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2017 ALDS Review : HOU vs BOS

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ALDS : HOU 3-1 BOS

*Game部のリンクでゲームのRecapをチェック可。

Game1 HOU 8-2 BOS

勝;ジャスティン・バーランダー(1-0) 負;クリス・セール(0-1)

Game2 HOU 8-2 BOS

勝;ダラス・カイケル(1-0) 負;ドリュー・ポメランツ(0-1)

Game3 BOS 10-3 HOU

勝;ジョー・ケリー(1-0) 負;フランシスコ・リリアーノ(0-1)

Game4 BOS 4-5 HOU

勝;ジャスティン・バーランダー(2-0) 負;クリス・セール(0-2) S;ケン・ジャイルズ(1)

 

ギュラーシーズンで101勝をあげ、アリーグ移転後初めての地区優勝を飾ったヒューストン・アストロズとデビッド・オルティズの引退など打線の戦力ダウンに苦しみながらもなんとかニューヨーク・ヤンキースを振り切り2年連続で地区優勝を果たしたボストン・レッドソックスの対戦。シーズン序盤から圧倒的な強さを誇り、オールスター明けにはデトロイト・タイガースからバーランダーを獲得するなど更に戦力を上げたアストロズ有利とみられたこのシリーズは大方の予想通りアストロズの3勝1敗で幕を閉じた。

 

このシリーズの注目点とシリーズを通して活躍した選手をピックアップしていく。

 

注目点1→打力の差

この点に関してはシリーズの開幕前からスタッツから推測できた事だが、やはりここの差が大きく出たように感じる。アストロズは全4試合で二桁安打を記録するなど終始レッドソックス投手陣を攻め続けた。その中でも上位打線に大きな差が出ているので、ここでは上位打線に絞って分析する。アストロズの上位打線は1番と3番は全試合でジョージ・スプリンガーとホセ・アルトゥーベがつとめ、2番は右投手にはジョシュ・レディック、左投手にはアレックス・ブレグマンという布陣。いずれの選手もこのシリーズでは好調が続き、1~3番の合計打率は.440という驚異的な数字。彼らの活躍によりアストロズはこのシリーズすべての試合で初回に得点を奪っている。対するレッドソックスは打順の入れ替えはあったが主にダスティン・ペドロイア、ザンダー・ボガーツ、アンドリュー・ベニンテンディの3人が上位打線をつとめた(第1戦はエデュアルド・ヌネスが2番で出場し、ハンリー・ラミレスに交代している)。そして1~3番の合計打率は.180という数字でわずか3打点しかあげることができなかった。4番に座るムーキー・ベッツ、その後ろを打つミッチ・モアランドやラファエル・ディバースは当たっており、彼らがより出塁していれば得点も増えたことが推測されるだけに非常に悔やまれる結果となった。アストロズ唯一の弱点と言われるリリーフ陣を早めに登板させるためにも上位打線を中心にアストロズ先発陣を攻略したかったため上位打線の不調は大きな痛手であった。

注目点2→先発投手

注目点1でも記述したようにレッドソックスがアストロズに勝つにはアストロズ唯一の弱点であるリリーフ陣を引っ張り出す必要があったように思える。アストロズのリリーフ陣はレギュラーシーズンでリーグ10位の防御率4.27と良くなく、対するレッドソックスのリリーフ陣はリーグ2位の防御率3.15と競った展開に持って行ければレッドソックスは有利に試合を進められたはずだ。しかしレッドソックスは先発投手が軒並み序盤に崩れ、試合の主導権を握ることが出来なかった。リーグ4位の17勝を挙げたセール、ポメランツの左腕2人がどちらも打ち込まれたのは首脳陣としても想定外であっただろう。一方でアストロズはバーランダーとカイケルの両エースがどちらも勝利投手となるなどゲームを作る働きを見せ、弱点であるリリーフ陣を早い回から出す展開に持ち込ませなかった。今後のシリーズでも先発が試合を作れるかどうかがアストロズの勝敗の鍵を握るだろう。

2017 Team Preview:トロント・ブルージェイズ

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*40人ロースターはリンクを参照

 

・本拠地:ロジャース・センター

他の野球場と大きさを比較する→http://yakyujo.com/ml19/

 

広さ
レフト 100.0m
センター 121.9m
ライト 100.0m
フェンス高さ 3.0m
パークファクター平均*100
安打 108.3
ツーベース 130.0
スリーベース 110.0
HR 101.0
得点 115.6

 

・予想オーダー

1.デボン・トラビス 2B
デビューから2年連続で打率3割をマークする安打製造機。しかし、出場試合数は62101と怪我での離脱が多い点が不安材料である。今年も手術明けの右膝の回復が遅れていたが、324日のレッドソックスとの試合でスプリングトレーニング初出場を果たした。元々は、タイガースにドラフト指名されており、アンソニー・ゴーズとのトレードでブルージェイズにやってきた。

