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タイラー・スカッグスに捧ぐノーヒット・ノーラン

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 現地時間7月12日、ロサンゼルス・エンゼルスの選手達は、タイラー・スカッグスの背番号だった45とSKAGGSが記されたユニフォームをまとって試合に望んだ。彼の死後初めての本拠地での開催試合だった。

 エンゼルスの先発はテイラー・コール(RHP)。いわゆるオープナーである。2回無安打無四球2奪三振の好投を見せ、後続をフェリックス・ペーニャ(RHP)に託した。5月26日以降、登板した全ての試合で失点を喫しているペーニャだったが、この日は7回無安打1与四球6奪三振の好投で継投ノーノーを達成した。ペーニャはスカッグス同様にカーブを得意とする投手であり、マリナーズ打線につけ入る隙を与えない完璧なピッチングだった。

 尚、エンゼルスが継投ノーノーを達成するのは1991年7月13日以来だった。

 スキャッグスは1991年7月13日生まれの投手。2009年にエンゼルスにドラフト指名されてサンタモニカ高校からプロ入り。生まれも育ちもカリフォルニア一筋だったが、翌年7月のトレードでアリゾナ・ダイヤモンドバックスに移籍。2011年、12年に2年連続でフューチャーズゲームに選出され、トレバー・バウアー(RHP)と共に期待を集め、2012年8月22日、ダイヤモンドバックスでメジャーデビューを果たす。2013年オフ、トレードでエンゼルスに復帰し、今年はチームトップの7勝をマークしていた。

 試合終了後、マウンドに集まったエンゼルスの選手達は次々にユニフォームを脱いでマウンドの周辺に置いた。また、打撃コーチのジェレミー・リード氏の考案で、ファンが描いたスカッグスの肖像画が中央に飾られた。

 彼と同期のマイク・トラウト(CF)はこの試合で先制弾を放ち、同志の追悼試合を飾った。オールスターゲームでも45番を着用したことから、彼に対する思いの強さが伺える。それから、今季から三塁手に挑戦しているマット・サイス(1B)にファインプレーが飛び出し、オープナーのコールの完璧な立ち上がりも良かった。後半戦に向けて明るい内容の多い試合だったと言える。

 昨年12月、エンゼルスからFAとなっていたルイス・バルブエナが交通事故(強盗犯が故意に設置した岩に車が衝突。強盗犯はその後逮捕されている)で33歳という若さで亡くなった。2009年には、ニック・エイデンハートが、初勝利の直後に交通事故により22歳で亡くなった。相手は何度も有罪判決を受けているドライバーであり、その日も無免許かつ飲酒運転だった。

 野球選手の突然の死は、私達を暗い奥底に閉じ込めてしまうような衝撃がある。深い悲しみに囚われ、彼が生きていたならと思わずにはいられない。だが、エイデンハートが亡くなった時、同僚だったトリー・ハンター(OF)はこう述べている。

 “ここにいる多くの者は家族の誰かを失ったことはない。今回起きたことは残念だ。でも、これが人生の一部であり現実だ。毎日、朝起きた時や仕事に行く前、子供達や家族にキスをするのはこのためだ”

For the Angels, a promising young arm arrives — and then is lost

 現実に起きてしまったことは、もう戻らない不可逆なものである。私達野球ファンは、少しずつでも現実を受け止めて前を見つめなければならない。選手達、監督、家族。それぞれがそれぞれの方法、速度で前を見つめて生きていくように。

 

Written by Tsubasa Komiyama

Photo link https://flic.kr/p/JcRnwb

Weekly Report : Week-1,2

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FED2019年注目選手

FED2019年タイトル・アワード予想

 

3つのハイライトで1週間のメジャーリーグを辿る。Week-1,2のキーワードは「開幕」「チャップマンフィルター」「アルバート・プホルス」だ。

 

