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2018 ALDS Review : HOU vs CLE

今回はプレーオフレビューとして、アメリカンリーグの地区シリーズインディアンスvsアストロズを分析する。
2年前のアンドリュー・ミラーの柔軟な起用法を提案したインディアンスと昨年絶対的なクローザー抜きでワールドシリーズを制覇したアストロズの対決となった。両者共にリリーフ投手の起用法で、新しい指針を示したチームであり今回はどんな戦略が飛び出すかに注目していた。
結論から見ると、昨年本来は先発投手のチャーリー・モートンが優勝の瞬間マウンドに立っていたアストロズは1年前に比べて新顔を増やして先発投手が長イニングを投げて強力なリリーフ陣がそれを支えるクラシックな投手起用を見せた。一方でインディアンスは2年前の闘いぶりを大きく変えることなく臨んだという感じだった。ただし2年前ほどの力がミラーやコディ・アレンに無かったのが大きな違いとなってしまった印象を受ける。
初戦はジャスティン・バーランダーとコリー・クルーバーのサイ・ヤング賞受賞経験者同士の対戦となった。3回まではスコアが動かなかったが、アストロズ打線が2巡目に入った4回にアストロズがアレックス・ブレグマンのHRで先制に成功する。5回にも2点を追加したアストロズはクルーバーを5回途中でノックアウトした。バーランダーも6回を投げきれなかったが、7三振を奪いエースの貫禄を見せつけた。
この試合で1番印象的だったのは、両チームの先発投手の速球の平均球速だった。バーランダーがシーズン平均95.0マイルだった速球を96.2マイルまで上げてきた一方で、クルーバーのシンカーはシーズン平均が91.9マイルだったのに91.6マイルに低下していた。8月末まで平均92マイルを超えていたクルーバーのシンカーは9月に入ってから明確に遅くなっており疲れは明らかだった。
第2戦はインディアンスがフランシスコ・リンドーアのHRで先制。しかしアストロズが先発ゲリット・コールの12三振を奪う力投で流れを手繰り寄せ、6回にマーウィン・ゴンザレスのツーベースで逆転に成功。7回にはブレグマンの2試合連続HRで追加点を挙げたアストロズが連勝を飾った。シーズン中は凡庸な成績に終わったゴンザレスは、昨年9月25日以来の1試合4安打を記録した。インディアンスの切り札ミラーは先発カルロス・カラスコの後を受け継いだが、1アウトも取れなかった。
コールが見せた、プレーオフで四球を与えずに、12三振以上を奪ったのは実に45年前のメッツのトム・シーバー以来となる歴史的な好投だった。
第3戦はクリーブランドに舞台を移して行われた。先発投手はインディアンスがマイク・クレビンジャーで、アストロズがダラス・カイケル。5回裏にリンドーアのHRが飛び出した時はインディアンスに流れが傾いたが、試合は7回にインディアンスのエラーも重なりアストロズが3点を奪い態勢を決めた。
8回には後半戦のOPSが.517と絶不調に陥っていたカルロス・コレアにもHRが飛び出して、アストロズは文句無しの状態でALCSに駒を進めた。
アストロズのジョージ・スプリンガーは、2HRを放ち昨年のWSから合計10試合で8HRとPOではHRを量産している。
またアストロズにとってはチーム史上初のプレーオフでのシリーズスウィープ達成となった。
後半戦展望:ミネソタ・ツインズ

AL中地区の前半戦は予想を裏切るものであった。クリーブランド・インディアンスが勝率.500を下回り、ミネソタ・ツインズが地区首位に立つこともあった。しかし、気付けばツインズとのゲーム差は11.0に広がっている。
さて、ツインズのトレードは計6件行われた。したがって、今回は時系列順に振り返りたい。
7月19日にタンパベイ・レイズから、金銭を見返りにジェレミー・ヘイゼルベイカー(OF)を獲得。現在30歳であり18年はメジャーでプレーしていない。また、ツインズのOFは層が薄いというわけではないため、戦力アップ(PO進出は絶望的であるが)や再建のためのトレードとして評価することは出来ない。
