は8.3%)のアプローチやバッティングがネックではあるものの、捕球確率の低い打球に勇猛果敢に飛び込んでアウトにするダイナミックなフィールディングは、見る者を魅了している。
そして、ヤディアー・モリーナ(C)の衰えは心配である。バッティングは当然のことながら、フィールディングにおいても衰えが見られる。Runs Extra Strikes(フレーミングによって防いだ、もしくは失ったであろう得失点)は昨年に続いてマイナスをマーク。但し、ポップタイムは依然としてメジャー平均を上回っている。いずれにせよ、キャリア最終盤にさしかかっている現実が浮かび上がってくる。
モリーナを支えるのはマット・ウィータース(C)。ドラフト全体5位で指名されたエリート中のエリートだが、ポップタイムとフレーミング(メジャーワーストクラス)は共にメジャー平均を下回り、控えとしては信頼性に欠けるか。
前年36本塁打のマット・カーペンター(3B)やポール・ゴールドシュミット(1B)等が好調な状態でPOに挑めば、強力な打線になるだろう。そうでないのであれば、POに進出するであろうナショナルリーグのチームの中では、打撃力が劣るといわざるを得ない。守備力は、DRS、UZR共にメジャー全体3位であり、堅実なフィールディングを誇っている。
2017 Top 100 Prospects

*レポートはチーム別リストを参照。
ランク | 選手名 | チーム名 | ポジション |
1 | ジェイソン・グルーム | BOS | LHP |
2 | アンドリュー・ベニンテンディ | BOS | OF |
3 | ブレンダン・ロジャース | COL | SS |
4 | ヨアン・モンカダ | CHW | 2B |
5 | ルーカス・ジオリト | CHW | RHP |
6 | ブレント・ハニーウェル | TB | RHP |
7 | イアン・ハップ | CHC | OF |
8 | コディ・ベリンジャー | LAD | 1B |
9 | ジョシュ・ヘイダー | MIL | LHP |
10 | エロイ・ヒメネス | CHC | OF |
11 | フランクリン・バレット | OAK | SS |
12 | ニック・センゼル | CIN | 3B |
13 | フランシス・マーテス | HOU | RHP |
14 | ラファエル・ディバース | BOS | 3B |
15 | アレックス・レイエス | STL | RHP |
16 |
ダンズビー・スワンソン | ATL | SS |
17 | ルイス・ブリンソン | MIL | OF |
18 | ホセ・デレオン | TB | RHP |
19 | クリント・フレイジャー | NYY | OF |
20 | エリック・フェッディ | WSH | RHP |
21 | コルビー・アラード | ATL | LHP |
22 | ビクター・ロブレス | WSH | OF |
23 | ウィリー・アダムス | TB | SS |
24 | ハンター・レンフロー | SD | OF |
25 | アレックス・バードューゴ | LAD | OF |
26 | オースティン・メドウズ | PIT | OF |
27 | タイラー・グラスノー | PIT | RHP |
28 | ハンター・ドージャー | KC | 3B |
29 | ジョシュ・ベル | PIT | 1B |
30 | レイナルド・ロペス | CHW | RHP |
31 | カイル・ルイス | SEA | OF |
32 | ジェフ・ホフマン | COL | RHP |
33 | マット・チャップマン | OAK | 3B |
34 | ドミニク・スミス | NYM | 1B |
35 | アーロン・ジャッジ | NYY | OF |
36 | ブラッドリー・ジマー | CLE | OF |
37 | ヤディアー・アルバレス | LAD | RHP |
38 | ショーン・リードフォーリー | TOR | RHP |
39 | フランシスコ・メヒア | CLE | C |
40 | デビッド・ポリーノ | HOU | RHP |
41 | タイラー・オニール | SEA | OF |
