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2016 ALDS Review:CLEvsBOS

ALDS:CLE3-0BOS
*Game部のリンクでゲームのRecapをチェック可。
Game1 CLE5-4BOS
勝:アンドリュー・ミラー(1-0) 負:リック・ポーセロ(0-1) S:コディ・アレン(1)
Game2 CLE6-0BOS
勝:コーリー・クルーバー(1-0) 負:デービッド・プライス(0-1)
Game3 CLE4-3BOS
勝:ジョシュ・トムリン(1-0) 負:クレイ・バックホルツ(0-1) S:コディ・アレン(2)
クリーブランド・インディアンスが3連勝でボストン・レッドソックスを下し、2007年以来となるリーグ優勝決定シリーズへ駒を進めた。一方敗れたレッドソックスは「ビッグ・パピ」こと主砲デービッド・オルティスのラストイヤーを2013年以来のワールドシリーズ制覇で飾ることはできなかった。
ここからはこのシリーズを2つのポイントから振り返っていく。
注目点→継投策
短期決戦というレギュラーシーズンとは違った戦い方が要求される舞台で、1つのポイントが継投策である。1戦1戦の勝敗が非常に大きな意味を持つ短期決戦では、過度な連投や酷使といったレギュラーシーズンでは憚られるようなことも時には必要となってくる。勝利したインディアンスはまさにそのことを象徴するような采配を見せた。
それが見られたのが第1戦と第3戦だった。第1戦では先発のトレバー・バウアーが5回途中まで3失点とイマイチの内容。それでも、ダスティン・ペドロイアを打ち取り、2死とした。あと1死で勝利投手の権利を獲得し、球数はいまだ78球、ランナーは無し。通常ならば続投させるであろうと思われるこの状況で、テリー・フランコーナ監督は本来セットアッパーであるアンドリュー・ミラーを投入した。
これは迎える打者がここまで1安打、左打者のブロック・ホルトであったため、左打者に強いミラーを投入したと思われるがそれにしても驚くべきものであった。結果ミラーはホルトにツーベースを許し、続くムーキー・ベッツにも四球を与えるが続くオルティスを打ち取り、見事無失点で切り抜けた。ミラーはそのまま7回途中まで続投。2イニング、計40球を投げた。その後ブライアン・ショウを挟み、8回1死からクローザーのコディ・アレンが登板。そのまま最後まで計1.2イニング、40球の力投を見せ、見事無失点に抑えた。
まだ先発投手に余力が残っていると思われる5回からセットアッパーをつぎ込み、セットアッパーとクローザーに3.2イニングを任せた執念の継投。まさに短期決戦ならではの戦い方と見ることができるであろう。
第3戦も同様であった。先発のジョシュ・トムリンは5回まで1失点に抑えていたが、6回に先頭のペドロイアにヒットを許したところでミラーを投入。トムリンはこの試合まだ68球しか投げていないものの、勝負に出たとみられる。そのままミラーに2イニングを任せ、8回からショウを投入。ピンチを招いたところでアレンを登板させた。アレンは1点を失うものの、見事リードを守りきり、次のシリーズへとコマを進めたのであった。
今年のプレーオフでは1イニングに何人もの投手をつぎ込む細かな継投が多々見られた。それに対して、フランコーナ監督の採った采配は真逆であると見ることが出来るだろう。ミラーとアレンという絶対的な2人をいかに信頼しているかということが現れた継投策だったように思える。もちろん2人が非常に優れた投手であることは言うまでもない。しかし、今シーズン一度も40球以上投げていない2人にこれだけ投げさせる采配はなかなか採ることができないであろう。短期決戦だからこそ、良い投手をできる限り使うといったフランコーナ監督の采配が見事に的中したのである。
注目点→下位打線の活躍
計3戦で15点を挙げたインディアンス。リック・ポーセロ、デービッド・プライスなど主力級を粉砕したその打線は見事だったが、実は15点のうち9点が7,8,9番の下位打線からの得点だったのである。では1戦ごとにその活躍を振り返っていこう。
第1戦では2-1とリードされた3回に9番のロベルト・ペレスが同点に追いつくソロホームラン。レギュラーシーズンでは打率.183、ホームラン3本の成績だったペレスだが、この試合ではホームランを含む2安打、2得点と見事な活躍ぶりだった。
