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なぜ彼らは負けるのか―MLBの戦力格差拡大を考察する―

New York Yankees at Baltimore Orioles April 24,  2011

 

 

 

 

 

 

 MLBの長いシーズンも折り返し地点に到達した。ア・リーグ東部地区に所属しているオリオールズの成績は23勝58敗と悲惨であった。このペースが続けば、彼らは今季116敗を喫する。これは1900年以降に限定すれば、歴代ワースト4位の成績である。しかもチームは主力のマニー・マチャドを放出する可能性を指摘されていて、そうなればもっと悪い成績を残すかもしれない。

 しかし本当に注目すべきなのは、オリオールズに限らず現在のMLBでは強いチームと弱いチームの戦力差が大きく拡大していることだろう。今回のコラムではどうして、このように戦力の格差が拡大しているかについて説明していきたいと思う。

 

 本稿は長くなったのでいくつかのパート分けを施した。以下参照してくださるとありがたい。

Part1戦力格差の拡大を示す数字を紹介

Part2戦力格差拡大の原因-カブスとアストロズの成功及びパドレスとホワイトソックスの失敗-

Part3負ければ負けるほど特をするMLBとヨーロッパサッカーのリーグ構造を比較→私からのMLBドラフトの改善案の提示

 

Part1

 戦力の格差が開いていることは私の主観ではなく、数字を見たうえで客観的に判断できる。以下は今季の6月末の段階での各地区の首位と最下位のゲーム差だ。

AL東 32.0

AL中 19.5

AL西 16.5

NL東 14.5

NL 中 13.5

NL 西 11.0

 各地区とも開幕3カ月で11.0ゲーム以上差以上が付いている。注目すべきはどの地区でもゲーム差が大きい事だ。ヤンキースとレッドソックスがしのぎを削っていた時代に東地区の他チームと大きな差が付いていた頃とは違うという事だ。シーズン折り返しの時点でこれだけの成績差が付くのだから、シーズンが終わる頃にはもっと差は拡大するだろう。

 戦力の格差が拡大しているもう1つの証拠がレギュラーシーズンに100以上の勝ち星をあげるチームの数だ。

 2010年代に入ってからシーズン100勝以上をあげたチームは2011年フィリーズと2015年カージナルス及び2016年カブスしかなかった。ところが昨年はこの100勝以上を記録したチームがインディアンス、アストロズ、ドジャースと同時に3つも誕生したのだ。今季はア・リーグのヤンキース、レッドソックス、アストロズ、マリナーズの4チームが100勝超えのペースを維持している。7年間で3チームしか達成していない偉業を今季は4チームが達成しようとしているのだから、それがどれだけ異常かよく分かるだろう。勝つチームがいれば、負けるチームも存在するわけだからそれだけ負けているチームも存在するのだ。

 球界で1番有名な代理人スコット・ボラスは去年のオフに勝つ気がないチームが存在すると批判していた。それはある意味的を得ていて、資金力に優れていないかつチームの戦力が整いきっていないチームの多く-レイズ、マーリンズ、パイレーツ、ロイヤルズら-は選手を売る側に回った。レイズとパイレーツは球界でも貴重なフランチャイズプレイヤーを放出した。マーリンズとロイヤルズも顔なじみの深い選手たちに別れを告げた。マーリンズは地区2位でシーズンを終えて、レイズは80勝を挙げている。にも関わらず彼らは2018年を前にしてプレーオフを積極的に狙うのではなく、主力を放出することを選択した。その理由は、戦力が整いきっていない段階でプレーオフを狙うよりも再建を完成させて将来の成功を狙う方が合理的だからだ。

 次項では戦力が整いきっていない段階でプレーオフを狙うために補強をしたチームと一度チームを完全解体したチームを比較してみよう。

2017 Team Preview:シカゴ・ホワイトソックス

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*40人ロースターはリンクより参照
*SP横*マークはローテーション候補の意味を示す。

  • 本拠地:ギャランティード・レイト・フィールド
他の野球場と大きさを比較する→http://yakyujo.com/ml22/

 