42 | A.J.パク | OAK | LHP |
43 | ブレイク・ラザフォード | NYY | OF |
44 | ウォーカー・ビューラー | LAD | RHP |
45 | ザック・コリンズ | CHW | C/1B |
46 | ヨハンダー・メンデス | TEX | LHP |
47 | スティーブン・ゴンザルベス | MIN | LHP |
48 | カイル・タッカー | HOU | OF |
49 | ホルヘ・アルファロ | PHI | C |
50 | ヘルマン・マーキス | COL | RHP |
51 | アンダーソン・エスピノーザ | SD | RHP |
52 | アミーア・ギャレット | CIN | LHP |
53 | アリスティーディス・アキーノ | CIN | OF |
54 | デズモンド・リンジー | NYM | OF |
55 | ショーン・ニューカム | ATL | LHP |
56 | オースティン・ライリー | ATL | 3B |
57 | カル・クオントリル | SD | RHP |
58 | ライリー・パイント | COL | RHP |
59 | アメド・ロサリオ | NYM | SS |
60 | グレイバー・トーレス | NYY | SS |
61 | シクスト・サンチェス | PHI | RHP |
62 | イーサン・ディアズ | MIL | SS |
63 | コリー・レイ | MIL | OF |
64 |
ロバート・スティーブンソン |
CIN | RHP |
65 | ウィリー・カルフーン | LAD | 2B |
66 | リース・ホスキンズ | PHI | 1B |
67 | ハリソン・ベイダー | STL | OF |
68 | オジー・アルビース | ATL | 2B |
69 | ラウディ・テレズ | TOR | 1B |
70 | トレバー・クリフトン | CHC | RHP |
71 | ルーク・ウィーバー | STL | RHP |
72 | ボビー・ブラッドリー | CLE | 1B |
73 | マイク・ソローカ | ATL | RHP |
74 | トリスタン・マッケンジー | CLE | RHP |
75 | レイメル・タピア | COL | OF |
76 | フランクリン・キロメ | PHI | RHP |
77 | カーソン・フルマー | CHW | RHP |
78 | アルバート・アルモラ | CHC | OF |
79 | ジャレル・コットン | OAK | RHP |
80 | マニュエル・マーゴット | SD | OF |
81 | ケビン・マイタン | ATL | SS |
82 | ブライアン・レイノルズ | SF | OF |
83 | フォレスト・ウィットリー | HOU | RHP |
84 | T.J.ゾイク | TOR | RHP |
85 | ディラン・カズンズ | PHI | OF |
86 | ジェシー・ウィンカー | CIN | OF |
87 | タイラー・ビーディ | SF | RHP |
88 | シェド・ロング | CIN | 2B |
89 | ドミンゴ・アセベド | NYY | RHP |
90 | トラビス・デメリ | ATL | 2B |
91 | ダニエル・ゴセット | OAK | RHP |
92 | ディラン・シーズ | CHC | RHP |
93 | ジョン・ハリス | TOR | RHP |
94 | クリスチャン・スチュワート | DET | OF |
95 | ブラディミール・ゲレーロJr | TOR | 3B |
96 | J.P.クロフォード | PHI | SS |
97 | コディ・セドロック | BAL | RHP |
98 | ジェイマー・キャンデラリオ | CHC | 3B |
99 | マイケル・コペック | CHW | RHP |
100 | フランクリン・ペレス | HOU | RHP |
Text by Ookaya Ryota
写真: https://flic.kr/p/N1CRAP
2017 Top 20 Prospects:セントルイス・カージナルス

