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好調メッツを変えた守備の強化とブルペンの強化

今季のMLBは例年に比べて、春の珍事と呼ばれる開幕直後だけ好調な選手は少ない印象を持ちます。しかしチーム単位で見ると全く異なる景色が見えてきます。アメリカンリーグではレッドソックスが、そしてナショナルリーグではメッツが特に抜きん出た成績を記録しています。
さらにメッツ以外にもナ・リーグからはダイヤモンドバックスなどの名前も挙げるべきでしょう。ただしレッドソックスとダイヤモンドバックスは昨年もPOに進出していて、今季もある程度期待値が高い状態でシーズンに突入しています。その一方でメッツの下馬評は非常に低く、ナ・リーグ東地区はナショナルズの地区優勝で決まりという風潮が開幕前はありました。実際にESPNの識者29人のナ・リーグ東地区の優勝予想は満場一致でナショナルズでした(http://www.espn.com/mlb/story/_/id/22919123/2018-espn-expert-predictions-which-superteam-rule-baseball)。
しかしいざ開幕を迎えると、メッツが予想外に好成績を残しています。今回のコラムでは、そのメッツにフォーカスして彼らが好調なスタートを切った背景を見ていきます。
メッツには昨年のシーズン開幕前に大きな期待が寄せられていました。それもそのはずで、ノア・シンダーガードやジェイコブ・デグロームらで構成する若手主体の夢のローテーションがフル稼働すると見られていたからです。しかし現実はそう甘くありませんでした。シンダーガードは僅か7試合投げただけでシーズンを終えて、マット・ハービーも防御率6.70と目を覆いたくなるような不振に陥りました。打線の核であるヨエニス・セスペデスも故障して、ナショナルズのライバルになるどころか勝率5割にすら届きませんでした。そしてシーズン終了後には長期政権となったテリー・コリンズ監督が退任しました。
そのコリンズの後にミッキー・キャラウェイが新監督として就任しました。キャラウェイはインディアンスの投手コーチをしていた人物で、その手腕は確かなものがあります。しかしメッツが昨年の不振からV字回復を遂げたのはキャラウェイ就任以上に大きな要因があります。
2017 Team Preview:ニューヨーク・メッツ

*40人ロースターはリンクより参照
*SP横*マークはローテーション候補の意を示す
本拠地:シティー・フィールド
レフト | 102.1m |
センター | 124.4m |
ライト | 100.6m |
フェンス高さ | 2.4m |
安打 | 88.7 |
ツーベース | 83.8 |
スリーベース | 45.5 |
HR | 109.0 |
得点 | 98.8 |
・予想オーダー
1. ホセ・レイエス:3B
オールスタ−4度、通算488盗塁の俊足スイッチヒッターも、33歳になり全盛期のスピードやパワーはなくなった。それでも昨季は慣れ親しんだ古巣NYMに復帰するとまだまだ戦力になれることを示した。開幕はデビット・ライトの故障で空いた3Bのポジションで。
2. カーティス・グランダーソン:CF
昨季は30HRを記録したものの、打点が59止まり。30HRを放った選手の中でMLB史上最も少ない打点という不名誉な記録を、ジェド・ジョーコ(STL)とともに達成した。昨季.152だった得点圏での打率の向上に期待。
3. ヨエニス・セスペデス:LF
オフにFAとなるも4年1億1000万ドルの大型契約で再契約したキューバ出身の主砲。MLBデビューから5年連続20HR以上、特にここ2年はOPS.870&31HR以上と安定した活躍が期待できる点も魅力。球界屈指の強肩で守備でも魅せる。WBC終了後には元同僚イアン・キンズラー(DET)のアメリカとラテンの試合中の感情表現についての意見に反論し話題になった。
4. ジェイ・ブルース:RF
昨季途中にCINから移籍。移籍前は97試合でOPS.875&25HR&80打点で打点王と、自己最高ペースの好成績を残していたものの、移籍後は嘘のように不振に。50試合でOPS.685&8HR&19打点とチームに勢いをつける補強のはずが逆に足を引っ張ってしまった。打撃では左投手が苦手で、守備でもあまり貢献できないが、4番の働きができるか。
5. ニール・ウォーカー:2B
FAとなるもクオリファイング・オファーを受け入れ1年1720万ドルで残留。OPS.823&23HRと好成績。スイッチヒッターで右打席の方が好成績だが左打席でも十分な成績を残す。怪我さえなければ安定した成績を残せる好選手。
6. アズドルバル・カブレラ:SS
二遊間を組む5番のウォーカーと同じくスイッチヒッターのベネズエラ出身SS。昨季はNYM1年目だったが自己最高クラスの打撃成績を残した。左右どちらも苦にはしないが、左打席はパワー、右打席は確実性を重視したスタイル。
7. ルーカス・デューダ:1B
パワーと、打率より1割ほど高い数値を記録する出塁率が売りの長距離砲。昨季は怪我に苦しみ満足にプレーできなかった。ドラフト時からNYM一筋。怪我に気をつけ、ホームランの量産を求められる。
8. トラビス・ダーノー:C
正捕手の素質は十分ながら、正捕手の座を掴みかけるたびに故障に邪魔される。MLBで4年を過ごすがフルシーズンで出場したことはない。もう28歳と若くはなく、そろそろ1年健康に出場して実力があることを示したい。ルックスも性格も良く、信頼される選手であるという点では、同じく常に故障に悩むNYMの顔デビット・ライトと被る。
9. 投手
2016 Team preview:ロサンゼルス・エンゼルス