・開幕

 2019年シーズンが始まり、早くも3週間が経過した。現地開幕戦(3月28日)からも約2週間が経過している。今年は、2012年以来となる日本でのメジャーリーグ公式戦が行われ、イチローが開幕ロスター入りを果たしたこともあり、多くのファンが球場に足を運んだことだろう。

 

 昨年、ボストン・レッドソックスがロサンゼルス・ドジャースを下し、2013年以来となるWS制覇を果たした。アメリカン・リーグ東地区の2枚看板であるニューヨーク・ヤンキースは、2009年を最後にWS制覇及びリーグ優勝を果たしておらず、地区4連覇を目指すレッドソックスとは大きく水をあけられている。それから、ドジャースは2年連続でWS進出を果たしたが、またもWS制覇に後一歩及ばなかった。

 では、今年の注目の開幕戦を振り返りたい。

  •  ニューヨーク・メッツ 対 ワシントン・ナショナルズ メッツ勝利

 現役最強投手であるジェイコブ・デグロムとマックス・シャーザーの組み合わせ。この2人の対決は2017年4月27日(メッツが7対5で制している)以来、2度目だった。

 シャーザーは初回、1、2番打者をアウトにするも、メッツにトレードで加入したロビンソン・カノに被弾して失点をするスタート。8回にもカノにタイムリーヒットを献上。全体的に見れば、7.2回2被安打12奪三振3与四球2失点というエースらしい投球内容だった。また、速球も平均95マイルと上々の出来だったが、打線の援護を受けられずデグロムに軍配が上がった。

 一方、デグロムは6回5被安打10奪三振1与四球無失点と投球内容ではシャーザーに劣るものの、要所要所をきちんと締めるピッチング。球速も速球96マイル、スライダー91マイル、チェンジアップ89マイルと素晴らしい出来だった。カノは1-1から反対方向にHRを放ち、新天地で幸先の良いスタートを切ることに成功。

 

  •  ヒューストン・アストロズ 対 タンパベイ・レイズ アストロズ勝利

 ジャスティン・バーランダーとブレイク・スネルによる新旧サイヤング賞対決となった。両者は16年、17年、18と3年連続で対戦機会があり、今年の開幕戦で4年連続となった。尚、過去の勝敗は2勝1敗でバーランダーの勝ち。(2勝共デトロイト・タイガース時代)

 初回、トレードでレイズに加入したオースティン・メドウズに先制弾。しかし、3回にジョージ・スプリンガーが3ランHRを放ち、3対1と形勢逆転。バーランダーは打線の援護を受け、7回3被安打9奪三振1与四球1失点で開幕戦勝利を挙げた。通算11度目の開幕投手は、13年、17年に次ぐ3度目の開幕戦勝利となった。尚、速球の平均球速は94マイルを計測。2013年以降球速が低下し限界説が囁かれた男は、アストロズ移籍に伴って復活。今季も安定したピッチングを披露してくれるだろう。

 一方、自身初の開幕のマウンドを託されたスネルは、3回に3失点で勢いを止められると、最終的に5点をアストロズに献上。6回6被安打3奪三振2与四球5失点という成績に終わった。速球は平均球速94マイルだったが、投球割合が3割を超えたカーブが痛打を浴びるシーンが目立った。2戦ではカーブの投球割合を減らし、スライダーとチェンジアップを増やして対応したが、3戦では再びカーブを増やした。幸い、3戦目ではカーブが効いて6回11奪三振無四球の好投に繋がった。修正力の高さは流石エースである。

 

FED2019年タイトル・アワード予想

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 シーズン開幕後ではあるが、2019年シーズンのタイトル・アワード(MVP,CY,RoY)予想を行った。

 FED2019年注目選手も合わせて読まれたい。

 

 MVP

 2018年シーズン、アメリカン・リーグはボストン・レッドソックスのムーキー・ベッツ(OF)が受賞。ナショナル・リーグはミルウォーキー・ブルワーズのクリスチャン・イエリッチ(OF)が受賞した。共に攻守でチームを牽引し、PO出場を果たした。レッドソックスに至ってはWS制覇を達成した。ベッツはPOではOPS.623と不調だったものの、ロサンゼルス・ドジャースとのWS第2戦では、4打数3安打1得点の活躍をしている。