本ランキングのベースは、現在の活躍と今後のアップサイドによる総合的な評価である。傘下トップ20の素材を簡易のレポートと共に示している。選手名のリンクで表示されるマイナーでのスタッツと併せて参考にして頂ければ幸いだ。
1. アレックス・レイエス:RHP
最速100マイルに達する球威抜群の速球が最大の武器。速球はツーシームとフォーシームの2種類があり、必要に応じて投げ分けることができる。縦に割れるキレのいいカーブ、緩いチェンジアップ共に素晴らしいボールで空振りを易々と奪うことが可能。問題はコントロールでマイナー通算のBB/9=4.6と低水準。また、長い回を投げきれるかという点においても疑問符がつく。もし、ブルペンに転向したとしてもセットアッパー/クローザー級の投手になれることは間違いない。
2. ハリソン・ベイダー:OF
体を目いっぱい使ったフルスイングが特徴的なタレント。スイングは大きいがコンタクトスキルは低くなく、ストライクゾーンの見極めもできている。パワーも平均以上でシーズン20HRをマークすることも不可能ではないだろう。大学時代はバディー・リード(SD)がいたためLFに回っていたがプロ入り後は主にCFを守っている。CF守備は優秀で長期間CFを守れるとの声も。スピードはあるが盗塁は上手くない。
3. ルーク・ウィーバー:RHP
コマンドとチェンジアップに高い評価を得るハイフロアーなタレント。速球は常時90マイル前半だが、最速で96マイルをマークすることもある。 カーブ、スライダーといったブレーキングボールも投げるが、チェンジアップほど評価は高くない。非常に細身で耐久性を問題視する声もあり、1シーズンを通して先発としてローテーションを守れるかは微妙なところ。自慢のチェンジアップがメジャーではHRにされることが多かった点も懸念材料。
4. サンディ・アルカンタラ:RHP
最速98マイルの速球を投げるハイシーリングなタレント。大柄な体格だが、まだ筋肉をつける余地はあり今後さらに球速が上がる可能性もある。アウトピッチはカーブでキレがよく、両サイドに投げ分けることができている。チェンジアップも投げるが、アームスピードが緩む点は改善の余地あり。スリークォーターのアングルから投げるデリバリーはランナーがいる方が力の抜け方がいい。
5. ジャック・フラハティ:RHP
90マイル前半の速球とスライダー、チェンジアップのコンビネーション。速球の球速は平凡だが、チェンジアップのクオリティは高く、緩急をつけて打者を翻弄することができる。デリバリーはデセプションに優れているが、力感が若干強い。体格は先発として投げるには十分で耐久性は高い。
6. オースティン・ガンバー:LHP
速球の球速は常時90マイル前半だが、どのコースにも投げ分けられるコマンドを有している。この速球にスピンの利いたカーブ、アウトピッチとして使うチェンジアップを交える。チェンジアップは速球同様にコマンドよく投げられるためどんなカウントからでも投げている。デリバリーは安定しているが、力感が強い。長い回を投げられるスタミナと耐久性の高さは先発向き。
7. デルビン・ペレス:SS
16年ドラフト全体23位指名。アンドレルトン・シモンズ(LAA)並といっても過言ではないほどの守備力を有している。レンジ、肩の強さ、フットワーク、打球反応どれをとっても一級品で将来のGG賞候補。打撃は粗削りなものの、SSとしては十分な打力の持ち主になるだろう。問題は素行の悪さで、ドラフト前には禁止薬物使用が発覚していた。
8. ダコタ・ハドソン:RHP
16年ドラフト全体34位指名。90マイル中盤の速球とスライダー、カーブ、チェンジアップのコンビネーション。アウトピッチはスライダー。キレがよく容易に空振りを奪うことができる。球種が豊富で体格も大きく先発向きだが、コントロールに不安を抱えている点と、先発として投げ始めたのが昨シーズンからという点が懸念材料。
9. カーソン・ケリー:C
プロ入り後にCに転向したにも関わらず既にマイナーではトップクラスの選手になりつつある。守備ではミスが少なく、ブロッキングにも優れ、フレーミングも上手い。肩が強いため盗塁阻止の面でも目立った成績を残せている。投手とのコミュニケーションの取り方にも高評価を得ている。昨シーズンは打率が上がったが、それ以外は特筆すべきところはなかった。体格は大きいためパワーポテンシャルはあるのではという声もある。
