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後半戦展望:ワシントン・ナショナルズ

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 ブライス・ハーパー(RF)の流出から開幕したナショナルズ の2019年シーズン。序盤戦は低空飛行で一時期借金は二桁まで膨らんだ。しかしオールスター前後での大型連勝などもあり何とか優勝争い、ワイルドカード争いに踏みとどまっている。

 個々人ではFAで加入のブライアン・ドージャー(2B)の不振は痛いが、アンソニー・レンドン(3B)や2年目のホアン・ソト(LF)の活躍は光る。また怪我に見舞われたトレイ・ターナ(SS)も復帰後はまずまずの活躍を見せ、期待のビクター・ロブレス(CF)も出塁率の低さなど課題もあるがフルシーズン1年目としては及第点レベルであろう。

 問題は投手陣でここ数年来の悩みとしてブルペン整備が挙げられる。クローザーのショーン・ドゥーリトル(LHP)まで繋ぐ投手に不安が募る。もちろんフロントも分かっていてシーズン前に手術明けのトレバー・ローゼンタル(RHP)やトニー・シップ(LHP)などの経験豊富なリリーフ投手を獲得し、手は打った。しかし両投手とも本来の姿からは程遠いピッチング内容でシーズン途中でリリースとなった。

 そこでトレードでマリナーズからロエニス・ウリアス(LHP)、同じくマリナーズからハンター・ストリックランド(RHP)、ブルージェイズからダニエル・ハドソン(RHP)、またアスレティクスをリリースされていたベテランのフェルナンド・ロドニー(RHP)も獲得した。シェーン・グリーン(RHP)やケン・ジャイルズ(RHP)といった今回のトレード期間中の目玉選手は獲得できなかったが、マイナーの充実度を考慮すればそれなりに評価できるトレード戦術ではなかろうか。

 だがこれ以外にもナショナルズ には不安が付きまとう。先発投手陣だ。なかでも球界のエースと呼び声が高いマックス・シャーザー(RHP)が背中の張りで今季既にIL入り2度を数える。支配的な投球を長く続けてきた皺寄せかもしれない。幸いにもシャーザーの怪我は長期離脱をしなければならないレベルでは無いこと。もとより先発投手陣は質と量どちらもレベルは高いので怪我以外はそこまで心配はいらないと思う。

 優勝争いやワイルドーカード争いが激化する8月にきてナショナルズ の打線が火を噴き始めた。現地12日のレッズ戦からの13試合の内7点以上あげた試合は10試合に及ぶ。地区優勝はギリギリであるがまだ望みはあり、ワイルドーカード争いでもトップである。

 9月はマーリンズとの3連戦があるが、それ以外の対戦は全て勝率5割以上のチームが相手である。厳しい戦いではあるが首位ブレーブスとは7試合を残しており、逆転のチャンスは十分にある。8月中のブルワーズやカブスとのカードで勝ち越しており、その勢いで9月の試合に望みたい。

 ハーパーが在籍中は球団もファンもハーパーがいる間にワールドチャンピオンとの思いは強かった。だがその夢を実現する前にハーパーが抜け今年のオフにはレンドンがFAとなる。もし彼がチームを去ることになるとナショナルズ は向こう数年はしばらくポストシーズン進出が遠のく可能性がある。そのようなことを考えると悪くともリーグ優勝決定シリーズまでは進出したいところだ。

 

※9月3日に執筆された記事です。

 

Text by Eiji Kato

Photo link https://flic.kr/p/24PWFrH

8月のトレード補強を振り返る

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 7月31日は、「トレードデッドライン」である。だが、MLBではウェイバーを通過する、もしくはクレームされることで8月31日までトレードを行うことが出来る。基本的に強豪チームが目当ての選手を獲得することは難しいが、シカゴ・カブスがダニエル・マーフィー(2B)を獲得したように、タイミングさえ良ければPO直前に大きな補強を行うことが出来る。さて、8月はメジャー全体で39件のトレードが行われた。そこでカブスのように、PO直前に補強に成功したチームを振り返りたい。