広さ
レフト 100.6M
センター 121.9M
ライト 102.1M
フェンス高さ 2.4M
パークファクター平均*100
安打 96.0
ツーベース 89.0
スリーベース 107.1
HR 110.1
得点 92.7

 ・予想オーダー

1.ティム・アンダーソン:SS

2013年ドラフト1巡目指名が昨シーズンの途中にジミー・ロリンズに代わりメジャーデビュー。99試合に出場し、打率.283,OPS.738とメジャー1年目にしては上出来のシーズンを過ごした。守備面でもDRS+6をマークして貢献したが、課題は打席でのアプローチにあり、昨年はK%が27.1%、BB%が3.0%と悲惨な結果。今後の改善が期待される。

2.メルキー・カブレラ:LF

2012年シーズンにオールスターに初出場、オールスターMVPを獲得した1か月後にテストステロン使用がみつかり、50試合出場停止となったのももう5年前。2012年に見せたパフォーマンスは薬物による効果かと思われたが、14年シーズンから3年連続で170本以上の安打を放っている。まだまだ32歳と老け込むには若く、ことしも打線の中軸を担っていくことは間違いないだろう。

3.ホセ・アブレイユ:1B

14年シーズンにキューバから亡命し、ホワイトソックスに入団。1年目から36本塁打、OPS.964、新人王を獲得と大活躍を見せた。昨年も打率.293、25本塁打とクリーンアップの役割は果たしたが、OPSが.964→.850→.820、本塁打数が36→30→25と3年連続で低下しているのが気がかりである。再建中のチームを支えるクリーンアップを今年も担っていけるのか注目である。

4.トッド・フレイジャー:3B

昨年トレードでシンシナティ・レッズから加入。本塁打数は自己ベストの40本をマークしたものの、打率は.255から.225へと低下、三振数は137から163へと大幅に悪化した。それでもリーグ屈指のパワーヒッターであることは間違いなく、トレードの噂がちやほやと出ている今シーズンも活躍が期待される。

5.アビザイル・ガルシア:RF

20歳にメジャーデビューし、メジャー5年目ながらまだ25歳。同じベネズエラ出身で、身長(6’4”)、体重(240lb)が全く同じなデトロイト・タイガースの強打者、ミゲル・カブレラと比較され、ミニ・ミギーとあだ名がつけられている。身長・体重が同じでも、打撃成績まで同じとはいかなく、昨年の打率は.245と自己ワーストを記録。三振数を減らしていけば、全体の成績向上が期待できるかもしれない。

6.コーディー・アッシュ:DH

チーム全体の再建、若返りを図るフィラデルフィア・フィリーズから放出され、マイナー契約でホワイトソックスに入団。2012年にはチーム有望株ランキング7位にランクインしたが、メジャーデビューしてから成長できず、毎年同じような成績を残しており、OPSに関しては、.691→.699→.689→.635とほぼ一定。新たな環境で心機一転活躍できるか、注目である。

7.ジオバニー・ソト:C

2008年にシカゴ・カブスでメジャーデビュー、141試合に出場し、23本塁打、打率.285と衝撃的なデビューをした捕手。しかしそれ以降は怪我などの影響により年間を通して試合に出場することができず、2011年シーズン以来100試合出場をしたことがない。9年ぶりに帰ってきたシカゴで輝いていた姿に戻れるか。

8.タイラー・サラディーノ:2B

昨年はバッテリー以外のすべてもポジションで出場したスーパーユーティリティープレーヤー。打撃もメジャーデビューした2015年シーズンから大幅に成長し、93試合に出場、打率.282、OPS.725とスーパーユーティリティーにしては充分な成績。トレードで加入したヨアン・モンカダがメジャー昇格するまでのつなぎではあるが、さまざまなポジションを守れることから、モンカダが昇格してからも重宝されるだろう。

9.ピーター・ボージャス:CF

コーディー・アッシュと同じくフィラデルフィア・フィリーズからマイナー契約でホワイトソックスに入団。安定した守備には定評があるが、打撃が長年の課題で、昨年は打率.251、出塁率.292、OPS.681という成績。早打ちのため、四球をほとんど選ばず、昨年の四球数は17。根本的な打席でのアプローチの改善が必要なのかもしれない。