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後半戦展望:セントルイス・カージナルス

現在、ナショナルリーグ中地区の首位はセントルイス・カーディナルスだ。この地区は、得失点差マイナスのミルウォーキー・ブリュワーズが勝ち越していたり、プラスのシンシナティ・レッズが負け越していたりする。また、2位のシカゴ・カブスとは得失点差だけならばそれほど差がないように見受けられるが、対左腕を取りこぼさないのがカーディナルスである。
今期、ナショナルリーグ中地区の中で最も対左腕のwRC+が優れているのは、ブリュワーズの98である。次に96のカーディナルスだ。実際、ブリュワーズは23勝24敗と負け越してはいるものの、それほど苦にしていない。カーディナルスは15勝14敗で同地区唯一の勝ち越しである。
それでは、カーディナルスの特徴的な野手をあげていこう。まず、コルテン・ウォン(2B)だ。今期、キャリアハイとなるOPS.799をマークしているが、打球速度はメジャー下位3%に入り、ハードヒットは下位6%だ。Barrel%はわずか2.6%だが、11本塁打をマークしている。同じく、打球速度やハードヒットの値が良くないが長打率のある選手として、ワシントン・ナショナルズのアダム・イートン(RF)がいる。
2019年の全打球結果 Baseball Savantより
次に、ハリソン・ベイダー(CF)。スプリントスピードや外野の守備範囲はメジャー上位3%に入る実力だが、デクスター・ファウラー(CF)と出場機会を分け合っている。メジャー通算K%=28.0%(平均は21.6%)、BB%=9.0%(平均は8.3%)のアプローチやバッティングがネックではあるものの、捕球確率の低い打球に勇猛果敢に飛び込んでアウトにするダイナミックなフィールディングは、見る者を魅了している。
そして、ヤディアー・モリーナ(C)の衰えは心配である。バッティングは当然のことながら、フィールディングにおいても衰えが見られる。Runs Extra Strikes(フレーミングによって防いだ、もしくは失ったであろう得失点)は昨年に続いてマイナスをマーク。但し、ポップタイムは依然としてメジャー平均を上回っている。いずれにせよ、キャリア最終盤にさしかかっている現実が浮かび上がってくる。
モリーナを支えるのはマット・ウィータース(C)。ドラフト全体5位で指名されたエリート中のエリートだが、ポップタイムとフレーミング(メジャーワーストクラス)は共にメジャー平均を下回り、控えとしては信頼性に欠けるか。
前年36本塁打のマット・カーペンター(3B)やポール・ゴールドシュミット(1B)等が好調な状態でPOに挑めば、強力な打線になるだろう。そうでないのであれば、POに進出するであろうナショナルリーグのチームの中では、打撃力が劣るといわざるを得ない。守備力は、DRS、UZR共にメジャー全体3位であり、堅実なフィールディングを誇っている。
Weekly Report:Week-9

3つのハイライトで1週間のメジャーリーグを辿る。Week-9のキーワードは「1試合4HR」「スランプ」「ハーパーのスイング」だ。
・1試合4HR
シンシナティ・レッズがセントルイス・カージナルスに13-1で大勝を収めた6月7日の試合。この試合でレッズの大勝に貢献したのは、思わぬ伏兵であった。5番レフトで出場したレッズのスクーター・ジェネットは、試合前までの本塁打数は3HR。過去に2桁本塁打を達成したのは2016年の14HRのみ、通算本塁打も38HRとお世辞にも本塁打を期待される選手ではなかった。
そのジェネットがこの試合では一転。初回に相手先発アダム・ウェインライトからシングルヒットを放ち1打点をあげると、3回に回ってきた打席では同じくウェインライトから満塁の場面でなんとセンターへ本塁打を放ちグランドスラム。ここまででも驚きだがまだまだ終わらない。4回には2番手ジョン・ガントからセンターへツーランホームラン。6回にもガントから今度はレフトへソロホームラン。最後は8回に3番手ジョン・ブレビアからライトへツーランホームランを叩き込み、ジェネットにとっての夢の1日はようやく終わった。
最終的にこの日の記録は5打数5安打4HR10打点。テレビゲームでも難しいような、まさに信じられない打撃成績だった。1試合4HRはレッズでは史上初。MLB全体では10人目の快挙で、1試合で4HRを含む5安打での10打点というのは史上初だったようだ。
