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Weekly Report : Week8

3つのハイライトで1週間のメジャーリーグを辿る。Week-8のキーワードは「フレディー・ペラルタ」「アストロズ投手陣」「ロビンソン・カノー」だ。
・フレディー・ペラルタ
現地時間の14日1人のルーキーが衝撃のデビューを飾った。彼の名はフレディー・ペラルタ。彼は14日のロッキーズ戦でメジャー初登板となる先発登板を果たすと、5.2イニングを投げ、被安打わずかに1本、13奪三振を奪う快投を見せたのである。ここでは彼の選手としての特徴とメジャー昇格までについて書いていく。ペラルタはドミニカ共和国出身の21歳で、13年にマリナーズと契約を結びプロとしてのキャリアをスタートさせた。その後アダム・リンド(現ヤンキース)のトレードで現在所属するブルワーズに加入した。とはいえ期待が高かった訳ではなく、プロスペクトランキングではMLB公式でチーム内9位、Far East Divisionのランキングでもチーム内10位となっている。
そのような事情も今回の衝撃デビューのインパクトを強めている。ペラルタは5-11(約180cm)、175lb(約79kg)とメジャーリーガーとしては小柄な体格で、その小柄な体格をめいっぱいに使ったダイナミックな投球フォームが特徴。球種は90マイル台前半の速球を中心にスライダー、チェンジアップのコンビネーションで多くの三振を奪う。実際に14日の登板でも90マイル台前半の速球を中心に13個の三振の内、実に12個の三振の決め球に速球を使っている。小柄な体格もあり速球が通用するか心配されていたが、初登板で通用することを証明して見せた。一方でコマンドに大きな課題を抱えており、マイナーでは四球率4点台を記録するなど制球に苦しんだ。初登板では大きな制球の乱れはなかったが、3回にストレートの四球を2つ記録するなど兆候も見受けられる。今後メジャーに残るにはコマンドの改善は必要であり、今後の最優先課題となるだろう。
ブルワーズではペラルタの他にもブランドン・ウッドルフ、ジョシュ・ヘイダーといった若い選手が多く在籍している。彼らの活躍があればチームも勢いづき、混戦のナリーグ中部地区で抜け出せるのではないだろうか。
ニューヨーク・ヤンキースの中間報告 /2017 Team Interim Report

MLBが開幕してから早くも3か月が経とうとしている。シーズンも折り返しが見えてきた中での今回の企画は、FEDライター達による注目球団の中間報告だ。今回はニューヨーク・ヤンキース。昨年から若手の躍進が光るヤンキースの現状を見ていこう。
- 2016年の種蒔き、2017年の収穫
2016年シーズンを84勝78敗で終了と同地区のレッドソックス、オリオールズ、ブルージェイズの高い壁に阻まれてしまったシーズンであった。しかし、シーズン途中にアロルディス・チャップマン、アンドリュー・ミラーをトレードで放出しプロスペクトの獲得に成功、8月にはホームランを量産し数多くのニューヨーカーを虜にしたゲイリー・サンチェスが登場した。また、アーロン・ジャッジ、タイラー・オースティン、そしてサンチェスの“Baby Bombers”が揃ってメジャーデビューを果たすなど来シーズン以降に大きな希望を残した年であった。
そのような中で迎えた2017年シーズン、オフにはカージナルスからマット・ホリデーを1年1300万ドル、ブリュワーズからホームラン王を獲得したクリス・カーターを1年350万ドル、カブスからFA市場最大級の目玉であったチャップマンを5年8600万ドルで獲得した。最優先課題としていたチャップマンの呼び戻しに成功し、同オフに退団したブライアン・マキャン、マーク・テシェイラらの穴を埋めるような動きはヤンキースにとって実りのあるオフであったように思われる。