2.ラッセル・マーティン C
ブルージェイズ投手陣を好リードする守りの要。昨季、チーム防御率がリーグ最高だったのは、彼の功績によるところが大きいだろう。フレーミングの技術には定評があるが、盗塁阻止率が急激に落ちたこと(38.5%12.9)と打撃成績が下降しつつあることが不安材料である。今季は、ジャロッド・サルタラマッキアが控えにいるので負担が多少なりとも軽減されるはずだ。捕手のほかに二塁や三塁を守ることも。

3.ジョシュ・ドナルドソン 3B
リーグ3位のfWAR7.6を記録したリーグ屈指の三塁手。昨季も夏場まで2年連続のMVPを狙える好成績を残していたが、9月に入ると故障に見舞われ成績を落としたため、MVP投票では4位に終わった。それでも、マニー・マチャド(BAL)やカイル・シーガー(SEA)といった同リーグの三塁手を抑えて2年連続のシルバー・スラッガー賞受賞はさすがの一言に尽きる。

4.ホセ・バティスタ RF
トロントの英雄と言っても過言ではない大砲。昨季は、レンジャーズ戦でルーグネット・オドーアと殴り合いの乱闘を引き起こした。また、オフにFAになるも怪我や打撃不振もあり、買い手がつかず今年に入ってブルージェイズと再契約した。今年のWBCのカナダ戦で特大の3ランを放つなど勝負強さは健在だ。守備力の低下が懸念されており、今季は一塁での出場が増える予定だ。

5.ケンドリス・モラレス DH
ロイヤルズから333Mで加入したスイッチヒッター。2015年にはロイヤルズ30年ぶりの世界一を経験しており、ブルージェイズにも久方ぶりの世界一に貢献したい。昨季は、2009年以来7年ぶりに本塁打を30本台に乗せた。本塁打の出やすい球場に移籍した今季はぜひとも本塁打と打点を増やしてエドウィン・エンカーナシオン(CLE)の穴を埋めたいところ。

6.トロイ・トゥロウィツキー SS
長年、メジャーを代表する遊撃手として君臨し続ける男。故障が多いのがネックで昨年もDL入りし、出場数は131にとどまった。昨季もDRS10と依然として守備の要として十分な成績を残している。しかし、トロント移籍後のOPS.800に達せず、昨季のOPS+は101にとどまるなど自慢の打撃に陰りが見え始めているのが不安材料と言える。

7.スティーブ・ピアース 1B
2014年にオリオールズでブレイクを果たした苦労人。翌年は怪我もありパッとしなかったが、昨季はレイズとオリオールズに所属して85試合で13HROPS.867と好成績を残した。昨年は対左に対してOPS1.028だったこともありジャスティン・スモークやエゼキエル・カレーラとプラトーン起用されることが濃厚だ。守備では一塁と外野の両翼を守れるため自身の調子とチーム状況によっては出場機会が増えるかもしれない。

8.ケビン・ピラー CF
好守が光る中堅手。足の速さを生かした守備範囲と球際の強さがセールスポイントで、幾度となく投手を助けている。昨季、記録したDRS21はメジャーの中堅手で2番目に高いものだった。ケビン・キーマイアー(TB)とのゴールドグラブ賞争いにも注目だ。打撃の方は、フリースインガーであることが特徴。安定して高出塁率を維持することができるのならば、リードオフマンに据えるのも面白いだろう。

9.エゼキエル・カレーラ LF
俊足が売りの外野手。バントヒットが多いのが特徴。主に外野の両翼を守り、広い守備範囲と補殺の多さが持ち味。今季は、右打者のスティーブ・ピアースやメルビン・アップトンJr.と併用されることが濃厚だが、いずれの選手も対左の成績のほうがいい点が気がかりなところである。

2016 Trade Deadline~大物に手をつけなかったオリオールズとブルージェイズの戦略~

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様々な思惑が飛び交った今年のトレードデッドライン。前回はデッドライン前から積極的に動いたBOSについてまとめたが、今回はBOS以外のアメリカン・リーグ東地区のチームについておさらいしていこう。

まずは、比較的動きが少なかったBALからだ。

7/31 BAL⇔SEA
SEA→BAL ウェイド・マイリー
BAL→SEA アリエル・ミランダ

メジャートップのチーム本塁打数を誇るBALだが、一方で先発ローテーションは貧弱だった。クリス・ティルマン、ケビン・ゴーズマンは試合を作ってくれるのだが、ヨバニ・ガヤード、タイラー・ウィルソン、ウバルド・ヒメネス、マイク・ライトらはいずれも防御率が5点台中盤か6点台と話にならない成績。リリーフとして投げさせていたトッププロスペクトのディラン・バンディを先発に回し、うだつの上がらないヒメネスをリリーフに回すなど配置転換を行っていた。