開幕前にはミルウォーキー・ブリュワーズからDFAされレッズに加入したジェネット。そんな状況だった選手の大爆発は、MLBファンに大きな衝撃を与える5打席となった。
2017 Team Preview:セントルイス・カージナルス

*40人ロースターはリンクより参照
*SP横*マークはローテーション候補の意味を示す
- 本拠地: ブッシュスタジアム
レフト | 102.4M |
センター | 121.9M |
ライト | 102.1M |
フェンス高さ | 2.7M |
安打 | 97.2 |
ツーベース | 91.4 |
スリーベース | 54.3 |
HR | 90.1 |
得点 | 92.1 |
- 予想オーダー
1. デクスター・ファウラー:CF
同地区のライバルであるシカゴ・カブスから5年82.5M$の大型契約で加入。リードオフマンとしては素晴らしい打席でのアプローチで、昨年のBB%は14.3、出塁率は自己ベストの.393であった。守備に関しては不安が多いが、昨年のUZRは自己初めて+の数値、1.0を残した。昨年カブスに移籍したジェイソン・ヘーワードのように長期契約を結んだ外野手は初年度はあまり活躍しないイメージが強いが、そのジンクスを跳ね返せるか。
2.アレドミー・ディアズ:SS
昨年メジャーデビューし、ショートのレギュラーの座をつかんだキューバ出身の26歳。2014年にキューバから亡命し、カージナルスと契約した。2014、2015年のマイナー時代でもソリッドな成績しか残せていなかったので、開幕当初はあまり期待されていなかったが、蓋を開けてみるとほぼどのスタッツでもマイナー時代を含めても自己ベストをマークした。二年目のジンクスを跳ね返してリーグを代表するショートストップになれるか。
3.マット・カーペンター:1B
昨年はサード、セカンド、ファーストのポジションを守ったが、今年はファーストでの先発が予想される。2012~2014年シーズンでは外野を守った経験もあり、どこでも守れる器用さを持つ。バッティングに関しては一昨年に長打力が開花。昨年の打撃に注目が集まったが、一昨年とほぼ同じ成績を残し、一昨年の成績がまぐれではないことを証明した。
4.スティーブン・ピスコッティ:RF
2012年ドラフト1巡目指名の26歳。昨年はメジャー2年目で153試合に出場し、22本塁打、OPS.800と将来のカージナルスの中軸を担っていく候補の一人に名乗りをあげた。しかし、昨年の前半は打率.295とと調子が良かったが、後半戦は.247と低迷。とくにK%は17%から24%へと悪化した。昨年の悪いながれを断ち切ることができるか。
5.ヤディア・モリーナ:C
モリーナ三兄弟の末っ子。ちなみに兄二人ともメジャーリーグで捕手を務めた経験がある。昨年は守備面での成績では盗塁阻止率など悪化したものも、リード面や投手陣の精神的支柱的な存在などに関してはいまだ高い評価を受けている。守備面では成績悪化したものも、打撃面では3年ぶりに打率三割越えをマーク。34歳と若干衰えが見えてくるころだが、まだまだこれからの活躍を期待したい。
6.ジェッド・ジョーコ:3B
昨年主にサードを守ったジョニー・ペラルタが怪我で出遅れているため、開幕サードを務めると思われている28歳。2013年にサンディエゴ・パドレスで23本塁打を放ちブレークしたが、それ以降は2年連続で20本塁打以下にとどまり、昨年からカージナルスへ移籍した。カージナルスに移籍してからは、非常に調子はよく、OPSは自己ベストをマーク。サードのレギュラー奪取なるか。
7.ランダル・グリチック:LF
昨年は自己最多の132試合に出場。超積極的打法で、四球数28に対して三振数はなんと141、出塁率も三割を切る.289であった。魅力は豪快な打撃、長打力にあり、昨年は24本塁打を放った。昨シーズン序盤に打席でのアプローチを変え、四球を選ぶように試みたが、結果的に長打力が落ち、今の形に戻すこととなった。今シーズンはほぼフルシーズンでの出場が見込まれており、どこまで本塁打数を伸ばせるか注目である。
8.コルテン・ウォン:2B
ハワイ出身の26歳二塁手。2015年シーズンに自己ベストとなる146安打を放ち、長期契約を勝ち取った。しかし、昨年は大スランプに陥り、安打数は75本と2015年シーズンのほぼ半分以下、マイナー降格を味わった。守備を強化したいという監督の方針から今年はまた二塁手のレギュラーのポジションに戻ると思われる。契約の価値に見合った成績を残せるか。