 

 ニューヨーク・ヤンキース
 7月、投手を重点的に補強していたヤンキースは、アデイニー・エチャバリア(SS)とアンドリュー・マッカッチェン(RF)を獲得。ディディ・グレゴリウス(SS)が復帰間近とは言えDL入りしており、SSの強化に成功した。また、エチャバリアは守備に定評があるため、グレゴリウス復帰後は控えとしてチームに貢献することが出来るだろう。外野手はアーロン・ジャッジ(RF)がDL入りしており、手薄となっていた。ジャッジ復帰後はアーロン・ヒックス(CF)やブレット・ガードナー(LF)と併用すると見られている。クリント・フレイジャー(LF)もリハビリ中であるため、第四の外野手をアップグレードすることが出来たのはPOでは大きな強みである。尚、マッカッチェンは2012年から始まった長期契約の最終年でありオフにFAとなる。おそらく来季はピンストライプではないユニフォームに袖を通していると思われるが、ヤンキースでの活躍に期待したい。

 

 クリーブランド・インディアンス
 ジョシュ・ドナルドソン(3B)を獲得。今季は故障によりシーズンの大半をDLで過ごしているものの、インディアンスの地区優勝は安泰であるため、急いで復帰する必要はなさそうだ。エースのトレバー・バウアー(RHP)等がDL入りしているものの、投手陣には手を付けなかった。7月はブラッド・ハンド(LHP)とアダム・シンバー(RHP)を獲得している。

 

 オークランド・アスレチックス
 ショーン・ケリー(RHP)やフェルナンド・ロドニー(RHP)、コーリー・ギアリン(RHP)、そしてマイク・ファイヤーズ(RHP)を獲得。1人1人はスター級ではないものの、確実にブルペンをアップグレードし、PO進出有力候補になることが出来た。
※アスレチックスのリリーバーの成績()内はAL内の順位
防御率3.29(3位)
勝利数35(2位)
投球回506.1(3位)
(9/2時点)
 ブルペンはALトップクラスであり、今季のアスレチックスの好調を支える鍵と言えるだろう。ファイヤーズは移籍後もスターターとして起用されている。5先発し、27.2回3与四球30奪三振で3勝をマーク。ヒューストン・アストロズと地区優勝争いをしているチームに大きな貢献をしており、トレードは大成功と言えるだろう。尚、ファイヤーズは来季以降も保有することが出来る。地味な補強ながら後半戦も好調をキープしているアスレチックスから目が離せない。尚、、7月は僅か1度しかトレードを行なっておらず、そのトレードではジュウリス・ファミリア(RHP)を獲得している。

Weekly Report:Week-7

Baltimore Orioles v/s Texas Rangers April 9,  2011

 

 

 

 

 

 

 

つのハイライトで1週間のメジャーリーグを辿る。Week-7のキーワードは「アダム・ジョーンズ」「マイルストーン」「ナ・リーグ西地区」だ。

 

・アダム・ジョーンズ

月の初めに人種差別騒動で話題をもたらしたアダム・ジョーンズが、今週は明るい話題を提供してくれた。

 522日、ツインズをホームに迎えて行われた一戦。ジョーンズは2回にカイル・ギブソンのスライダーをとらえ、3ランホームランを放った。この一発は、通算569HRを誇るチームOBのラファエル・パルメイロの持つオリオールパークアットカムデンヤーズでの通算HR記録を塗り替える本拠地通算125本目のホームランとなった。

 

アダム・ジョーンズは2003年ドラフトの1巡目でマリナーズに指名され、遊撃手としてプロ入り。外野手転向を経て2006年にメジャーデビューを果たすと、2008年のシーズン前に現在もオリオールズのローテーション投手として活躍するクリス・ティルマン、NPBでも活躍したキャム・ミコライオらとともにオリオールズにトレード移籍した。
オリオールズ移籍後は、メジャーに定着。昨年までの在籍9年間で6149試合以上に出場するタフネスさと通算233(オリオールズ在籍時に限ると230)のホームランを放つパワー、ゴールドグラブ賞4回の守備力を武器としたリーグを代表する外野手へと成長した。また、2013年と2017年のWBCにアメリカ代表として出場。2017年はデビッド・ライト(NYM)の跡を継ぎ、新・キャプテンアメリカとしてアメリカ悲願の初優勝に貢献した。