第2戦では先発が左のプライスだったため、ブランドン・ガイヤーがスタメン入りし7番、左のロニー・チゼンホールが8番に打順を下げた。ガイヤーはこの試合先制タイムリーを放つなど4打数3安打1打点、チゼンホールはリードを広げる3ランホームランを放つなど活躍。9番のペレスも安打こそなかったものの2四球を選んだ。
第3戦では前の試合でスタメンから外れたココ・クリスプとタイラー・ネークインが7,8番。ネークインが先制の2点タイムリーを放つと、クリスプがリードを広げる2ランホームラン。全得点を2人で挙げる素晴らしい活躍だった。
短期決戦では選手の調子が大きく関わってくる。レギュラーシーズンでは文句なしの活躍をしていても、ポストシーズンでは当たりが止まってしまうということもザラだ。その中で、どこからでも点が取れる打線というものは大きな武器となる。特に、インディアンスの場合対左投手対策としてスタメン出場のガイヤーも活躍したという点は非常に大きい。選手層の厚さ、これも短期決戦であるからこそその重要性は増すものである。これからもインディアンスの下位打線には注目である。
Text by Mizoguchi Masaaki
写真:https://flic.kr/p/MyD4mo
2016 Playoff Preview:クリーブランド・インディアンス

現地時間9月26日、クリーブランド・インディアンスが同地区で2位につけていたデトロイト・タイガースを7-4で下し地区優勝を決めた。これで2007年以来の地区優勝となった。今回はプレーオフを戦うインディアンスの長所と短所を見ていきたい。
まずは、長所から見ていこう。
「得点力」
インディアンスの得点はアメリカン・リーグの中ではボストン・レッドソックスに次いで2位につけている。しかし、チーム本塁打数は同10位とそれほど多いわけではない。チーム打率はリーグ3位と高いがそれほど数字が変わらないチームは多い。チーム打率はインディアンスと変わらず、本塁打数はインディアンスより多いデトロイト・タイガースやテキサス・レンジャーズはインディアンスより得点が少ない。
理由は2つ。走塁と本塁打以外の長打の数にある。
走塁面では盗塁がアメリカン・リーグで1位と分かりやすいアドバンテージを持っている。盗塁王のラジャイ・デービスを始め15盗塁以上が4人。どちらかというと鈍足であるマイク・ナポリですら5盗塁をマークしている。そして、インディアンスの強みは闇雲に走っているというわけではないところにある。インディアンスの盗塁失敗数は非常に少ない。インディアンスの半分ほどの盗塁数しかないロサンゼルスの・エンゼルスよりも盗塁失敗が少ないと言えばどれほどすごいことかが分かるだろう。
これは走塁を数値化するBSrでも如実に現れている。BSrは走塁を3つに分けて考えている。wSBは盗塁を、wGDPはダブルプレー阻止を、UBRは盗塁以外での進塁を数値化しこれら3個の指標の数字を合わせたものがBSrとなる。このBSrでもインディアンスはアメリカン・リーグ1位となっている。実を言うとインディアンスのwGDPはそれほど高くなく、むしろマイナスである。つまり、ほとんどの数字をwSBとUBRで稼いでいたのである。wSB、盗塁については前述した通りだが、UBRでもインディアンスは頭2つほど他のチームよりも抜きんでている。他のチームよりも次の塁を進むという意識が非常に強いということである。
カンザスシティ・ロイヤルズも走塁に力を入れておりインディアンスに次ぐ盗塁数をマークしている。しかし、インディアンスよりも盗塁失敗数が多く、またUBRはマイナスをマークしているといった点がインディアンスとの差を生むこととなり、得点数でも差がうまれることとなった。
走塁で相手を引っかき回すことが有効であることは昨シーズンのロイヤルズが証明済み。その時のロイヤルズよりもインディアンスは走塁面でいい数字を残している。進塁されるかもしれないというプレッシャーを与えるだけでも有利に働く。相手チームは常に進塁されるかもしれない恐怖とも戦わなければなくなるのだ。
ニューヨーク・ヤンキースはBSrではインディアンスに大きな遅れを取っているものの、本塁打数では3本程度しか変わらず打率も1厘ほどしか変わらない。それでも得点は100ほど異なっている。走塁だけで100得点も変わるものではない。これほど差がついたのは二塁打の数が関係している。インディアンスの二塁打数はアメリカン・リーグで2位。一方でヤンキースは同最下位と両者の差は一目瞭然である。