9.投手
2016 Team Review: セントルイス・カージナルス

*40人ロースターはリンクより参照
*SP横*マークはローテーション候補の意味を示す
- 本拠地: ブッシュスタジアム
レフト | 102.4M |
センター | 121.9M |
ライト | 102.1M |
フェンス高さ | 2.7M |
安打 | 105.5 |
ツーベース | 100.8 |
スリーベース | 103.1 |
HR | 85.7 |
得点 | 93.1 |
- 予想オーダー
1. マット・カーペンター:3B
強打が売りのカージナルスのリードオフマン。昨シーズンは3年連続となるオールスター出場は逃したものの、毎年10本前後だったホームランが一気に28本まで増加し、モデルチェンジとなった。しかし、ホームラン数が増えるとともに三振の数も年々増加しており、13年から98→111→151と昨シーズンは40個も増えてしまった。
2.スティーブン・ピスコッティ:RF
名門スタンフォード大学から12年ドラフトで全体36位に指名された選手。昨シーズンにメジャーデビューを果たし、63試合に出場。.305/.359/.494のスラッシュラインを残した。内外野両方守れる器用さを持っている。マイナー時代からホームランはあまり打てていないため、メジャーでもパワーは期待はできないが、率は期待できるだろう。CHCに移籍したジェイソン・ヘイワードの穴をどこまで埋めることができるか。
3. マット・ホリデイ:LF
今シーズンで36歳、メジャー12年目になる大ベテラン。怪我により、2009年以来の100試合以下の出場にとどまった。しかし、怪我をするまでは好調な成績を残しており、73試合に出場し、.279/.394/.410のスラッシュラインであった。昨シーズンはオールスターにも選出されているが、怪我により辞退している。MVP投票10位以内に入れば自動的に行使されるオプションがついているが、10位以内に入る可能性は非常に低い。
4. ブランドン・モス:1B
昨シーズン途中にトレードで移籍してきたスラッガー。低打率ながらも四球をよく選ぶため出塁率はまずまず。OAKでプラトーン起用されていたため左投手に弱いイメージがあるが、昨シーズンは対左の方が成績はよかった。守備ではどこを守らせても低レベル。
5.ランドール・グリチック:CF
昨シーズン大ブレーク。103試合に出場し、打率.276、17本塁打と立派な成績を残した。長打力が一番の魅力で純粋なパワーに関してはMIAの主砲、スタントンに匹敵するとも言われている。しかし、コンタクトに難があり、BB=6.3%、K%=31.4%は看過できない数字。今後は三振を減らしていくことが課題になってくるだろう。
6. ヤディアー・モリーナ:C
8年連続ゴールデングラブ賞受賞、4年連続盗塁阻止率40%越えの強肩キャッチャー。しかし、打撃成績は右肩下がりで、本塁打数は13年から12→7→4 AVGは.319→.282→.270と下降傾向。オフシーズンに親指の手術を行っているため、当初は開幕に間に合わないかと思われていたが、マイク・マシーニー監督は開幕スタメンに間に合う、と話していたが、OP戦でケガをしたため再び開幕が危うくなっている。
7. コルテン・ウォン:2B
ハワイ出身の2011年ドラフト1巡目で指名された選手。13年にメジャーに昇格して以来着々と出場試合数を増やしており、昨シーズンは自己最多の150試合に出場。.262/.321/.386のスラッシュライン。しかし、昨年シーズン終盤は不調に陥りシーズン最後の3ヶ月は.235/.296/.307という成績。今年はサンディエゴパドレスから移籍してきたジェド・ジョーコもレギュラー争いにくいこんでくるため、レギュラーの座は安泰ではない。
8.ルーベン・テハダ:SS
スプリングトレーニング中にNYMからリリースされFAとなりSTLに拾われた。打撃では一度もシーズンOPSが.700を超えたこともなく、スピードもそれほどあわけではないが、.260前後の打率を毎シーズン残す安定感だけはある。守備も上手いとは言えずSSでの通算DRS-19。故障で2~3ヶ月抜けることになるジョニー・ペラルタが復帰するまでのつなぎ役。
9. 投手