 

 2019年シーズンは、アメリカン・リーグはロサンゼルス・エンゼルスのマイク・トラウト(OF)が受賞。ナショナル・リーグはフィラデルフィア・フィリーズのブライス・ハーパー(OF)が受賞と予想する。

 トラウトは、これまで偶数年に受賞している。12年新人王、14年、16年MVPである。18年はMVP受賞を逃した。しかし、打撃は球界トップクラスであり、スピードも12年以来となるトリプルスリー達成に十分なレベルであるため、MVP受賞に推す。14年、15年、17年、18年のアメリカン・リーグのMVPは地区首位のチームから選出されているが、16年は地区4位で負け越しているエンゼルスからトラウトが選出された。したがって、チームが勝つに越したことはないが問題はないだろう。

 

 ハーパーとトラウトが共に受賞したのは、12年新人王のみである。ハーパーは15年にMVPに選出されている。アーチストであるため、バレルゾーンを通過する打球は多くないものの、隔年で好成績を収める傾向にあり、そして今年はその好成績の年である。実際、開幕から一月も経過していないとはいえ、平均打球速度103マイル、Hard Hit%=81.8%と好調である。ただし、通算では好成績の年でも打球速度が格別速い部類ではない。新天地でMVP級の好成績を残し、PO進出のキーマンになってほしいという思いから推した。

 

2018年MLBオールスター予想 FED部員が決める現在のMLBで熱い選手は誰なのか?

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現地時間7月17日に第89回「MLBオールスターゲーム」が開催される。開催地は、ワシントン・ナショナルズの本拠地であるナショナルズ・パーク。2008年に開場された同球場での開催は初であり、1962年以来となるワシントンD. C. での開催である。今年もFarEastDivision内でオールスター投票を実施し、FED部員によるオールスターを選出した。

 

•ナショナル・リーグ

それでは、ホームであるナショナル・リーグの選手から紹介をする。

C:J. T. リアルミュート(MIA)

1B:フレディ・フリーマン(ATL)

2B:スクーター・ジェネット(CIN)

SS:ブランドン・クロフォード(SF)

3B:ノーラン・アレナド(COL)

OF:マット・ケンプ(LAD)

OF:オドゥベル・ヘレーラ(PHI)

OF:ニック・マーケイキス(ATL)

 

キャッチャー、ファースト、セカンドは、ほぼ満票でそれぞれリアルミュート(MIA)とフリーマン(ATL)、ジェネット(CIN)に決定。サードはエウヘニオ・スアレス(CIN)に若干票が流れたもののアレナド(COL)に決定。ショートはトレバー・ストーリー(COL)と票が割れ、僅差でクロフォード(SF)に決定。

アウトフィルダーは、最多の8票を集めたケンプ(LAD)、ヘレーラ(PHI)、マーケイキス(ATL)に決定。昨年、FED部員による投票で唯一の満票選出となったブライス・ハーパー(WSH)は、今年は僅か2票に終わった。他、クリスチャン・イエリッチ(MIL)が3票を集めた。

余談だが、昨年FED部員が選出した選手の中で、今年も連続選出された選手は1人もいなかった。

 

キャッチャーは、実際のオールスターゲームではウィルソン・コントレラス(CHC)が先発出場することになっている。尚、身長・体重はリアルミュート(MIA)と同じである。

セカンドは、実際のオールスターゲームではハビアー・バイエズ(CHC)が先発出場することになっている。今季20-20を視野に入れているバイエズだが、FED部員はほぼ票を入れなかった。ただ、データで見ればジェネットが優れているというわけではなく、バイエズの方がfWARは高い。