7月27日にヒューストン・アストロズから、ライアン・プレスリー(RHP)を見返りに2人のプロスペクトを獲得。3年連続55登板を達成した優秀なリリーバーだが、年俸高騰のリスクは小さいとは言え2020年にはFAとなる予定だった。
1. ホルヘ・アルカラ(RHP)
MLB公式チーム内10位のプロスペクト。コントロールは改善の余地があるが、三振を奪う投球が魅力的な23歳。
2. ギルバート・セレスティーノ(CF)
MLB公式チーム内15位のプロスペクト。国際大会の経験が豊富であり、守備の評価が特に高い19歳。
プレスリーを無理に放出する必要はなかったと言えるが、15位以内のプロスペクトを2人獲得出来たのは上出来だろう。
同日、アリゾナ・ダイヤモンドバックスにエデュアルド・エスコバー(SS/3B)を放出し、見返りに3人の選手を獲得。今季、2年連続となる20本塁打の達成が見込まれるもののオフにはFAとなる予定であった。
1. ガブリエル・マシエル(CF)
MLB公式チーム内11位のプロスペクト。パワーレスながらスピードとコンタクトスキルは高い。現在19歳であり、Aでプレー。
2. ホアン・デュラン(RHP)
MLB公式チーム内19位のプロスペクト。速球は94-96マイルながら今の所成績は今一つ。
3. アーニー・デラトリニダード(OF)
17年に19巡目でダイヤモンドバックスに入団。コンタクト・パワー・アプローチが良く、今季はAでOPS.845。現在22歳。
SSはロイス・ルイス(MIN1位)を筆頭にプロスペクトがひしめいている為、OFを重点的に補強する方針であることが窺い知れる。先の通りOFの層は薄くないものの、後でトレード要員にすることも出来るため多くて困ることはないだろう。
後半戦展望 : ヒューストン・アストロズ

デッドラインを経ての各チームの変化についてまとめる。今回はヒューストン・アストロズだ。
昨年悲願のワールドチャンピョンに輝いたアストロズ。2連覇に挑む今年は昨年のメンバーに加え、先発にゲリット・コールを補強し、優勝候補筆頭としてシーズンを迎えた。前半戦を64勝35敗と素晴らしい成績で折り返し、ア・リーグ西地区を引っ張っている。そんなアストロズだが、後半戦に向けてリリーフを中心にて選手の入れ替えを行った。
マーティン・マルドナード(LAA)↔パトリック・サンドバル
ライアン・プレスリー(MIN)↔ホルヘ・アルカラ、ギルバート・セレスティーノ
ロベルト・オスーナ(TOR)↔ケン・ジャイルズ、デビッド・ポリーノ、ヘクター・ペレス
この3件のトレードを成立させ、昨年のゴールドグラブ賞キャッチャーのマルドナード、トロント・ブルージェイズの若きクローザーであるオスーナを獲得するなど確実に戦力をアップさせた。アストロズのクローザーは16年からの2年間ジャイルズがつとめていたが、今回のトレードでチームは彼に見切りを付けるような形となった。
持ち前の強力打線とジャスティン・バーランダー、ゲリット・コール、ダラス・カイケルの3本柱を中心に勝ち星を重ねているアストロズ。更には期待のトッププロスペクトであるカイル・タッカーも昇格を果たしており、今回のトレードを含めますます抜け目のないチームとなっている。強豪ひしめくア・リーグ西地区だが、2年連続となるワールドチャンピョンへ向け、まずは確実に地区優勝を勝ち取りたい。
Text by Akinari Miyazaki
Photo by : https://www.flickr.com/photos/jrth/5527103/
2017 Team Preview:ミネソタ・ツインズ

*40人ロースターはリンクより参照
*SP横*マークはローテーション候補の意味を示す。
- 本拠地:ターゲット・フィールド
レフト | 103.3M |
センター | 123.1M |
ライト | 100M |
フェンス高さ | 2.4~7M |
安打 | 106.4 |
ツーベース | 108.1 |
