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2019 NLDS Review : WSH VS LAD

ナショナルズが通算成績3勝2敗でドジャースを下し、ナショナルリーグ優勝決定シリーズへ駒を進めた。
Game 1 WSH 0- 6 LAD
先発はドジャースがウォーカー・ビューラー(RHP)、ナショナルズはパトリック・コービン(LHP)。
1回裏 ナショナルズ先発コービンは制球に苦しみ4つの四球を与え、ドジャースに先制を許す。
4回表 今度はドジャース先発ビューラーが3つの四球を出して満塁になるがアズドルバル・カブレラ(IF)を打ち取りピンチを乗り切る。
5回裏 簡単に2アウトとなったドジャースだがコディ・ベリンジャー(OF)の四球、クリス・テイラー(IF)の内野安打の後マックス・マンシー(1B)の打った打球をナショナルズのファースト、ハウィ・ケンドリックがまさかのトンネル。ドジャース2点リードとなる。
7回裏 マンシーのタイムリヒットでドジャースが2点を追加。
8回裏 メジャーデビューしてまだ1ヶ月少ししか経ってないルーキーのギャビン・ラックス(IF)と途中出場のジョク・ピーダーソン(OF)のホームランでさらにリードを広げる。
9回表 ドジャース4人目のジョー・ケリー(RHP)がヒット1本許すも無失点で締め試合終了。
所見
終始ドジャースペースで試合が進む、さすがドジャース!という試合運びだった。初回制球が定まらないコービンに対して1点で終わったのは不発気味だったがコービンから代わった投手を攻略し着実に点を奪った。投手の方はビューラーが被安打1と完璧に封じ込め、リリーフ陣もアダム・コラレック(LHP)→前田健太(RHP)→ケリー、とつけ入る隙を与えない投球で見事に大事な初戦を勝利した。
Game 2 WSH 4- 2 LAD
先発はドジャースがクレイトン・カーショー(LHP)、ナショナルズが今シーズンのナショナルリーグ最多勝投手スティーブン・ストラスバーグ(RHP)。
1回表 ケンドリックが前日の失敗を取り返すべくタイムリーヒットで先制。
2回表 ナショナルズはアダム・イートン(OF)のタイムリーヒットとアンソニー・レンドン(3B)のタイムリー2ベースでこの回3点を追加する。
6回裏 ドジャースはトレイ・ターナー(SS)の犠牲フライで1点を返す。
7回裏 マンシーのソロホームランで1点差に迫る。
8回表 ナショナルズはカブレラのタイムリーヒットで再び引き離す。
9回裏 ドジャースはランナーを2人出し、ホームランでサヨナラの場面を迎えたがコーリー・シーガー(SS)が三振に倒れ試合終了。
所見
両先発投手の好投で引き締まった試合だった。カーショーは先に3点は取られたが、すぐに立ち直った。ストラスバーグは無四球、三振10と非の打ち所がない投球だった。しかし一方でナショナルズのブルペン陣の不安がモロに露呈した試合とも言えるだろう。ショーン・ドゥーリトル(LHP)が一発を浴び、クローザーのダニエル・ハドソン(RHP)も結果的には無失点だったが四死球2つと安定感に欠けた。
Game 3 LAD10- 4WSH
先発はナショナルズがアニバル・サンチェス(RHP)、ドジャースはリュ・ヒョンジン(LHP)
1回裏 ホアン・ソト(OF)の2ランホームランでナショナルズ先制。
5回表 マンシーのホームランでドジャースが1点を返す。
6回表 ラッセル・マーティン(C)とエンリケ・ヘルナンデス(IF)のタイムリーツーベースとジャスティン・ターナー(IF)のホームランでこの回一気に7点を入れる
9回表 マーティンの2ランホームランが出て勝利を手繰り寄せる。
所見
35歳サンチェスの予想外の好投に驚かされた。数年前には終わった存在のように思われたサンチェスがここ2年復活しポストシーズンでも活躍してる姿はなんとも頼もしい。
この試合のターニングポイントは6回裏であろう。ナショナルズは無死満塁の場面でカブレラが犠牲フライを放ったのだが、その後2塁ランナーのケンドリックが走塁ミスでアウトとなり事実上のダブルプレーとなり追い上げムードに水をさした。