アウトフィルダーは、実際のオールスターゲームでは、ヘレーラに代わりハーパーが先発出場することになっている。fWARは、ハーパーとヘレーラで大差ないものの、今季のハーパーは低打率に苦しんでおり、FED部員による投票では、長打力が伸びたヘレーラに軍配が上がった。

 

FED部員によるナショナル・リーグのオールスター選出では、ハーパーに票があまり入らなかった。今季のハーパーの成績は正直見栄えが悪い。しかしながら、長打力があることは事実であり実際のオールスターでは先発メンバーに名を連ねている。にも関わらず、ハーパー(2票)よりもイェリッチ(3票)やヘレーラ(7票)が票を集めることが出来たのは、よりインパクトのある選手―ヘレーラは今季、キャリアハイを大幅に塗り替える勢いで本塁打を量産している―に投票をしたからではないかと思われる。

 

MLBを取り巻くメディアの変化~映像メディアの進化と活字メディアの挽回策~

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昨年の夏にMLBに関して衝撃のニュースが飛び込んできました。それは選手の移籍に関することでもなく、選手のゴシップネタでもありません。FOXSportsがMLBの報道に関してビデオ事業に専念することを決めたことです。そして何よりも大きな驚きを与えたのがFOXSportsで2005年から記者として活動していたケン・ローゼンタール記者が書き手としての仕事を失ったことです(その後もFoxの試合中継などでのコメンテーターの仕事は続けています)。今更説明するまでもないかもしれませんが、ローゼンタール記者はTwitterのフォロワー数が100万人近くいて有名選手の移籍情報などを1番に伝えることも多いMLBをカバーしている記者の中でも中心人物の一人です。そんな人物が書き手としての立場を失ったのです。今回の記事ではその背景には何があるのかとこれからMLBを取り巻くメディアがどう変化するかを考察していきたいと思います。

本格的にインターネットが普及し始めてからおよそ20年が経ちました。現在ではインターネットなしには、生活が成り立たないレベルにまで浸透しています。インターネットの普及は我々日本人のMLBファンのMLB観戦の方法をも劇的に変化させました。インターネットが普及する以前にはMLBの試合を見ようとすれば、テレビやラジオに頼るしかありませんでした。しかしテレビやラジオは全30球団をカバーしていたわけではありません。それが現在ではどうでしょうか。有料サービスであるMLBTVに加入すれば、いつでも好きな時に好きな試合を見ることができるのです。飛行機に12時間近く乗らないと着くことができないロサンゼルスの試合を東京で高画質で楽しむことができるのです。それだけではありません。TwitterやFacebookなどのSNSを利用すれば、選手のプライベートの様子や最新の移籍情報を瞬時に大量に楽しむことができるのです。英語が堪能な方であれば、現地の新聞のオンライン版から情報を得ることもできます。記者でもない一般人が、日本から遠く離れたアメリカの地方紙の記事を読むことができるというのは、まさにインターネットのおかげと言えるでしょう。

つまり現在のMLBでは、試合だけでなくSNSでの情報収集や選手のプライベートを垣間見るなど娯楽の種類と数がインターネット浸透以前と比較して圧倒的に増加しているのです。これは言葉を換えると、1つ1つの娯楽にファンがかける時間は減少しているということです。2015年の7月には試合中に自身がトレードされると報道されたことがきっかけでウィルマー・フローレス(NYM)が涙を流すという出来事がありました。これは実際には誤報でしたが、SNSは非常に盛り上がりました。これは現在のMLBでは試合以外にもエンターテイメントが潜んでいることと、時にはそれが試合以上に盛り上がる可能性があることを表す好事例です。

ここまで、インターネットが本格普及したことで起こった2つの変化についてまとめてきました。1つ目は高速通信が可能になったことで、日本にいても好きな時に高画質で試合を楽しめるということでした。2つ目は高速通信が可能になったことで、野球の試合以上にSNSが盛り上がったりすることが出てきて1つ1つの娯楽にファンがかける時間が減っていることでした。以下ではこの2つの変化が活字メディアの衰退にどのようにして繋がっていくのかを見ていきます。