10. ポール・デヨング:3B
足を少し上げタイミングを取り、アッパースイングで長打を量産するスラッガー。本来、アプローチはいい方だが、昨シーズンはA+を飛ばしいきなりAAでプレーしたことが原因か四球の数が減り、三振数が多くなった。3B守備は現時点ではそれほど上手くないが、今後平均レベルには守れるようになるのではないかとの見方も。
11. ニック・プラマー:OF
昨シーズンは故障で全休となってしまった。小柄な体格だが筋肉は十分なほどについており、しっかりと振りぬくスイングも相まってパワーは平均かそれ以上。コンタクトスキルも悪くなく、打撃に関しては高いレベルにある。ボールの見極めにも優れており、高出塁率が期待できる。一昨年はCFを守っていたが、体格と肩の弱さを考えれば将来はLFに回ることになるだろう。
12. ライアン・ヘルスリー:RHP
球威のある90マイル中盤のフォーシームが武器。この速球をプレートの内外に投げ分けることができるコマンドを有している。フォーシームのムーブメントが少ないため、ツーシームやカッターといった球種の習得に励んでいる。カーブ、チェンジアップといったブレーキングボールは発展途上。腕を大きく引いてから投げるデリバリーは先発として投げるにはモーションが大きすぎるか。
13. ジュニアー・フェルナンデス:RHP
90マイル後半の速球とチェンジアップのコンビネーション。速球には威力があり、チェンジアップはよく沈むクオリティの高いボールだが、投球術の理解が浅いことが原因となって昨シーズンは奪三振数が少なかった。力感の強いデリバリーは不安定でコントロールを乱す原因となっている。まだ19歳と若くアップサイドは非常に大きい。
14. ザック・ガレン:RHP
16年ドラフト3巡目指名。速球の球速は90マイル程度だが、速球と同じスピードのカッターで大量に三振を奪うことができる。チェンジアップの評価も悪くなく、緩急をつけることもできる。コントロールもよく、昨シーズンは6試合のみの登板ながら無四球だった。メークアップにも優れており先発として必要なものを多く兼ね備えている。
15. マグニュリス・シエラ:OF
平均を大きく上回るスピードが武器の小兵。コンタクトスキルが高く、バットに当てて出塁を試みようとするバッティングスタイル。しかし、早打ちのため四球が少なく出塁率は低い。昨シーズンは31盗塁をマークするも成功率は64%とイマイチ。CF守備では度々好プレーを見せ、肩も強くアシストも多いので今後もCFに残ることができるだろう。
16. ジェイク・ウッドフォード:RHP
90マイル前半の速球とスライダー、カーブ、チェンジアップのコンビネーション。体格は非常に大きく、まだ20歳と若いため今後さらに球速が上昇する可能性はある。昨シーズン少なかった奪三振数も球速上昇とともに増えるかもしれない。デリバリーはまとまっており、力感も少ない。
17. ダニエル・ポンセデレオン:RHP
90マイル前半の速球とカーブ、チェンジアップ、カッターのコンビネーション。投げ下ろすようなデリバリーのため速球には角度がついており、球速以上に威力のあるボール。昨シーズンは開幕前に奪三振数を増やすことを目標にしており、見事成功している。コントロールは平均レベル。今シーズン中のメジャー昇格もありうる。
18. ロニー・ウィリアムズ:RHP
90マイルの動く速球とカーブ、チェンジアップのコンビネーション。小柄だが身体能力が高く、アームスピードは非常に速い。ブレーキングボールとコマンドに改善の余地がある。コマンドがいい日は手が付けられなくなるので、安定させることが最優先事項。
19. コナー・ジョーンズ:RHP
16年ドラフト2巡目指名。昨シーズン大学で三振が奪えなくなり評価が落ちた。速球は90マイル前半だがよく沈み、ゴロを打たせるには最適なボール。アウトピッチはスライダーだが、改善の余地あり。デリバリーは腕の動きがぎこちなく故障の心配がある。コントロールは悪くない。
20. ビクター・ガルシア:OF
