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Weekly Report: Week-19

3つのハイライトで1週間のメジャーリーグを辿る。Week-19のキーワードは「ブランドン・クロフォード」「契約」「ニューヨーク・ヤンキース」だ。
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クロフォード
驚異的な記録だ。米国時間8月8日、マーリンズ・パークで行われたサンフランシスコ・ジャイアンツ対マイアミ・マーリンズ戦で、ジャイアンツのブランドン・クロフォードが1試合7安打を記録した。チームは延長14回の末、8対7で勝利した。
1試合7安打はMLB史上4人目の記録だ。前回の達成者が1975年のレニー・ステネットなので、実に42年ぶりの快挙となる。また、今回クロフォードは、14回表に勝ち越しタイムリーを放っての達成で、他の達成者も多くは延長戦での達成がほとんどだが、ステネットはなんとわずか9イニングで7安打を放った。ちなみに1試合における選手一人の安打数のメジャー記録は、1932年にジョニー・バーネットが記録した9安打だ。
クロフォードは、もともとバッティングに関してはそこまで評価の高い選手ではなかった。143試合に出場しメジャー定着を果たした2012年も、DRSは+12を記録したが、OPSは.653であり、どちらかというと守備で価値を生み出していく選手だった。マイナー時代の打撃成績も平凡だったので、成長の余地はあるとはいえ、バッティングに関してはそこまで大きな期待を受ける選手ではなかった。
ところが2014年のシーズンは、年間のOPS.713、OPS+104を記録、またHRを自身初の2桁に乗せるなど、ショートとしては平均以上の打力があることを証明した。
そして2015年、クロフォードは大躍進を遂げることとなる。この年は年間OPS.782、OPS+113を記録するだけでなく、HR20本を放ち、自身初のオールスター出場を果たした。さらには、2年連続でアンドレルトン・シモンズが受賞していたゴールデングラブ賞、シルバースラッガー賞も受賞。ともに両リーグトップだったfWAR、rWARとともに、クロフォードの活躍を示すこととなった。
そして迎えた今シーズン。現地時間8月14日時点で地区首位のチームとともに、クロフォードも好調を維持している。もちろん、1試合7安打は単に実力の問題以上に運の要素も強いだろう。しかし、延長14回、勝ち越しのチャンスに打席に立っていること自体が彼がチームにとって欠かせない選手の一人となった証拠である。
2016 Team Preview:テキサス・レンジャーズ

*40人ロースターはリンクより参照
*SP横*マークはローテーション候補の意味を示す
レフト | 101.2m |
センター | 121.9m |
ライト | 99.1m |
フェンス高さ | 2.4〜4.3m |
安打 | 110.7 |
ツーベース | 110.2 |
スリーベース | 94.6 |
本塁打 | 106.6 |
得点 | 114.1 |
- 予想オーダー
1. デライノ・デシールズ:CF
元は2010年のドラフト全体8位で指名されたアストロズのプロスペクト。昨オフルール5ファイブドラフトでレンジャーズに移籍すると、121試合でAVG.261&25SBと新人王投票でも票を得る活躍を見せ、チャンスを与えたチームの期待に応えた。12年に101SBをマークしたスピードが一番の武器。守備面ではDRS-10&UZR-5.7と俊足を活かし切れず。
2. 秋信守:RF
昨季は22HR&OPS.838と成績が大きく落ち込んだ2014年から復調。安定して塁に出ることができる選手で、BB%は10%を下回ったことが一度もない。打撃は衰えていないが、20回以上を4度記録したSBは僅か4つに留まり、DRSとUZRは4年連続で大きくマイナスとなっている。7年$130Mの契約の3年目で、2016年は年俸が$14M→$20Mと上昇。
3. プリンス・フィルダー:DH
23HR&OPS.841と秋信守と共にクリーンナップとしての仕事を全うし、首のヘルニアの手術のため42試合のみの出場、僅か3HRに終わった2014年から復活を果たした。5フィート11(約180センチ)の身長に対して275ポンド(約125キロ)の巨漢で、守備走塁での貢献は全く期待できない。父親は2年連続でALホームラン王のタイトルを獲得し、阪神タイガースでもプレーしたセシル・フィルダー。20年まで毎年$24Mの契約が残るが、16~20年にかけては前所属球団のデトロイト・タイガースが毎年$6Mを負担する。
4. エイドリアン・ベルトレー:3B
メジャー19年目を迎える大ベテラン。2010~13年にかけては毎年平均33HRを放っていたが、ここ2年は19HR、18HRと伸び悩み、ISOも低下傾向にあるなどパワー面には若干の衰えも。一方でDRS+18&UZR+11.8と、36歳となっても守備の名手は健在だった。シーズン終了後にFAとなるが、通算3000安打まであと233本に迫っており、「レンジャーズのメンバーとして引退したい」という過去の発言も含めて去就が注目される。
5. ミッチ・モアランド:1B
怪我に悩まされた2014年から復活し、23HR&85RBI&OPS.812をマークする自己ベストのシーズン。23HRの内18HRを右投手から放っており、キャリアでもvsRHPOPS.797に対してvsLHPでは.650に留まる。数字上に影響は出ていなかったが、昨季最後の2ヶ月は左足の疲労骨折を抱えながらプレーしていたことを、既に完治してあることともに今年2月に公表した。オフにFA。
6. イアン・デズモンド:LF
2014年秋の7年$107M契約延長オファー、$15.8MのQOを拒否し、結局1年$8Mでレンジャーズに加入。本職のSSではなくマイナー時代にもプレーしたことのないLFとして起用される見込みで、ジョン・ダニエルズGMもそれを確言。HRは一定以上記録しているが、ここ2年は三振が増え、打率が大きく下がった。打者有利のグローブライフ・パーク・イン・アーリントンで評価を立て直してFA市場に打って出ることができるか。
7. エルビス・アンドラス:SS
2013年開幕直後に8年$118Mの契約延長に合意して以降成績が下降。OPSは6割台半ば、守備も直近2年は平均を下回るなど年俸に見合う活躍を見せることはできていない。デビューから7年連続で21SB以上をマークしているスピードは安定感がある。2016年からは10チームへのトレード拒否条項が付加される。また18年、19年にプレーヤーオプトアウトが付いているが、行使されない可能性が高いだろう。
8. ルーグネッド・オドア:2B
昨季はHR&ISOが9&.142→16&.204とパワー面で大きく躍進。特に後半戦は68試合で12HRとよく打った。早打ちのため、四球も三振も少ない。2013年に32SBをマークするなどスピードも平均以上の物を持っているが、メジャーでは10SB/14CS。マイナー時代に良い評価を受けていた守備は、DRS、UZRともにマイナス。 2月に22歳の誕生日を迎えたばかりで非常に若く、まだまだ成長が期待できる。
9. ロビンソン・チリノス:C
パワフルな打撃が売り。昨季はキャリアで初めてレギュラーとして開幕を迎えたが、左肩を痛めて一ヶ月以上の離脱を余儀なくされた。打球に占めるフライボールの割合が高く、打率は低くなりがちだが打者有利本拠地チームに所属している限りはある程度のHR数を見込むことができる。チリノスの離脱中に短期間ながら目覚ましい活躍を見せたクリス・ジメネスと出場機会を分け合うと見られている。