またナショナルズの懸案事項とも言えるブルペンも初戦に先発したコービンを送ったりと策を練ったが、ドジャース打線の勢いを止められずサンチェス降板後だけで9点も取られた。
Game 4 LAD 1- 6WSH
先発はドジャースがリッチ・ヒル(LHP)、ナショナルズがマックス・シャーザー(RHP)
1回表 ジャスティン・ターナーのソロホームランでドジャース先制。
3回裏 ナショナルズのレンドンの犠牲フライで同点。
5回裏 レンドンのタイムリーヒットとライアン・ジマーマン(1B)の3ランホームランで計4点追加する。
6回裏 再びレンドンの犠牲フライで1点を追加。
9回表 ナショナルズはハドソンが無失点に打ち取り勝利をものにする。
所見
この試合はシャーザーにつきると思う。試合後の会見では疲労を口にしていたが、実際の試合では疲労を感じさせない投球だった。とりわけ7回表の1死満塁の場面でテイラーにはフルカウントまで粘られながらも三振に取り、続くビーダーソンもゴロで打ち取った時は本当に感服した。
一方負けたドジャースもナショナルズ同様ブルペンに不安を抱え込むような敗戦であった。日本人の我々からすると前田健太の力投ぶりが輝いて見えるかもしれないが、問題はその後でフリオ・ウリアス(LHP)は2/3回を投げ被安打3、べドロ・バイエスは1/3回を被安打2うちホームラン1本という内容だった。
Game 5 WSH 7- 3 LAD
先発はナショナルズがストラスバーグ、ドジャースはビューラー。
1回裏 マンシーの2ランホームランでドジャースが先制。
2回裏 ヘルナンデスのソロホームランでドジャースのリードは3点。
6回表 ソトのタイムリーヒットでナショナルズが1点を返す。
8回表 レンドン、ソトの2者連続ホームランで同点に追いつく。
10回表 無死満塁でケンドリックが満塁ホームランを放ちナショナルズ4点リードとなる。
10回裏 ドゥーリトルが三者凡退に打ち取り試合終了。
所見
両先発投手が好投した。ストラスバーグは3点先行せれたが、すぐに立ち直り3回以降は被安打1無四球という内容だった。ビューラーは自慢の剛速球ではなく変化球主体のピッチングで好投した。ちなみに奪った7つの三振のうち5つは変化球によるもだった。
総括
ドジャース優勢とみられた NLDSはナショナルズの3勝で幕を閉じた。ナショナルズは本拠地をワシントンに移して以来初の地区シリーズ突破となった。
このシリーズを通してブルペンの整備、起用法の難しさが浮き彫りになった。ドジャースに関してはブルペンの防御率は6.75である。要因として考えられのは守護神ケンリー・ジャンセン(RHP)の不調であろう。今回のシリーズこそ点は取られなかったが、レギュラーシーズンの不調により満を持してクローザーに固定出来なくった。これによりクローザーから逆算して継投することが難しくなりブルペン全体が瓦解したと考えられる。
ナショナルズもドジャースほど悪くないがハンター・ストリックランド(RHP)、先発とリリーフを兼任したコービンに関してはNLCS以降も不安ではある。また元々ブルペンにかなりの不安を抱えていて、それがストラスバーグとシャーザーの酷使に繋がった。今後チームどんな形で影響を与えるか注視していきたい。
また両チームともベテランの活躍が光った対戦でもあった。ケンドリックは満塁弾まで3つのエラーと致命的な走塁ミスと足枷のようだったが最後に意地を見せてくれた。ドジャースはターナーはシャーザーから本塁打とこちらもベテランの存在感を見せつけた。ポストシーズンでのベテランの活躍はマストであることを認識させられたシリーズでもあった。
Written Eiji Kato
Photo by https://flic.kr/p/Tq635G
Weekly Report:Week-3

Photo link https://flic.kr/p/25pntk
今回から各部員のリレー形式で1週間のメジャーリーグを辿る。Week-3のキーワードは「クリス・セール」「ライアン・ヘルスリー」「ブルペンの不振が目立つブレーブスがキンブレル獲得に及び腰な2つの理由」「マイク・マイナー」「ブラッド・ケラー」「Kデービス契約延長」だ。