 今後もオリオールズの中心選手としての彼の活躍に期待したい。

2016 Trade Deadline ~ナリーグ東地区 三つ巴の争い~

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WAS、MIA、NYMが激しい争いを繰り広げるナリーグ東地区。現状WASが頭一つ抜けてはいるものの、MIA、NYMはワイルドカードからのプレーオフ進出も射程圏内ということもあり、3チームとも動きを見せた。それではWASから今トレードデッドラインの動きを振り返ってみよう。

7/30 PIT⇔WAS
PIT→WAS マーク・メランソン
WAS→PIT フェリペ・リベロ+テイラー・ハーン

 メランソンは今オフFA。移籍時点では、PITのクローザーとして30セーブ、防御率1.51をマークしていた。ナショナルズは開幕からジョナサン・パペルボンがクローザーを務めていたが、19セーブを挙げながら防御率は4.41と不安定。特に7月は防御率7.88で、後半にはショーン・ケリーにクローザーの座を明け渡していた。このようなブルペン事情から、クローザーとして安定した成績を残していたメランソンの獲得に至った。また、いわゆるレンタル移籍のためそれほど大きな損失を負わずに済んだことも理由だろう。

次に、PITが獲得した2選手について見ていこう。

まず1人目はフェリペ・リベロ。 25歳のLHPで、2015年にメジャーデビュー。49試合に登板し、防御率2.79の好成績を残した。今シーズンはリリーバーとして47試合に登板し、防御率4.53をマークしていた。ただK/9=9.6、BB/9=2.7、FIP=3.26と投球内容は悪くなかった。投球スタイルは最速99マイルに達するストレートにスライダー、チェンジアップを織り交ぜる。マイナー時代にはほとんど先発として登板しており、PITの起用法次第では先発として起用されることもあるかもしれない。

2人目のテイラー・ハーンは21歳のLHP。WASでは公式プロスペクトランキングで球団25位にランクインしており、移籍後も球団25位にランクインしている。2015年ドラフトでWASから5巡目で指名された。WASではR-Aで10試合に登板し、防御率2.79をマークしていた。20-80スケールで65の評価を受けるストレートが武器で、平均は90マイル中盤、最速は99マイルにも達する。セカンドピッチのスライダーも平均以上の評価を受けるが、チェンジアップは平均以下。制球面も不安を抱えるため、ブルペンとして育成されていくだろう。非常に奪三振能力の高い選手であり、これからが楽しみである。

トレード時点ではPITは52勝50敗。ナリーグ中地区では3位だったもののワイルドカード獲得は射程圏内であった。そんな中でメランソンという絶対的なクローザーを失うことは今シーズンを戦う上で大きな痛手だったように思われる。それでもメランソンを放出したのはブルペンにトニー・ワトソンやネフタリ・フェリースなど好成績を残していたリリーバーがいたことが理由であろう。

誰か一人をクローザーに転向させ、その空いた穴をリベロで埋めさせる狙いだったと思われる。リベロは2021年まで保有できるという点も大きかった。それに加え、プロスペクトを一人獲得し、マイナーの層も厚くできた。絶対的なクローザーを獲得したかったWASと今シーズンまだ勝負しつつ、マイナーの層も厚くさせたかったPIT。両チームの利害が一致したトレードだった。

WASが成立させたトレードはこの一つのみ。2位MIAに5ゲーム差をつけて首位を走っていた状況から、プレーオフも見据えて最大の不安材料だった点のみ補強した最低限の動きだったといえるだろう。

 

Weekly Report: Week-16

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3つのハイライトで1週間のメジャーリーグを辿る。Week-16のキーワードは「サンディエゴ・パドレス」「ジョン・グレイ」「ティム・ベッカム」だ。