スプリングトレーニングは24勝9敗という成績でメジャー最高勝率を記録した。チーム全体として打率はリーグ11位の.273、リーグ4位の49本のホームランを放ち、高い攻撃力を見せつけた。一方投手陣はリーグ2位の防御率3.48、被打率はリーグ1位の.221とこちらも素晴らしい内容であった。中でもグレッグ・バード、田中将大の活躍は特筆すべきものであった。バードは期間中打率.451、8HR、15打点、OPS1.654と持ち前のパワーをいかんなく発揮した。田中将大は期間中23.2イニングを投げ3勝1敗、防御率0.38、WHIP0.59とマウンドを支配した。しかしながら、スターター陣の駒不足感は否めず、オースティンや正遊撃手のディディ・グレゴリウスを故障で欠くなど多少の不安要素を残しながらの開幕となった。
Weekly Report: Week-18

3つのハイライトで1週間のメジャーリーグを辿る。Week-18のキーワードは「イチロー」「引退」「マニー・マチャド」だ。
- イチロー
現地8月7日、コロラド・ロッキーズの本拠地、クアーズ・フィールドで遂にイチローがMLB通算3000本安打の大偉業を達成した。日本からアメリカに渡って16年。また1つ新たな金字塔を打ち立てた。
前日に2999安打目を放ち、3000本まであと1本とした中で6番センターとしての出場。1打席目は空振り三振、2打席目はピッチャーゴロ、3打席目もショートゴロと3打席を終えて無安打、そして迎えた7回表の4打席目。ロッキーズの左腕クリス・ラシンに対して、捉えた打球は大きな弧を描きライトフェンスに直撃。イチローらしいスリーベースヒットで3000本目の安打を放った。
3000本目の安打を放ったイチローの元には、イチローを師と慕うディー・ゴードンが1番に駆け寄り、その後もチームメート達から次々と祝福を受けた。ロッキーズの選手も拍手を送り、ロッキーズの本拠地ながら観客はスタンディングオベーションで大記録を祝福した。
次の打者ジェフ・マシスのヒットでホームに生還し、ベンチに戻り座るイチローの目にはサングラス越しながら涙のようなものが流れていた。常に努力を怠らず、積み重ねてきたMLBでの3000本の安打に、イチローも堪えきれなかったようだ。
MLBの長い歴史の中でも30人目となる3000本安打。さらにデビュー16年目での到達は史上最速、27歳デビューでの到達は史上初、アジア人としての3000本安打も史上初、3塁打での達成は現ミネソタ・ツインズ監督ポール・モリターに次いで2人目。
節目の大記録を達成したイチローだが、まだまだ肉体は衰えていない。現在42歳、次はどんな形で私たちを驚かせてくれるのかとまだまだ期待してしまう。
2016 Team Preview:ニューヨーク・ヤンキース

*40人ロースターはリンクより参照
*SP横*マークはローテーション候補の意味を示す
- 本拠地:ヤンキー・スタジアム
レフト | 96.9M |
センター | 124.4M |
ライト | 95.7M |
フェンス高さ | 2.57M |
安打 | 97.5 |
ツーベース | 88.7 |
スリーベース | 63.0 |
HR | 125.1 |
得点 | 102.2 |
- 予想オーダー
1.ジャコビー・エルズベリー:CF
昨シーズンはケガに悩まされ111試合の出場に留まった俊足外野手。成績も悪化し.257/.318/.345、7本塁打という有様だった。故障で離脱するまではア・リーグの首位打者だったが、復帰後、バットが湿りがちになった。理由としてはブレーキングボールに手を出すことが多くなったことが挙げられる。レギュラー獲得以降40%台で推移していたブレーキングボールに対するスイング率が昨シーズンは50%台に跳ね上がっていた。今シーズンはアプローチを見直す必要がある。
2.ブレット・ガードナー:LF