・クリス・セール
Written by Yu Kikuchi
昨年ワールドシリーズ王者のレッドソックスのエース、クリス・セール(LHP)が今シーズンここまで大きく苦しんでいる(ERA:8.50 04/16現在)。セールはオールスター7回、奪三振王2回を獲得するなど名実ともに球界を代表する投手である。今年の3月には5年$145Mで契約延長している。
ではなぜここまでの不調に苦しんでいるか筆者が分析してみた。
まずは今シーズンのセールの登板を振り返ろう。以下は今シーズンのGame Logである。
photo by mlb.com
開幕戦のvsSEA戦では3回7失点と大乱調。次のvsOAK戦では6回1失点とまずまずのピッチングをするも、奪った三振はわずか1つと本来のピッチングとは程遠かった。さらに次の2試合でも試合を作ることができず負け投手となっている。筆者はここまでの不調の原因はフォーシームと考えている。以下のデータを見て頂きたい。
フォーシームの平均球速は92.4mphと昨年より2.8mphも落ちている。その影響からか被打率は.524とかなり打たれていることがうかがえる。また、フォーシームの威力が落ちたことから伝家の宝刀のスライダーのK %も昨年の半分以下となっている。またWhiff %も軒並み落ちている。
*今シーズンのゲームごとのフォーシームの平均アベレージおよびMAX
3/28 92.3mph /94.5mph max
4/2 81.9mph/92mph max
4/9 91.8mph/94.7mph max
4/16 95.5mph/97.5mph max
以上のことからフォーシームのスピードダウンが不調の原因と考えた。
レッドソックスは4/18現在6勝13敗と地区最下位に沈み苦しいシーズンとなっている。先発陣が不調に陥っている(以下参照*)ことが原因と考えられる。同地区のレイズが好調でまた、故障者の多いヤンキースが踏ん張っているだけにこれ以上離されない為にはセールの復調が必要不可欠である。16日のNYY戦では負けはしたものの、平均球速が本来のスピードに近づいており、次回以降の登板に期待がもてそうだ。
*レッドソックスの先発投手陣(4/18現在)
クリス・セール(LHP) 0勝4敗 ERA8.50
デビット・プライス( LHP) 1勝1敗 ERA3.79
リック・ポーセロ(RHP) 0勝3敗 ERA11.12
ネイサン・イオバルディ(RHP) 0勝0敗 ERA6.00
エドゥアルド・ロドリゲス(RHP) 1勝2敗 ERA7.98
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2018 WS : BOS vs LAD

WS:4-1
*Game部のリンクでゲームのRecapをチェック可。
Game1 BOS 8-4 LAD
勝:マット・バーンズ(1-0) 負:クレイトン・カーショウ(0-1)
Game2 BOS 4-2 LAD
勝:デビット・プライス(1-0) 負:柳賢振(0-1) S:グレイブ・キンブレル(1)
Game3 BOS 2-3 LAD
勝:アレックス・ウッド(1-0) 負:ネイサン・イオバルディ(0-1)
Game4 BOS 9-6 LAD
勝:ジョー・ケリー(1-0) 負:ディラン・フローロ(0-1)
Game5 BOS 5-1 LAD
勝:デビット・プライス(2-0) 負:クレイトン・カーショウ(0-2)
WSMVP:スティーブ・ピアース
シーズンの勢いそのままに、ここまでのプレーオフ7勝2敗と圧倒してきたボストン・レッドソックスと昨年に引き続き2年連続の出場となったロサンゼルス・ドジャースのマッチアップとなった今年のWSは、レッドソックスが4勝1敗でWSを5年ぶりに制した。
以下、両チームの注目点を挙げ、試合を振り返る。
注目点1→投手陣の安定度