シーズン中の先発投手補強が必要なことは火を見るよりも明らかだった。そこでBALが目を付けたのがマイリーだった。マイリーはBALのローテーションには1人もいないLHP。獲得前の時点で防御率は4.98だったがBALの他の先発陣と比べればまだマシな方だった。3年連続で190イニング以上投げている耐久性もBALにとっては魅力だったのかもしれない。

一方でBALはマイリーの今シーズンの残りのサラリーとオプションを行使した場合は$12Mのサラリーを、行使しない場合はバイアウトとして$500Kを負担しなければならなくなった。だが、BALにとってはこれは好都合だろう。今オフのFA市場に流れてくる先発投手はいずれも4/5番手クラスか旬を過ぎた投手だ。再びトレードを仕掛けようにも現在のBALのマイナーシステムでは獲得できる選手はたかがしれている。売り手に回る球団がいる時期に来シーズンも保有できるマイリーを獲得したことはおかしなことではない。

では、放出した選手はどうだろうか。ミランダはBALが昨年5月に契約したLHP。契約当時が26歳ということもあって2年間でAAAへとスピード昇格を果たした。BALでは今シーズン1試合に登板したが、その際2回で3失点と結果を残せていなかった。しかし、AAAでは19試合に先発して防御率3.93、K/9=7.8、BB/9=2.8とソリッドな成績を残しており、現状のBALのローテーションを考えると先発として投げさせてもよかったように思える。

それでもBALがミランダを放出してマイリーを獲得したのはマイリーの実績を買ったということなのだろう。地区優勝を狙える立場にいる以上実績も高い評価もないマイナーリーガーでリスクを冒したくはなかったのだ。

一方でSEAはトレード時点で貯金1、ワイルドカード圏内まで5ゲーム差と微妙な立ち位置。そこでサラリーの高いマイリーを放出し、マイナーではしっかりと成績を残しているミランダを獲得することで少額ながらもサラリーダンプに成功。また、タイワン・ウォーカーやジェームズ・パクストンなど故障の多い先発投手を抱えるSEAにとってはいつでも替えの利くミランダはニーズに合っていたと言える。

少々高額なサラリーを払ってでも実績のある先発投手を獲得したいBALと微妙な立ち位置のためはっきりと売りにも買いにも出られないSEAの思惑が一致したトレードだった。

 

8/1 BAL⇔TB
TB→BAL スティーブ・ピアース
BAL→TB ヨナ・ハイム

昨オフ1年$4.75MでBALからTBへと移籍したピアースが再びBLAへと戻ることになった。BALがピアースを呼び戻した理由はペドロ・アルバレスやキム・ヒョンスとプラトーンを組ませたいからだろう。アルバレスは左打者で、対左投手のOPSは4割台、本塁打も1本のみとからっきし。キム・ヒョンスも左打者であり、左投手との対戦はほとんどなくヒットは1本も打ってないという有様だった。

それに比べて右打者のピアースは獲得時点で左投手との対戦が63打席のみにも関わらず二塁打6本、本塁打5本。さらに今シーズンは対左投手に限らずシーズンを通して.309/.388/.520と絶好調。同じ右打者でBALにシーズン当初から在籍しているノーラン・ライモルドや故障で離脱しているジョーイ・リカードらがOPS7割台前半だったことを考えると大幅なアップグレードになる。

また、ピアースは上手くはないもののOF/1B/2Bをこなすことができるので、使い勝手のよさも獲得理由の1つとなっただろう。今オフでFAとなるため見返りが少なくて済むこともマイナーシステムの層が薄いBALにとっては好都合である。

BALが放出したのはハイム1人だけ。ハイムはFEDランキングにもランクインしているCだが、素材先行型で打撃ではまだしっかりと成績を残しせていない。守備の評価は高いが、BALにはチャンス・シスコという昇格間近で有望なCがいるためハイム1人の放出でピアースが獲得できるのなら安いものだろう。

TBにとってこのトレードはどうだっただろうか?どのチームにとってもCプロスペクトは貴重な存在だが、レンタルとはいえ今シーズン絶好調だったピアースの見返りとしてハイム1人だけでは心もとない。守備は上手いが打撃は弱いという特徴は、現在ハイムと同じA+でプレーするニック・シウフォと被るところもある。若干安売りしてしまったと言えるだろう。

BALが今シーズンのデッドラインで成立させたトレードはこの2つのみ。デッドラインで積極的に動いた2013年以降は大人しめになっている。今シーズンは投手で大物が動きそうになかったことと、マイナーシステムの貧弱さがBALの控えめな姿勢に影響したと思われる。同地区のBOSとTORが積極的に動いている姿とは対照的だった。