大きな体格から生み出されるパワーが魅力のハイシーリングなタレント。パワーポテンシャルだけならSTLのマイナー1だろう。スイングは大きいが軽々とボールをスタンドまで運ぶことができる。守備は全く期待できず、スピードも皆無なため打つことで自身の価値を示すしかない。
Text By Ookaya Ryota
写真: https://flic.kr/p/wPCvbV
2016 Top 20 Prospects:セントルイス・カージナルス

本ランキングのベースは、現在の活躍と今後のアップサイドによる総合的な評価である。傘下トップ20の素材を簡易のレポートと共に示している。選手名のリンクで表示されるマイナーでのスタッツと併せて参考にして頂ければ幸いだ。
1. アレックス・レイエス:RHP
エースポテンシャル。最速101マイルのストレート&カーブ主体のパワーピッチングで捻じ伏せる。マイナーでは22先発して防御率2.49、K/9=13.5、被打率.197と傑出した支配力を示しており、フューチャーズゲームにも選出された。マリファナの使用が発覚し来季は開幕から50試合出場停止。
2. ジャック・フラハティ:RHP
高校では2刀流プレーヤーとして活躍したアスリート。滑らかなフォームからコマンドよく93マイルのストレート&スライダー&チェンジアップ&カーブを効果的に織り交ぜる。6-4/205たる体格からアップサイド評も高い。今季は1Aで95回/97K/31BB/防御率2.84。
3. ティム・クーニー:LHP
コントロールアーティスト。メジャーでは6先発し防御率3.17と好投を見せた。速球は90マイル前後も、針の穴を通すコマンドで両コーナーを際どく攻める。カーブ&チェンジアップも有効に扱うことができ、特に評価の高いチェンジアップは被打率.115&空振り率19.3%。
4. チャーリー・ティルソン:OF
傑出したスピードツールに支えられた攻守は、ジャコビー・エルズベリー(NYY)と比較される。ギャップを抜くバッティングが持ち味で、2Aでは打率.295&OPS.739。 三振率は19%→12%、四球率は5.4%→7.7%とアプローチ面で大きく向上を辿った。46盗塁はリーグトップだった。
5. ルーク・ウィーバー:RHP
大学ではUSA代表としてもプレーした完成度の高い投手。抜群のコマンドに支えられた投球が光り、ストレートも最速で97マイル。ベストピッチのチェンジアップは打者から消えるように落ちる。スライダーが磨かれればローテーション3番手級。A+では19先発して防御率1.62&K/BB=4.63。
6. マルコ・ゴンザレス:LHP
大学では投打でポテンシャルを示したアスリート。パワーには乏しいも、コマンド良くチェンジアップを織り交ぜるクレバーなピッチングで打者のバランスを崩す。今季は故障の影響などもあり、3Aで18先発して防御率4.69、K/BB=2.54と振るわなかった。
7. サム・トゥイバイララ:RHP
11年まではSS/3Bとしてプレーも12年から投手コンバート。 傘下随一のパワーアームで平凡なコマンドに苦しむシーンも多いが、100マイルのストレート主体のピッチングで打者を捻じ伏せる。3Aでは43試合リリーフして防御率1.60。メジャーでも14.2回/20K/8BB/防御率3.07。通算BB/9=5.7。
8. マグニュリス・シエラ:OF
リードオフポテンシャル。スピード&ヒットツールに優れ、14年には傘下の最優秀選手に選ばれた。今季は1Aで51試合/打率.191と全く打てなかったが、R降格後は53試合/打率.315。守備でもCFを守る資質を示している将来の1番センター候補だ。
9. エドムンド・ソーサ:SS
バットコントロールに秀でており、Rでは49試合で打率.300、本塁打7、OPS.854。パワーがついてくれば、プラス評価のスピードと併せてリードオフポテンシャルだ。アスリート性に支えられたSSディフェンスは守備範囲と俊敏さに優れており、肩は平均的も素早いリリースでカバーしている。
10. ニック・プラマー:OF
15年ドラフト全体23位。高卒選手ながら高いヒッティングツールを示しており、パワーポテンシャルも秘めている。Rでは出塁率.379&四球率17.1%と成熟したアプローチを披露。平均以上のスピード&優れた打球反応に支えられた外野守備ではCFに残れるレベル。