投手陣の安定度に差が見られた。後述するがドジャース投手陣はALCSの疲れからか、やや精彩を欠いていた。一方でレッドソックスはWS5戦すべてに登板し一度の失点も許さなかったケリー、第3選でロングリリーフながらも6回2失点に抑えたイオバルディ、カーショウとは対照的に2勝をあげたプライスなどが好投した。
注目点2→LCS疲れと第3戦
レッドソックスはALCSを4勝1敗と5試合で勝ち進み、WSまで中5日であったのに対し、ドジャースはNLCSを4勝3敗と7試合戦い、WSまで中3日しかなかった。これが結果的に投手陣の安定度に差が生まれ、第3戦の延長18回にわたる死闘が勝負の分かれ目になったようだ。ドジャース先発のウォーカー・ビューラーが7回を完璧に抑え有利に立っていたものの、イオバルディの思いがけない好投がドジャースのリリーフ陣の疲労に拍車をかけ、結果的に第4戦の逆転負けを引き起こしたように思える。
Playoff Preview:ロサンゼルス・ドジャース

NL西地区5連覇を達成したドジャースは最終的に103勝58敗という成績でレギュラーシーズンを終えた。103勝という数字は今シーズンメジャー最多、そしてロサンゼルス移転後最多の数字となった。本稿では素晴らしいシーズンを送ったドジャースのプレーオフ展望を行っていく。
ドジャースはトレード市場において積極的に戦力強化を行った。ざっくりと振り返ると、レッズからトニー・シングラーニ(LHP)、パイレーツからトニー・ワトソン(LHP)、そしてレンジャーズからトレード市場最大の目玉であったダルビッシュ有(RHP)を獲得した。また、8月にはメッツからカーティス・グランダーソン(LF)を獲得。投打に実績のある選手を補強した形となった。
これらの補強を踏まえ、ドジャースのプレーオフ展望を投打に分けて考察していく。投手陣は今シーズン防御率3.38でメジャー全体2位(先発防御率3.39、リリーフ防御率3.38)、奪三振は1549個でメジャー5位、WHIP1.15はメジャー1位と申し分ない成績を残した。プレーオフではクレイトン・カーショー、アレックス・ウッド、ダルビッシュ、リッチ・ヒルの4人でローテーションを編成し、前田健太や柳賢振らはリリーフに回すのが良いだろう。ここで、キーポイントはクローザーのケンリー・ジャンセンまで繋ぐリリーフ陣になってくるだろう。カーショーはポストシーズンの成績が芳しくないとはいえ、十分計算は出来る。ダルビッシュは上り調子、ウッドやヒルもいつも通り投げられればそう簡単に打たれるようなピッチングはしないだろう。一方でリリーフ陣は昨年同様好成績を残したが、昨年のプレーオフではランナーを溜めてしまう場面が多く、7回からジャンセンを投入しなければならないというような状況を作ってしまった。今シーズンはペドロ・バイエス、ブランドン・モロー、ジョシュ・フィールズらに加え、ワトソン、シングラーニを補強したことから層は厚くなったと言える。このような状況の中でもジャンセンの前倒しが増えてしまうようであれば、優勝は厳しいものになる。
2016 NLCS Review:CHC

NLCS:CHC 4-2 LAD
*Game部のリンクでゲームのRecapをチェック可。
Game1 CHC 8-4 LAD
勝:アロルディス・チャップマン(1-0) 負:ジョー・ブラントン(0-1)
Game2 CHC 0-1 LAD
勝:クレイトン・カーショウ(1-0) 負:カイル・ヘンドリクス(0-1) S:ケンリー・ジャンセン
Game3 CHC 0-6 LAD
勝:リッチ・ヒル(1-0) 負:ジェイク・アリエタ(0-1)
Game4 CHC 10-2 LAD
勝:マイク・モンゴメリー 負:フリオ・ユリアス(0-1)
Game5 CHC 8-4 LAD
勝:ジョン・レスター(1-0) 負:ジョー・ブラントン(0-2)
Game6CHC 5-0 LAD
勝:カイル・ヘンドリクス(1-1) 負:クレイトン・カーショウ(1-1)
今年のNLCSは今シーズンメジャー全体で最多の103勝を挙げ、2年連続でのNLCS進出となったシカゴ・カブスとナショナルリーグ西部地区を4年連続で制し、2013年以来のNLCS進出となったロサンゼルス・ドジャースの対戦となった。両チームとも長期間ワールドシリーズの舞台から離れており、カブスは1945年以来、ドジャースは1988年以来のワールドシリーズ進出を目指した。