*40人ロースターはリンクより参照
*SP横*マークはローテーション候補の意味を示す
- 本拠地:エンゼル・スタジアム・オブ・アナハイム
レフト | 100.6m |
センター | 121.9m |
ライト | 100.6m |
フェンス高さ | 2.4 m~5.5 m |
安打 | 98.2 |
ツーベース | 99.3 |
スリーベース | 55.2 |
HR | 83.7 |
得点 | 91.9 |
- 予想オーダー
1 ユネル・エスコバー:3B
若手リリーフのトレバー・ゴットとマイナーリーガーのマイケル・ブレディ、金銭とのトレードでWSHから獲得。5年振りにナショナル・リーグに復帰した昨シーズンは、139試合でAVG.314&OPS.790と100試合以上に出場した年では自己ベストをマークした。ゾーン内の球には積極的に手を出していくバッティングスタイル。以前はSSとして優れた守備数値を記録していたが、近年は衰えが激しく、3BへとコンバートされてもDRS-11、UZR-7.7と大きなマイナスを叩いた。
2 コール・カルフーン:RF
主に上位打線を任された昨シーズンは159試合に出場して26HR&83RBI&OPS.731をマーク。 大きな飛躍を見せたのは守備面で、DRS+6&UZR+13.8と優秀な成績を残してゴールドグラブを受賞した。5フィート10(約177センチ)、205ポンド(約93キロ)の低身長ながらずっしりとした体形からパワフルなバッティングを披露する。ボール球のコンタクト率が48.6%とメジャー平均を大きく下回り、K%=23.9%と多くの三振を喫した。セレクティブな打者ではなく、OBPは上位を任せるには物足りない。
3 マイク・トラウト:CF
メジャーを代表する選手の1人。2年連続でのMVP獲得とはいかなかったが、AVG.299&OPS.991&41HRと打席では14年を超える成績を残した。14年に大きく悪化したアプローチ面は、三振が若干減り、四球が増えるなど改善された。4年連続でオールスター選出、シルバースラッガー賞受賞は果たした。12年には49SBを記録するなど抜群のスピードを見せていたが、33→16→11と減少し続けている。一方の守備は3年振りにDRSでプラスを記録。
4 アルバート・プホルス:1B
35歳で迎えた昨シーズンは157試合に出場して、5年振りに40HRをクリア。同じく5年振りにオールスターにも選出された。AVG.244はキャリアワーストだったが、メジャーワーストだったBABIP.217が揺り戻せば、かつてのような3割には届かないにしても改善が見られるだろう。守備数値にはまだ衰えは見られず、毎年平均以上の数字を残している。41歳で迎える21年まで6年$165Mの契約が残る。
5 C.J. クロン:DH
パワフルな打撃が売りの26歳。113試合の出場で16HRを放つなどパワーは優れたものを持っているが、BB%=4.2%とほとんど四球を選ばず、確実性にも欠ける。1B以外のポジションを守ることはできず、またその1B守備も平均を大きく下回るため、メジャーの舞台に残り続けていくためにはより一層バッティングを磨いていく必要がある。
6 ダニエル・ナバ:LF
1年$1.4Mで加入。13年には規定打席に到達してAVG.303&OPS.831&12HRと抜群の活躍を見せたが、この年以外で目立った成績は残せていない。両打ちだが右打席でのOPS.589に対して左打席では.787と、両打席で大きな開きがある。14年に744.2InnでDRS+17、UZR+11.9を記録したが、他の年の数値は平均程度。独立リーグでのプレーを経てからプロ入りを果たした33歳。
7 アンドレルトン・シモンズ:SS
メジャーNo.1のSSディフェンス。今オフにホセ・ブリセノと共に、エリック・アイバー、ショーン・ニューカム、クリス・エリスとのトレードでATLから移籍した。昨シーズンはゴールドグラブ賞をブランドン・クロフォードに譲ったが、守備数値はDRS+25&UZR+17.3と例年通りの水準だった。 打撃はそれほど期待できないが、守備だけでチームに多大な貢献をすることができる選手。
8 カルロス・ペレス:C
メジャー1年目の昨シーズンは86試合の出場ながら、WAR+1.1を記録。昨季のAVG.250&OPS.645はマイナー成績から見てペレスの実力通りの数字。DRS+1に加え、CS%=37.9%と優れた盗塁阻止率を残し、守備では貢献した。前正捕手のクリス・アイアネッタ(SEA)がFAで退団したため、今シーズンはペレスが多くの出場機会を得ると見られている。
9 ジョニー・ジャボテーラ:2B
3Aでは好成績を残しながらメジャーの壁に跳ね返されるシーズンが続いていたが、昨シーズンはメジャー5年目にしてようやくレギュラーの座を掴んだ。パワーレスでアプローチやスピードも平凡なため、AVG.272をマークしたコンタクトが生命線。守備もDRS-18、UZR-7.2と非常に苦しい数字を残した。ケイレブ・カワートやカイル・クビッツァらの3Bプロスペクトも控えており、3Bのレギュラーであるエスコバーは2Bも守れるため、生き残るには今シーズンも結果を出し続けていく必要がある。