11. ジュニアー・フェルナンデス:RHP
14年7月に$0.4Mで契約。6-1/180と投手としては小柄な体格だが、90マイル後半の強烈なストレートを投げ込み、R&A+で57.2回/63K/17BB/防御率3.59。カーブ&チェンジアップも有効に織り交ぜることができ、制球も安定。カルロス・マルティネス(STL) と比較されている。
12. アンソニー・ガルシア:OF
プロ入り時はCもその後OFコンバート。2A&3Aで13ホーマー&OPS.868をマークした右のパワーポテンシャル。105試合/65K/51BBとアプローチ面で成熟を見せ始めており、オフには40人枠にも追加された。守備ではルート取りに不安を抱えるが、10補殺を記録した強肩が武器。
13. ハリソン・ベイダー:OF
15年ドラフト全体100位指名のカレッジ野手。大学3年時にパワーが覚醒。勢いそのままにA-&1Aでも61試合でOPS.892&11ホーマーと打ちまくった。打席でのアプローチも落ち着いており、アベレージも残せるタイプ。守備ではCFをメインに外野3ポジションをこなすことができる。
14. サンディ・アルカンタラ:RHP
すでに90マイル中盤をコンスタントに叩き出すストレートは、6-4/170たる細身の体格から将来的にはよりパワフルさを増すと目されている。カーブ&チェンジアップもアウトピッチになり得るボールで、Rでは12先発して防御率3.22、K/9=7.1、BB/9=2.8。細かいコマンドを磨きたい。
15. ジェイク・ウッドフォード:RHP
15年ドラフト全体39位。最速95マイルのシンカー&発展途上のスライダーでゾーンを攻める投球スタイルはリック・ポーセロ(BOS)と比較される。Rでは26.1回/21K/7BB/防御率2.39。GO/AO=4.60とゴロの山を築いた。6-4/210と恵まれた体格からよりパワフルさが増す可能性を秘める。
16. アルデミス・ガルシア:SS
キューバを亡命し14年に4年$8Mでカージナルス入り。ヤンキースの大ファンということもあり、フィールド上での振る舞いや打撃フォームなど一挙手一投足がデレク・ジーター(元NYY)と比較される。打撃面での評価が高く、AFLでは20試合でOPS.987&4ホーマーと存在感を示した。
17. オースティン・ガンバー:LHP
球速は90マイル前後とパワーに欠けるが、チェンジアップを有効に織り交ぜて打者のタイミングを崩す技巧派。1Aでは22先発して15勝3敗、防御率2.67、K/9=9.3、BB/9=2.3。6-5/205と体格にも恵まれており、アップサイドはローテーション4番手級と目される。
18. オ・スンファン:RHP
2年最大$11MでSTL入り。 日韓通算357セーブのクローザーも、カージナルスではトレバー・ローゼンタールに繋ぐセットアップとしての活躍が期待される。92-94マイルの空振りが奪えるストレート&90マイル近いカッター主体のパワーピッチ。
19. ロニー・ウィリアムズ:RHP
最速97マイルを計時するストレート&ランナーとしてプラス評価を得るほどのアスリート性を買われ2巡名指名でSTL入り。カーブ&チェンジアップはまだ発達段階の域で、これから磨いていく必要がある。Rでは12先発して防御率3.70、K/9=6.9、BB/9=4.0。
20. トレイ・ニールセン:RHP
13年ドラフト30巡目右腕がA+で25登板(18先発)して9勝&防御率2.59とブレーク。90マイル前半のシンカーでゴロの山を築くグランドボーラー。BB/9=2.8と制球面も安定しているが、変化球を磨いていきたい。ちなみに父スコットは元メジャーリーガー。
Plus One Prospect
マイク・オールマン:C
13年にはA+で打率.317&OPS.934をマークし、リーグの首位打者にも輝いたヒッティングプロスペクト。14年のスランプを経て、15年には金銭トレードでSTL入り。今季は2Aで12ホーマー&OPS.774&四球率11%と自慢の打力をアピール。守備は平均的だが、6-5/215と大きすぎる体格が懸念材料。
Text by Haruki SAKURAI
写真:https://flic.kr/p/rYExth