ここからはシリーズの注目点をあげていく。
注目点→先発投手
今年のポストシーズンではブルペンの活躍が大きな注目を集め、レギュラーシーズンのブルペンの防御率がメジャー1位のドジャースと同8位のカブスという強力なブルペン陣を誇る両チームの対戦となったが、いかに先発投手が仕事をできたかが、シリーズの行方を左右したと感じる。
まずは第1戦、ドジャースの前田が4回3失点でマウンドを降りたのに対し、カブスのレスターは6回まで投げて、1失点ときちんと先発の仕事を果たした。結果的に勝利投手にはなれなかったが、カブスがワンポイントリレーをできたのはレスターの好投のおかげだろう。第2、3戦はドジャースの先発カーショウとヒルがカブス打線を封じ、ドジャースが勝利を収めた。
第4戦こそ両チームともに先発が崩れたが、第5、6戦はカブスの先発投手の活躍が目立った。まずは第5戦、第1戦に続きレスターが好投し7回を1失点に抑える。対するドジャースは前田が再び4回前後でマウンドを降りてしまい、試合の主導権をカブスに渡してしまった。第6戦でもカブスの先発ヘンドリクスが8回途中まで無失点に抑える好投を見せ、ドジャースに付け入る隙を見せなかった。
このように、先発投手の活躍がシリーズ進出のポイントとなった。ペドロ・ストロップ、ヘクター・ロンドン、アロスディス・チャップマンといったレギュラーシーズンのカブスを支えたブルペンの投手がポストシーズンで不調である事も考えると先発投手の活躍はカブスのワールドシリーズ進出の大きな要因であったと考えられる。先発投手の活躍が重要なのは本来当たり前の事だが、それを改めて実感したシリーズだった。
注目点→主力の復調
もう1つ、このシリーズの行方はカブス打線の中軸の復調が大きな鍵を握っていた。カブスの中軸に座るアンソニー・リゾとアディンソン・ラッセルは共にレギュラーシーズンで素晴らしい成績を残しカブスの優勝に大きく貢献した。しかし、ポストシーズンでは苦しんでおり、NLCS第4戦までリゾは26打席で2安打、ラッセルは24打席で1安打とまったく当たっていなかった。彼らの前でチャンスを作っても、ランナーを帰すことができない場面も多く見かけた。
それでも、両選手とも第4戦で5打数3安打1本塁打と復調の兆しを見せると、第5、6戦でも勝利に貢献する活躍を見せ、3連勝でワールドシリーズ進出を果たす立役者となった。ドジャースからすると彼らを復調させてしまったことが敗因の1つと言えるだろう。ワールドシリーズ進出を果たしたことも考えると、彼らが調子を上げてきたことはカブスにとって大きなプラスとなるのは間違いない。
最後にシリーズで活躍した選手について取り上げる。
CHC:ジョン・レスター
カブスで1人選手を挙げるとしたらジョン・レスターだろう。先ほども述べたが、レスターは第1戦と第5戦で先発し、第1戦では6回を1失点、第5戦では7回を1失点に抑える好投を見せた。シリーズ開幕戦である第1戦、そして2勝2敗で迎えた第5戦とどちらも重要な試合での先発だったが、ポストシーズンでの経験豊富な彼には心配無用であった。結果的に先発した2試合でカブスは勝利を収め、この2試合の活躍が評価され、シリーズのMVPにも選出された。(ハビアー・バエズとのダブル受賞)
LAD:ケンリー・ジャンセン
ドジャースからはクローザーのジャンセンを挙げたい。チームとしては惜しくも敗退の結果となったが、ジャンセンの活躍は間違いなくカブスを苦しめた。
ジャンセンは第2戦、第3戦、第6戦の3試合に登板し、6回2/3を被安打1本、無四球というほとんど完璧ともいえる活躍を見せた。バエズ、ストリップリング、ブラントンら他のブルペン陣が苦しむ中、彼の活躍は一際目立っていた。今年のオフにFAとなるジャンセンだが、このシリーズでの好投は彼の評価を上げるには十分だろう。
Text by Miyazaki Akinari
写真: https://flic.kr/p/MrQ1do