もちろん、1本で1点が入る本塁打が多いことに越したことはないが、その他の長打も重要だ。当たり前の話だが、単打よりも二塁打の方が得点が入りやすい。本塁打が多くても二塁打が少ないとなると本塁打以外での得点が少ないという状況に陥りやすい。インディアンスはそういった悩みとは無縁とは言わないが他のチームよりも少なかったということは間違いないだろう。
「ブルペン」
投手陣ではリリーフの層の厚さが長所と言えるだろう。リリーフ防御率がアメリカン・リーグで最もいい数字となっているのがその証拠だ。元々、ザック・マカリスターやブライアン・ショウ、コディ・アレンという信頼できるリリーフがいたことに加え、開幕前に金銭トレードで獲得したダン・オテロが予想外の働きをしていることも大きい。一時期、生命線だったゴロを打たせる投球を見失っていたオテロを再び素晴らしいグラウンドボーラーに復活させたのは見事。また、シーズン途中でメジャーを代表するリリーフであるアンドリュー・ミラーを補強したことで盤石の構えとなっている。
2016 Team Preview:クリーブランド・インディアンス

*40人ロースターはリンクより参照
*SP横*マークはローテーション候補の意味を示す。
- 本拠地:プログレッシブ・フィールド
レフト | 99.1M |
センター | 121.9M |
ライト | 99.1M |
フェンス高さ | 2.4~5.8M |
安打 | 116.9 |
ツーベース | 144 |
スリーベース | 77.4 |
HR | 98.6 |
得点 | 126.1 |
- 予想オーダー
1.ラジャイ・デービス:CF
通算322盗塁の俊足が武器の35歳のベテラン外野手。1年5.25Mで自身6球団目となるCLEに入団。同じCF のエイブラハム・アルモンテが薬物陽性反応によって80試合の出場停止になったため、開幕からしばらくはデービスの出場機会が増えそうだ。
2.ジェイソン・キプニス:2B
CLE生え抜きの2B。昨シーズンは141試合に出場し.303/.372/.451&9HR&18盗塁。打率こそ自己ベストだったものの、HRと盗塁は2年連続で2桁本塁打&30盗塁以上を記録した12、13年に比べると物足りない数字になってしまった。14年にDRS-11、UZR-8.0を記録した守備はDRS+1、UZR+4.3と改善した。28歳と年齢的にもピークの時期を迎える。
3.フランシスコ・リンドーア:SS
昨シーズンは守備がウリのルーキーとしてメジャーデビューを果たすと、予想通りの好守と予想以上の打撃で新人王投票2位につけた。99試合で.313/.353/.482&12HR&12盗塁。OPS.835や12HRはマイナー時代含めて自己ベストの成績だった。守備もDRS+10、UZR+10.5と抜群。両打ちで投手の左右関係なく成績を残し、今シーズンへの期待は高まる。
4.マイク・ナポリ:1B
昨シーズンはBOS/TEXの2球団でプレー。BOSではOPS.693&13HRと不調だったが、TEX移籍後はOPS.908&5HRと復調。結局OPS.734&18HRでシーズンを終えた。元は強打の捕手だったが、現在は1Bがメイン。
5.カルロス・サンタナ:DH
高出塁率と20本程度のHRをマークするスイッチヒッター。14年にはC/1B/3B/で出場したが、15年は1Bのみ。16年はDHがメインとなりそうだ。ボールをじっくり見て待つ打撃スタイルで、14年には113四球/124三振と四球数と三振数がほとんど一緒だった。
6.ヤン・ゴームス:C
ブラジル出身の平均以上の打力を持つC。12年のメジャーデビュー以来順調に成績を伸ばし、14年にはOPS.785&21HRでシルバースラッガー賞を獲得したものの、故障で離脱したこともあり昨シーズンは95試合しか出場できず成績が下がってしまった。
7.マーロン・バード:LF
メジャー15年目にして通算10球団目となるCLEに加入したベテラン外野手。13年に35歳にしてOPS.847とHR24本で自己ベストをマーク。翌14年にも25HR、15年はOPS.743&23HRとキャリアの後半にになってから安定した成績を残し出している。
8.フアン・ウリーベ:3B
15年にはLAD/ATL/NYMの3球団に所属したベテラン3B。3球団合計で.253/.320/.417&14HRを記録。16年は1球団で落ち着いてプレーしたいところ。チームをまとめる役割にも期待したい。
9.コリン・カウギル:RF
通算OPS.633&12HRの外野手。本来は控えだが、マイケル・ブラントリーの怪我もあり、ブラントリーが帰ってくるまではOFのレギュラーとして出場機会はありそうだ。このチャンスでアピールしてスタメンの座を掴みたい。