 

  • パドレス

在ナショナル・リーグ西地区で最下位争いをくりひろげるサンディエゴ・パドレス。今シーズンよかったことと言えば本拠地のペトコ・パークでオールスターが開催されたことだけだろうか。いや、そうではない。今シーズンは2010年を最後に勝率は5割を上回ったことがなく、2006年を最後にポストシーズンに進出できていないチームを変えるシーズンになるかもしれないのだ。

なぜ、そう言えるのか。それはインターナショナルFAやドラフトでの積極的姿勢、シーズンの早い段階からのトレード攻勢から見てとることができる。6月4日に行ったジェームズ・シールズのトレードはどのチームよりも早く選手を売りに払ったトレードと言える。見返りの選手の物足りなさは否めないが売り時だった時に売らなかった昨シーズンに比べればはるかにいいだろう。

現地時間9日に行われたドラフトでも3巡目までで5つの指名権を駆使し将来有望な選手を多数獲得することに成功した。このドラフトは若干契約金が抑え目であったがこれには裏があった。実は今年のドラフト最大の目玉であったジェイソン・グルームとドラフト前にある密約を交わしていたのだ。その密約の内容とはパドレスが持つ全体24位までグルームがスリップしたらパドレスがグルームを指名し$5Mで契約するというものであった。結果としてグルームは全体12位でボストン・レッドソックスにさらわれたが、もしパドレスが獲得していたら空前絶後の番狂わせとなっていただろう。グルームは獲得できなかったが、少しでもいい選手を獲得しようとしうる姿勢は賞賛に値する。

同月30日にはまたもや主力のフェルナンド・ロドニーの放出を敢行した。このロドニーの売り時は最高のタイミングだったと言える。ロドニーのパドレス最終登板後の防御率は0.31。この防御率がこれ以上よくなるとは考えにくく、今年で39歳となるロドニーがいつ疲労から成績が悪化してくるかもわからない。これ以上の売り時はなかっただろう。このトレードは獲得したプロスペクトも悪くない。交換相手のクリス・パダックはプロ2年目ながらAで圧倒的な成績を残しており将来大化けする可能性を大いに秘めている。それをオフに1.6Mで拾ったリリーバーと交換できるのなら安いものだろう。

そしてインターナショナルFA解禁日となった7月2日には10人の選手と契約に至った。そのうち6人はMLB.comのインターナショナルプロスペクトトップ30に入っているトッププロスペクトである。これで手を緩めることはなく7日には今年のインターナショナルFAで最高評価を受けるピッチングプロスペクトであるキューバ人のエイドリアン・モレホンと$11Mで契約した。

さらに14日にはドリュー・ポメランツをレッドソックスに放出。レッドソックスが様々なチームの先発投手に食指を伸ばしているなか、素早くポメランツを差し出し颯爽とプロスペクトを持って行った形となった。

そして今週の現地時間20日にはキューバ人のホルヘ・オーナと$7Mで契約と息をつく間もなく積極的に選手の獲得に動いている。トレア・ターナー(WSH)やジョー・ロス(WSH)らを放出した2014年オフとはまるで逆を行くかのようだ。

その一方でチームに対して非常に愛着を持っているウィル・マイヤーズとの長期契約にも動いている。どれだけチームを立て直そうとしても中心となる選手がいなければ意味がない。マイヤーズ自身も非常に乗り気であり、GMのプレラーを信用してるともコメントしている。球団も度々噂になっていたマイヤーズ放出を堂々と否定するほどである。主力選手を放出しつつも本当に必要な選手はフランチャイズプレイヤーとして長期契約を結ぼうとする。これこそが再建の土台を作るということではないだろうか。

まだ、パドレスにはメルビン・アップトンjrやアンドリュー・キャッシュナーなどトレードの駒は多くいる。ボルティモア・オリオールズとのトレードの噂も活発になってきている。これからパドレスがどのように動くかしっかりと見届けていきたい。