スリーベース | 103.1 |
HR | 101.4 |
得点 | 104.4 |
- 予想オーダー
1.ブライアン・ドージャー:2B
昨年大ブレークした二塁手。ア・リーグの二塁手としてはシーズン最多本塁打の42本をマークした。本塁打以外のスタッツもOPS.886、18盗塁をマークし、チームの中心的な役割を担った。2018年までの4年20M$の格安の契約から、トレードの噂も絶えず、オフシーズンにはドジャースとのトレードが成立間近との報道もあったが、条件面で合意出来ず破談となった。
2.ホルヘ・ポランコ:SS
2009年にインターナショナルFAでツインズに入団。着々とマイナーの階段を上っていき、2014年にメジャーデビュー。2014年、2015年はそれぞれ5試合、4試合の出場にとどまったが、昨シーズンは8月からショートのレギュラーに定着、69試合に出場し打率.282、OPS.757という成績を残した。最大の魅力は攻撃面で将来的には20盗塁&20ホーマーも可能との評価もある。
3.ジョー・マウアー:1B
MVP1回、シルバースラッガー5回受賞、オールスター6回選出と輝かしい成績を残したが、ここ数年は怪我の影響もあり不調に陥っている地元出身のスター。2013年までのポジションは主にキャッチャーであったが、やはりこれも怪我に影響もあり、2015年からはファーストに専念している。33歳と老け込むにはまだ早く、完全復活に期待がかかる。
4.ミゲル・サノー:3B
2015年にメジャーデビューしたチーム期待の有望株。デビューした年は、18本塁打、OPS.916と好成績を残した。昨年は本塁打数こと25本と増えたものも、打率は.269から.236へ、三振数は119から178と大幅に悪化してしまった。クリス・カーターのような大型扇風機のようになるか、リーグ屈指のパワーヒッターになるか、分かれ目の年になりそうだ。
5.マックス・ケプラー:RF
数少ないドイツ出身のメジャーリーガー。2014年まではAクラスで打率.264となかなか芽が出なかったが、2015年シーズンにAAクラスで打率.322とブレーク、メジャーの切符をつかんだ。2013年からマイナー通算本塁打数が24本であったが、昨年は113試合の出場にとどまりながら17本塁打とパワーが開花。左投手が極端に苦手で、対右投手のOPSが.792に対し、対左投手は.595。左投手の攻略が今後の躍進のカギになる。
6.ケニース・バルガス:1B
昨年の開幕時はマイナースタートだったものも、マイナーで打席でのアプローチに取り組んだことからメジャー昇格の切符をつかんだ。50試合前後の少ないサンプルではあるが、出塁率は.277から.333へと改善。スイッチヒッターではあるが、対左投手はなんとOPS1.262をマークした。初めてメジャーでフルシーズンを過ごすと思われる今シーズンどこまで成績を残せるか注目である。
7.ジェイソン・カストロ:C
FAでヒューストン・アストロズから3年24.5M$で加入。2013年に打率.276、OPS.835をマークしオールスターに選出されたがそれ以降は打撃は低迷、3年連続で打率.230を切っている。打撃では貢献できなくても守備には定評があり、新天地で元ドラフト1巡目指名の価値を発揮できるか。
8.エディー・ロサリオ:LF
2015年にメジャーデビューし、122試合に出場、打率.267、OPS.748という成績を残して昨シーズンはブレークの年かと思われたが、不調に陥り、2015年シーズンよりも30試合少ない92試合の出場にとどまった。超積極的打法で、2年間214試合に出場し、なんと四球数はわずか27。アプローチの改善ができればもう少し成績が伸びるかもしれない。
9.バイロン・バクストン:CF
2012年ドラフト全体2位指名の期待の有望株。5ツールが揃っているプレーヤーで、将来の球界を担っていく逸材との評価もある。298打席で118三振と打撃の粗さは気になるが、昨年から出場試合数は46試合から92試合へと倍増し、今年は飛躍の年になるかもしれない。