数少ないチーム生え抜きの野手。打撃では.256/.343/.399と例年と変わらない成績を残したが、守備では年々レンジが狭くなっている。かつてはメジャーでも有数の外野手の1人だったが、今ではぎりぎり平均レベルとなった。また、開幕には間に合うもののHOUとの1ゲームプレーオフで手首を痛めており、幸先が悪い。スターリン・カストロとのトレードで放出されかけるも、相手のニーズに合わず断られたため残留となった。
3.アレックス・ロドリゲス:DH
薬物疑惑で定着した胡散臭いイメージを払拭することに成功したベテランスラッガー。40歳で迎えた昨シーズンは2010年以来となる30本塁打以上をクリアし打棒はまだ衰えていないことを見せつけた。しかし、かつてゴールドグラブを受賞した守備はもう見る陰がなく昨シーズン守備についたのは30イニング未満。
4.マーク・テシェイラ:1B
毎シーズン故障に悩まされるベテランスラッガー。昨シーズンは珍しく開幕から健康で過ごしていたが、大事な8月の中盤に故障しそれ以降はシャットアウトとなった。それでもハイペースで本塁打を打っていたため2011年以来の30本塁打以上をマークした。ロドリゲスとは違い、守備は相変わらず上手い。今シーズンが終了した時点でFAとなるためモチベーションは十分。
5.ブライアン・マッキャン: C
チームを引っ張る熱血漢。昨シーズンは.232/.320/.437、26本塁打をマーク。FA移籍初年度は1Bを守ることも多かったが、昨シーズンは1000イニング以上でCを務めチームを支えた。昨シーズン控えとして優秀だったJ.R.マーフィーが抜け、トッププロスペクトのゲイリー・サンチェスがベンチ入りする可能性があるが、その時はよきお手本となるだろう。
6.カルロス・ベルトラン:RF
10年前は5ツールプレイヤーとして鳴らしたベテラン。昨シーズンは全てにおいてひどかった2014年から幾分か持ち直し最低限の成績を残した。とはいえ守備と走塁では全く貢献できず、メジャーデビュー以降初めての盗塁0でシーズンを終えており、守備でも動きがかなり悪くなっているが、ロドリゲスがDHに居座っているためRFを守らざるを得なくなっている。開幕スタメンの座を新加入のアーロン・ヒックスに譲る可能性も高い。今シーズンの終了時点で契約が切れるため、引退も示唆している。
7.スターリン・カストロ:2B
今シーズンからヤンキースの一員として戦うことになった弱小時代のCHCの顔。コンタクトに優れ、毎シーズン2桁本塁打を打つパワーも兼ね備えているが、 非常に早打ちで出塁意識に欠けていることが大きなマイナスとなっている。守備ではメジャーデビュー以来ずっとSSを守っていたが、集中力不足やルーティンプレーの拙さから昨シーズンはアディソン・ラッセルにポジションをゆずり2Bに移っていた。チーム事情によって3Bに回る可能性もあり、その時の心得をロドリゲスから伝授されている。
8.チェイス・ヘッドリー:3B
打者有利のヤンキー・スタジアムを本拠地としているのに一向に打撃成績が向上しない元打点王。SDに所属していた2012年には非常に打者不利なペトコ・パークを本拠地としながらも31本塁打をマークしたこともあり、昨シーズンは打棒が復活するのではとにわかに期待されたが、.259/.324/.369、11本塁打たる成績に終わった。それでも得意の守備で貢献してくれればよかったのだがそれも昨シーズンはできなかった。この体たらくが続くようならレギュラー剥奪も十分ありうる。
9.ディディ・グレゴリウス:SS
チームでベストとなるfwarをたたき出したオランダ人内野手。ポジションが同じというだけでよく「ジーター2世」と言われるが 選手のタイプとして似ている点は少ない。昨シーズンは前半戦OPS.619と苦しんだが、後半戦はOPS.764と盛り返した。守備ではDRS、UZR共にプラスの数値をマーク。打者有利のホームで打撃成績が悪いのはホームランを狙うあまりポップフライを打ち上げることが多いため。アウェイでは2.9%の内野フライ率がホームでは14.6%と激増している。